後悔していることを物語に落とし込む。
最近また『ハチミツとクローバー』、『3月のライオン』熱が再発している。
(どちらも羽海野チカさんの漫画)
『ハチクロ』も『ライオン』も、その物語を通して語られる作者の『職業論』『職人論』『仕事論』.....ひっくるめて『人生論』みたいな部分がとても好きだ。
ところで、
今の仕事をしていて、これまで『あの時ああすればよかったな』なんて思うことはたくさんあるのだけど、今でも後悔しているのは、とある人の電話でのオーダーを、忙しいことを理由に断ってしまったこと。
12月の中旬にかかってきたその電話は、『12月24日渡しでホールのケーキを作ってほしい』というものだった。
毎年12月24日前後は眠い目をこすりながらケーキを作っているが、決して渡しそびれのないように、個数を限定しており、定数に達し次第それ以上の注文は受けないようにしている。
件の電話の時も、すでに定数に達していたので、注文をお断りした。
ただ、その人のオーダーは、クリスマスケーキではなくバースデーケーキだった...
「今の時期にバースデーケーキを作ってくれるお店がなくて...」
という切羽詰まった感じの電話だったが、バースデーケーキにせよ、クリスマスケーキにせよ、12/24にお渡しの注文はこれ以上受けられない状況だったので断ってしまった。
(その電話よりも前にかかってきた電話注文も断っている状況だったので、その人だけ特別扱いできないと思い...)
今思えば多少無理してでも、その人を特別扱いして作ってあげればよかったな、と後悔している。
僕の作るクリスマスケーキ(イチゴのタルト)なんて、上に乗せる『メリークリスマス』のオーナメントを『ハッピーバースデー』のオーナメントに変えればいいだけなのだから.....
今でも、あの時に忙しいことを理由にオーダーを断ってしまったことを悔いている。
もう二度とうちにはオーダーしてこないだろうし、もしあの時作ってあげていれば、その後も毎年オーダーをくれただろうし、何より、クリスマスケーキしか売ってない12/24にバースデーケーキをもらえた人は、とても嬉しかったはずだ。
そのことを時々思い出しては、戒めにしている。
先日、仕事しながら、ふと、なんか、『そのこと』を『物語に落とし込む』としたら........という『お題』が頭に浮かんで、とりあえす羽海野チカさんの世界観をイメージして、僕の頭の中で架空のパティシエを主人公として、『そのこと』をベースとして設定して、ちょっと脚色して物語を作るという一人ワークショップ(というかひとり遊び)をしていた。
『そのこと』を脚色して物語化させるとしたら、そのために必要な登場人物はどれだけ必要なのか.....物語が物語として動き出すために必要な『必然性』や『動機』や『設定』や『役割』や『人間関係』なんかを考え出すと、なんか面白くなってきた。
パティシエの他に必要な登場人物は....その登場人物に必要な背景の設定は....そのパティシエはどういう経歴で、どういうお店で働いてて....そのほかの登場人物は何歳で、どんな家族構成で、とか色々と考えていた。
物語の舞台はどんなところがいいのか、とか。
そうやって色々と考えていると面白いもので、パティシエはパティシエじゃなくてもいいんじゃないか、とか、毎回お菓子の歴史やウンチクを絡めたオムニバス形式の話にできるんじゃないか(『カヌレの回』とか『クレームブリュレの回』とか)とかが思い浮かんできて
.........とはいえ製菓にまつわることをエピソード化する、なんて別に珍しいことでもなんでもなく、世の中にある『グルメ漫画』とか『グルメエッセー』と呼ばれるジャンルは要するにそういうことなのだろう。
この作業、『一人ワークショップ』ではなくて、ちょっとお菓子に詳しい人たちと、あーでもない、こーでもないと話してながら、一つのお菓子に対して一つの物語を作るというワークショップというか、そういう『遊び』ができるんじゃない?と思えてきた。
『脚本作りワークショップ』とか『物語作りワークショップ』とか....やってみると面白いかも、と。
なんなら、『製菓』というワードがなくても、最近はちょっと『物語の作り方』と『登場人物の設定と役割』に興味が出てきて、なんか、そういうことをゲームとして成立できないかな?
羽海野チカさんの世界観も好きだけど、最近読んだ漫画『風街のふたり』の作者であるカシワイさんの世界観も好きで...
あんな絵が描ける技術が欲しいな、とか思ったりしている。
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