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上高地週間(涸沢編)

一週間のうちに2回上高地を訪れた後半の、涸沢カールへの旅をご紹介します。
前半の徳沢編はこちら。

毎年上高地の徳沢を訪れて、ずっと「いつかはその先の涸沢へ」と思い続けて、10年経過。
ついに今年、1年前から計画して、友人と夫と、3人で行ってまいりました。

女性陣の体力を考えて、2泊3日の行程。
少々膝に難のあるわたしは下りがとても苦手なのですが、結局1泊目を横尾山荘、2泊目に涸沢ヒュッテという「上りに2日かけて、3日目に一気に下って家まで帰る」という計画です。

今回の涸沢行きについては、たまこさんのこちらの記事がとても参考になりました。
ありがとうございます!

たまこさんは、今年わたしの営む喫茶店を訪れてくださり、そしてそれは初めてのnoteで知り合った方のご来店で、喜びと緊張で震えました。

さて、上高地バスターミナルでバスを降りて徳沢までは、徒歩2時間ほど。
徳沢から横尾までは比較的平坦な道を徒歩1時間ちょっと、無事横尾山荘に到着しました。
横尾は登山コースの分岐点になる場所で、普段は登山者で溢れているとのことですが、シーズン終盤の平日のせいか閑散とした光景でした。

静かな横尾山荘。
スタッフの方もとても親切で、お風呂もあって快適でした。

友人とわたしは小屋泊、夫はテント泊です。
上高地は今年7月の豪雨の影響が大きく、横尾もテント場の状況が大きく変わり、トイレ設備にも被害があったようです。
この夜テント場は、夫のテント1つだけでした。

翌朝は、快晴。
山荘の朝食後、いざ、涸沢カールへ向けて出発。

横尾山荘前にある横尾大橋。
これを渡って進みます。
途中、やはり7月の豪雨による爪痕があちこちで見られました。
屏風岩を回り込んで、涸沢方面へ。

本谷橋を過ぎたあたりから、ゴツゴツとした大きな石の階段状の道が多くなり、急坂になります。
わたしの膝は上りはそれほど影響ないのですが、段差が大きい場合は少々痛み、自分なりにテンポよく登らないと逆にしんどい。
ゆっくりと登るとかえって膝の痛みを感じてしまうのです。
そのため、気づくと一人でどんどん先へ進んでしまいました。

「青ガレ」と呼ばれる落石危険箇所から、ちらりと覗く涸沢カール。

「もうすぐもうすぐ」「あとちょっと」と繰り返す夫に、さすがにその言葉はもうアテにならないと友人とブーブー言い出した頃、赤い実をたくさん付けたナナカマドの群生が現れました。

青空に映える赤い実。

そして、ついに!
涸沢ヒュッテ到着。
横尾から3時間ちょっとくらい。

すでに小屋じまいのための覆いが打ち付けられ、入り口は洞窟状態。
デッキも手摺が取り払われ、
小屋じまいの準備が進んでいました。
向かいに遠く見えるのは涸沢小屋。
まだ10時半だったけれど、生ビール。
はじめての涸沢に乾杯!
お腹ペコペコでラーメンも食べました。

その後、涸沢小屋まで行ってまた違う景色を楽しみながらビールを飲み、ヒュッテに戻って裏にある池(池の平)周辺も歩きました。
さらに、パノラマコースの絶景ポイントまで足を延ばしてみることに。
そして撮れたのがこちら。

冬囲いを施された涸沢ヒュッテと、山々。
この写真を撮った後、わたしは派手に転びました……。

写真を撮った直後、岩ばかりの狭い山道で転倒。
踏み出した左足のつま先が足元の岩に引っかかり、前に倒れ込む体を支えようと出した左手がサコッシュに絡んだのかなぜか前に出ず、そのまま前方の石だらけの地面に向かってうつ伏せで倒れ込み、左鎖骨と両膝下を強打。
かろうじて右手を出せたのでただの打ち身で済みましたが、一瞬骨折したのかと思って自力で下山できない可能性がよぎり恐怖しました。
骨は強い家系で助かったけれど、絶景に浮かれて調子に乗って無理をしてはいけないと深く反省。

膝が悪いのに、「足手まといになりたくない」とか「負けたくない」とか「雰囲気悪くしたくない」とか「みんなと同じ景色を見たい」という欲から無理をして、結局みんなに心配と迷惑をかけるパターンがわりとあるかも。

体が動くことを確認してホッとした後、それでも痛みに耐えかねてしばらく座り込んでいるわたしを、面白おかしく撮影しまくる夫。
その後約1時間ほど痛みのためにテンション爆下がりでしたが、夕食時にはご機嫌でまた生ビールを飲みました。

食堂には懐かしき三歩が!
この夜の寝床。快適でした。

翌朝は、一気に下って家まで帰るために早々に下山です。
さあ、これからが膝との勝負の時間。
ストックを持って、大きな段差の岩の階段を下りていきます。
そのわたしの姿を、夫はいつも「生まれたての小鹿」と言います。
つま先を真っすぐ前に向けて降りることができず、両手でストックを突いてカクカクプルプルとぎこちなく動くから。

結局、やはり上りとほぼ同じ時間が下りにもかかりました。
それでも、鎖骨を強打したのにザックが背負えて良かったです。

夕方の河童橋周辺では、朝の涸沢で見られなかったモルゲンロートの代わりに、アーベントロートが眺められました。

夕陽に光る吊尾根、前穂高岳、明神岳。
この尾根の向こう側から歩いてきたのだなあ。

自然の中を歩いていると、いろんなことを考えます。
みんなとペースを合わせられないのは、登山の場合は膝の痛みのせいだけれど、別のことにも置き換えられるのではないか、とか。
自分がチームや組織で仕事をするのが苦手なのは、もしかしたらわたしという人間に、膝の痛みのような欠陥があるからなのではないか、とか。
膝はどうやら治らないようだし、性分もどうしても直せないなら、もうしょうがないよねえ、とか。

足の置き場を探しながら、美しい景色を眺めながら、いろいろ考えた3日間。
河童橋周辺を歩く街の装いの観光客とすれ違いながら、「さあ、またいつもの日常がはじまる」と気持ちを切り替えて帰路につきました。


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