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山も海も、広いトルコが育む多彩な郷土料理…岡崎伸也さんトーク①(肉料理編)

東京・西荻窪の「旅の本屋のまど」で、「食で巡るトルコ」の著者、岡崎伸也さんのトークイベントがあったので、これは外せないと思い、行ってきた。

岡崎さんは、島根県益田市出身。現在は岡山市在住とのことで、去年の出版以降、初の東京でのトークイベントとなった。「のまど」さんのほか、7月20日には、世田谷区のトルコ工芸品セレクトショップ「ワサビ・エリシ」さんでも、トークイベントがあるようだ。いずれにしても首都圏で岡崎さんの話を聞ける貴重な機会。

その、岡崎さん、もともと地元の益田市でインド系カレーなどを出す「エスニックカフェ」を営んでいたが、以前留学したトルコへの想いがつのり、店をたたんで「食をテーマにトルコ全土を旅する」と決意し、2010年から実行に移した。

著書は、食を通じた旅の記録にもなっていて、トルコ各地の郷土料理を県別に紹介している。イスタンブールやカッパドキアだけでなく、トルコの各地を旅行してみたいと思っている人には、とても役立つ本だ。オールカラーの料理写真がふんだんに使われている。日本で手元に置いて、たまに眺めているだけで、旅情をかきたてられる。

「食で巡るトルコ」

このnote記事では、トークで岡崎さんが紹介した料理の一部を、本人の承諾の上でプロジェクターに投影した写真などともに紹介していく。テキストは、トークの時の岡崎さんの説明を手書きで書きとって起こしたもの。「※」の後には、私のコメント(個人の感想)を添付した。

トルコ料理というと、回るケバブが真っ先に思い浮かぶ方も多いかと思う。岡崎さんの本は、トルコ料理の奥行きの深さを知るのにはもってこいの「教材」。今回のトークイベントの内容も、そのとっかかりになるのでは、と思い、記事化を思いついた。

なお、トークの聞き手は、「食で巡るトルコ」の版元、阿佐ヶ谷書院の島田真人さんが務めた。

まずは、肉料理から。

アダナ・ケバブ


南東部の都市アダナの名物ケバブ。肉とまぜるのは刻んだ赤パプリカで、それほど辛くはない。
※トルコのあちこちで食べたと思うが、辛いケバブだと思いこんでいた。アダナで食べたことがない。一度、本場で食べてみたい。(アダナ・ケバブの写真はサムネイルに)

井戸焼きケバブ(クユ・ケバブ)


羊を井戸のような深い穴に吊り下げて蒸し焼きにしたもの。サフランボル市がある北部カラビュック県の名物。

※まるごと羊の蒸し焼きはさぞ、うまかろう。

井戸焼きケバブ

ジャー・ケバブ


ドネルケバブの肉はタテに立てるが、こちらは横に寝かせて焼いて切る。ミディアム・レアで食べられる。食べごたえがある。リンゴの木、樫の木など、ススがあまり出ない木を選んで焼くそうだ。

※イスタンブールのシルケジ駅近くの専門店で食べたことがある。確かにこれはうまい。薄いラワシュにのせ、玉ネギ、スマックと一緒に食べると絶品だった。

ジャー・ケバブをそぎ切る職人さん

水差しで焼くケバブ(テスティ・ケバブ)


テスティはトルコ語で水差しのことで「天然の圧力鍋」。土製の水入れの中に、羊肉を玉ねぎ、ニンニク、パプリなどともにじっくり焼きあげる。水入れを割って食べる。アナトリア・ヨズカット県の名物。

水差しに入れて焼くケバブ

牛レバーのフライ(タワ・ジエリ)


西部エディルネの名物で、現地では多くの店が味を競っている。新鮮なレバーをできるだけ薄く切る。サクサクとした食感。

※これは、おいしくない訳がなさそう。

牛レバーのフライ

ココレチ


羊の大腸焼き。小さく刻んでパンにはさんで食べる。岡崎さんは、最初「臭い」と感じ食べられなかったというが、「今は好き」になったそう。日本でいうとホルモン焼き。値段も手ごろ。「日本ではやらせないと」と岡崎さん。

※イスタンブールなどでよく見かけたが、残念なことに食べたことがない。衛生面も改善されているとのことだし、時間は必ず食べる。

ココレチ

腸の詰め物(ムンバル)


羊やヤギの大腸の中にひき肉や刻み玉ねぎなどの具を詰めて煮る。ピラフ入りもあるようだ。

※エジプト・カイロの屋台で食べたことがある。東京・飯田橋のエジプト料理店「スフィンクス」にもあった。エジプトとトルコで作り方や味付けの違いを調べたら面白そう。

ムンバル

クズ・ジエリ(羊のレバー串)


南東部シャンルウルファの名物。小ぶりで、同じ南東部のディヤルバクルのレバー串のほうは、より大きいという。

※シャンルウルファに行った時に食べた。ウルファで最も印象的な食べ物だった。ダウンタウンのあちこちに、このレバー串の食堂があって、街にレバー焼きのにおいがただよっていた。

レバー串焼き

羊頭焼き(ケッレ)


羊の頭のグリル。岡崎さんは、スィワス県で食べたそう。

※脳や、頭の煮物は食べたことがあるが、焼いたのはまだ。まだまだ挑戦すべきものが多い。

羊の頭のグリル

ヤギの睾丸焼き(コチ・ユルムタス)


岡崎さんは、イラクとの国境の街、シロピで食べたそう。串に刺して、塩だけふって焼いたという。「食感はハンペンやマシュマロのようだった」という。

※昔、イラク・バグダッドのシリア料理店で食べたことを思い出した。おそらく羊だと思う。記憶はぼんやりしているが、マシュマロよりは固かったような気がする。

ヤギの睾丸焼き

【魚編に続く】


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