いつか笑顔でコーヒーが飲める日まで
2024年の1月1日。
能登半島を中心に大規模な地震が発生した。
以下の文章は、地震が発生してから1週間が経過した時に書いたインスタグラムに投稿した文章。
そちらから引用する。
以下、引用。
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能登半島の地震から1週間が経ちました。
ニュースやネットによる情報で、被害状況がだんだんと明らかになってきました。
こういう時、
「何かの役に立ちたい」
と思うのは、社会生活を送る人間の真っ当な精神状態だと思います。
ある意味では、興奮状態であるとも言えます。
その興奮を抑えきれずに現地入りする人もいます。
その”善行”が良い結果をもたらす場合もありますし、悪い結果をもたらす場合もあります。
が、
『いても立ってもいられない』
『何かの役に立ちたい』
という思いは、誰しも共感できるところだと思います。
私もそうです。
昨夜から、
『被災地や避難所でコーヒーを淹れるには』
というシミュレーションを頭の中で繰り返しています。
シミュレーションをすればするほどに、そのことがいかに『無理』で『無茶』で『無謀』で、そして、『今は誰もそれを望んでいない』という結論に至ります。
ですので、もちろん現地には行かず(行けず)に、仕事をしつつ、ずっと続けていた10円玉貯金を募金したりしています。
(尾鷲市ではコンビニや社協にて募金箱が設置されているのを確認しました)
せっかくなので、自分で考えたシミュレートの内容を書いてみたいと思います。
(結果的には『無理』という結論でありますが忘備のために....)
まず、自分が考えたことは
『被災地や避難所でコーヒーを淹れる』
ことなので、人命救助や土砂の撤去や道路の整備ではありません。
目的が人命救助や医療行為やインフラの整備や重機の運転ではない以上、すぐに駆けつけなければならないようなことではないため、とにかく邪魔にはならないことが必要ですし、現地のボランティア活動・救助活動が優先です。
自分自身の健康維持や安全確保、食料の確保や就寝場所の確保は自助が基本ですし、コーヒーを淹れるための材料や機材一式、また電力やガスの確保や運搬も自分で賄う必要があります。
目的と手段を総合的に考えると、キャンピングカーで現地入りする、ということが良さそうです。
ただ、私自身はキャンピングカーも持っていないので、自分で購入するか誰から借りるか、という選択になります。
(とはいえ、今は道路整備も行き届いていないこともあり、個人が車で現地入りすることも控えた方が良さそうです)
さらに、もし活動を1ヶ月続けるとして、その間の、自分の食事代、燃料高熱費、食材(安全な飲み水、コーヒー豆)、消耗品費を考えるだけでも余裕で3桁になってしまいます。
考えれば考えるほど、
「そんなお金を工面できるくらいなら寄付しろ」
という結論に至ります。
....が、もし、これが自宅から車で2〜3時間の圏内なら、休日を利用して実行可能です。
野外でコーヒーを淹れる機材とノウハウは、これまで野外出店をしてきた経験と、その時その時に買い揃えた機材でなんとか賄えそうです。
能登半島は、尾鷲市から車で7時間半。
しかも今は冬の時期で、軽い気持ちで行くと自分の命の危険もあります。
歯がゆい思いも抱えながら、それでも、何かしらできることはないか、という思いと、『何かしらできることはないか、という思いで考えてみたこと・備えてみたこと』が、違う場面で役に立つこともあるかもしれないという可能性を鑑みて、無理は無理でも、何かしらの手立ては考え続けようと思います。
もしかしたら、誰かのアクションに便乗させてもらうことにもなるかもしれませんし、そうなった時にすぐに動けるような準備と心構えが必要です。
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以上、インスタグラムに投稿した文章。
この文章の投稿する前に、石川県で働く大学時代の後輩に電話した。
電話をすること自体、とても迷ったが、思い切って電話をしてみた。
本人はいたって元気で、家族も全員無事だった。
本人の無事を確認した後は、現地の様子やボランティア受け入れの状況についてあれこれ伺った。
実際のところ、甚大な被害を受けた地域では行政機能自体が麻痺していて、今は、救助活動や捜索活動の専門家や医療関係者やDMATの受け入れが最優先で、一般の車が現地に入ることには規制がある、とのことだった(※1月8日の時点で後輩から聞いた石川県の状況)。
道路状況もよくなく、さらにこれから雪が降ることも考慮すると、とりあえずは行きたい、という気持ちを抑えて、金銭面で支援するのが得策だろう。
引用にも書いたが、私の普段の『コーヒーを淹れる』『お菓子を作る』という仕事内容は、直接の人命救助やインフラ復旧のための行動内容ではないため、『被災地でコーヒーを淹れる』などの行為は今の段階ではまだ必要のない活動だし、実行に移すにしてもかなりのコストがかかることなので実現不可能なことかもしれないが、シミュレーションだけでも色々と考えさせられることがあった。
復旧のレベルに合わせて、いずれは
『社会的復興』
『コミュニティの再生』
が必要な段階(フェーズ)に差し掛かる。
そういうフェーズに差し掛かったらまた、色々と考えてみようかと思う。
『こういうこと』を考えさせれる機会は度々訪れる。
例えば2011年の震災。
例えば2020年から続く新型感染症のパンデミック。
そんな時いつも、『自粛』『不要不急』という言葉が飛び交い、自分の仕事の存在意義を考えさせられる。
しかし、それらのことを経験し、今は、自分の仕事を『不要不急』だとは思わないし、『自粛』しようとも思わない。
2024年に入ってからの投稿で、
自分の仕事における『だからこその』役割を全うしようと思う
と書いた。
こんな時だからこそ、
こんな状況だからこそ、
自分の仕事を全うする。
コロナの経験を経て、今はもう『自粛』『不要不急』という言葉の前に怯むことは、ない。
石川県の後輩のことをもう少しだけ。
後輩とは大学卒業以来、直接電話などで話したことはなかった。
突然電話しても大丈夫だろうか?
そしてそもそもの話、私のことを覚えているだろうか?
覚えていたとしても怪しまれないだろうか?
非常時で電話どころではないだろうか?
色々と『連絡をしない理由』を逡巡したが、やっぱり電話をかけることにした。
突然の連絡に驚いていたが、徐々に冷静に、石川県の状況を教えてくれた。
そして、電話を切ったあと、メールで、
「ハマノ先輩が私が石川県出身で、石川県で働いている、ということを覚えていてくれて嬉しかったです。思い出してくれただけでも励まされます」
と伝えてくれた。
実は、色々と逡巡しながらも最終的に後輩に電話をしようと思ったのは、昨年(2023年)に、20年以上ぶりに大学時代の先輩がわざわざ大阪から尾鷲まで、私に会いに来てくれたことに由来している。
その時の感謝の気持ちとお礼と、ペイフォワードとして、後輩にもしてあげるべきだと思ったからだ。
後輩は、
「石川に来るのは温かくなってからでも大丈夫です」
と言ってくれた。
それまでは金銭面で援助しようと思う。
そしていつか石川県に住む後輩と一緒にお茶を飲める日が来るといい、と思う。
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