水色とラベンダー色の姉妹
人に色がついて見える、というお客様がいらっしゃいます。
彼女は占い師でもカウンセラーでもなく、オーラとはまったく関係のないお仕事に就かれている方で、ある日突然、人の周りに色が見え始め、いわゆるオーラというものなのかどうかもご本人にはわからず、その色が何を意味しているのかもわからないそうです。
店で居合わせた常連様を見てもらうと、「〇〇色。疲れている感じ」とか「すごく勢いのある○○色で個性が強い感じ」とか「とってもキレイな〇〇色! いい人だと思う」とか、わたしにこっそり教えてくださるので、色とともに伝わってくる印象もあるようなのです。
彼女にとって初対面の人であるにもかかわらず、わたしが常々感じている常連様方の印象とピッタリ重なるから、驚きです。
ちなみに、わたしの色は「透明な水色」らしい。
十年ほど前は、その「透明な水色」の中に、「頭から角のように白い筋が1本上に向かって伸びている」とか、「キラキラとラメのような光るものが入っている」とか言われたのですが(その意味は不明)、現在はただの「透明な水色」だそうです。
最近では時々、「この前すっごく汚い色だった」とか「今ちょっと色が良くない……」とか口ごもられたりして、切ない。
どうしちゃったの、わたし。
とはいえ、基本的にはわたしの色は「透明な水色」だそうで、なんだかキレイなイメージで嬉しいです。
「透明な水色」のオーラをネットで調べてみると、いろんな説があるようですが、どうも「透明」なのは「純粋」や「癒し」「洞察力」を表して、「水色」自体は「直感力があり感受性が豊か」とのこと。
有頂天になりそうな言葉ばかりですが、当然、この色が示すマイナス面もあり、いろいろと納得です。
ちなみに姉の色も教えて貰ったところ、「薄いラベンダー色(透明ではない)」だそうです。
こちらもざっと調べてみると、「忍耐力が強い」「高い精神性」とのこと。
わたしと違って子供の頃から何事も根気強く続ける傾向にある姉なので、「忍耐力」はたしかにあると思うのですが、「高い精神性」だなんてさすがにどうだろうかと首をかしげる妹のわたし。
姉の運転する車に同乗した時など、運転マナーの悪い他車に対して、ハンドルを握りながら少々口汚く罵っているのを目撃することが多いので。
でも、子供の頃に思いを馳せると、姉の「高い精神性」を思わせるエピソードはいくつもあります。
以前、姉との思い出をご紹介したことがありました。
ピアノ教室がらみでは他にもありまして、おそらく姉もわたしも小学校低学年だった頃のことです。
ピアノ教室からの帰り道のバスを降りた直後、わたしがトイレに行きたくなったことがありました(大の方)。
バス停から自宅までは徒歩約15分のゆるい上り坂。
途中、トイレを借りられるような場所もありません。
そこで、切羽詰まった幼きわたしは姉に頼みました。
「お姉ちゃんにおんぶしてもらって、お尻を押さえてもらったら、我慢できるかも」
我ながら、なんて自分勝手でわがままな妹。
きっと透明な水色オーラがもつ「純粋」な瞳で「直感力」に従って言ったのでしょう。
その時、姉は躊躇することなくわたしを背負い、後ろに回した手でわたしのお尻を押さえ、真夏の炎天下に大粒の汗をかきながら、坂道を上って家まで速足で帰ってくれました。
まさしく、薄いラベンダー色オーラの「忍耐力」と「高い精神性」がなせる業です。
お姉ちゃん、その節はサンキュー。
帰宅した姉妹を迎えた母の目撃情報によると、姉の背中でわたしは鼻歌を歌っていたらしいです……。
わたしの色が最近あまりキレイじゃなさそうなのは、こんな幼少期のエピソードからもうかがえます。反省。
そんなわけで、いまだに水色のわたしはラベンダー色の姉に、頭が上がらないのです。
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