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季節によって売上が落ち込んで気分まで落ち込んでしまう人に読んでほしい話

夏の憂鬱を因数分解してみる

前回、夏が近づくと憂鬱になると書いた。売上が減るためだ。
それも繁忙期と比べると2〜3割もダウンする。固定費は変わらないので利益はほとんどなくなってしまう。夏ほど労働の価値を考えさせられる日々はない。

私は思ったことを口にせずにはいられないタイプ(世間的には信用がおけないタイプらしい)で、「夏が忙しくなるにはどうすればいいですかね?」と、お客さんによく聞いたりする。
すると大抵は「かき氷をやってみては?」とか、「パフェをやってみては?」という答えが帰ってくる。とても有難いことである。
しかし、これらは当然私も考えた。色々と夏らしい商品も開発した。(アイスケーキやコーヒーソーダなど)
結論からいうと新商品を出しても短期的にはそれほど売上に影響しないという事だ。
分母が変わらず、選択肢が増える形になるので長期的にはプラスかもしれないが、目に見えて売上が変わるという事はない。やはり今までにないサービスや販促方法で分母を大きくしなくてはならない。

「そこまで分かっているならさっさとやればいいじゃないか!」という声が聞こえてきそうだが、そこがまた難しい。
仮にウチが流行に敏感なお店で、新商品がインスタ映えしてバズることでもあれば若い人がいっぱい来て売上は上がるかもしれない。しかし、幸か不幸か全くそういうタイプのお店ではない。(特にコーヒーという黒い液体は全く映えない。今は香りを伝えるSNSが登場するのを待つばかりである。)
そもそも私にそんな資質が全くないのだ。無いどころか、そんなお店に連れて行かれたら身の置き場がなくてソワソワしちゃうくらいだ。(ウチのお客さんの8〜9割は同じような人だと思う。)
なので、ウチは「バズって行列ができているお店は入りづらい」と考える人たちがいっぱい来てバズってる状態が理想的なのである。

話は逸れたが、今回は売上が上がらなくても憂鬱感は解消できないかと考えた話をしたい。
ここでもう一度問題に立ち返ってみよう。

「夏が憂鬱になる」→「売上が下がるから」→「売上を上げるのは難しい」→「夏が憂鬱になる」→・・・・・

12年間ずっとこのループに悩まされてきた。
ここでふと別の視点で見てみる。確かに「夏が憂鬱になる」の直接的な原因は売上の減少である。しかし、逆に「夏が楽しみだ」という状態にする方法は必ずしも売上を上げるだけではないのではないか。
他に楽しみになる理由があれば、プラスとマイナスで相殺されるのではなかろうか!?

まず、自分を内観したときに相反する二つの想いがある。

a お店を繁盛させたい。売上を上げて経済的にゆとりを持った状態になりたい。
b 売上に追われず、日々の仕事と生活を穏やかに営みたい。

今まで「a」、つまり経済対策ばかり意識してきたが、今年は思い切って夏限定で「b」の対策をとってみてはどうだろうかと考えた。
具体的には6〜9月の間に私を含めてスタッフの休みを増やすのだ。
そして増えた休みで、今まで時間が足りなくてできなかった事を存分にやってみる!
こう考えただけでちょっとワクワクしてくるじゃないか。

休みの増やし方については、定休日を増やす案と定休日はそのままでスタッフが交代で休みをとる2案が出された。
話し合いの結果、定休日を増やすと、知らずに来たお客さんに迷惑をかけてしまうので交代で休みをとることに決めた。(決してほんのちょっとでも売上を落としたくないという貧乏根性からではない)
そもそも売上が2〜3割下がるのに繁忙期と同じ人員が必要なわけがない。
「夏は暇になるけど、その分好きなことが出来るので楽しみだ」こうなれば理想的である。

やってみた結果・・・

実はこの文章を書いている時点で休日を増やして一ヶ月以上が経っている。
思った通り、人員を減らしてもお店は運営できている。
これは順調に売上が落ちている証拠だ。(涙)

しかし、副次的な良い効果も出始めている。
ひとつは私が休むことで(と言いつつその辺をウロチョロしている)スタッフ同士で動きを調整していること。
私がお店にいるとどうしても頼られてしまうが(決して小間使いにされているわけではない)強制的にいない状態を作ると自分たちでやらざるを得ないからだ。
もうひとつは、日頃からスタッフやお客さんに「今度〇〇やりたいんですよね」とよくビジョンを語っているのだが、今までほぼ実行していなかった。
いつしか何を言ってもしらけた目でしか見られなくなっていたのだが、そういった事にも取り組めるようになった。noteもそのひとつだ。
もしかしたら新しい取り組みから夏の売上を挽回するビジネスが生まれるかもしれない。

私は一ヶ月の休日が4日増えた。ほぼ倍増と言っていい。
今までこんなに休んだことはない。なんせ勤めている時なんかは、、、、やめておこう。

増えた休日の捉え方は人それぞれだ。休んでリフレッシュする人もいれば、新しい事にチャレンジする人もいる。
私はといえば普段の出勤日は「やらなきゃいけない事を優先的にやる日」とするなら、増えた休みの日は「やりたい事を優先的にやる日」と捉えている。
そう、結局は仕事をしているのだ。
しかし、やりたかった事をやっているので売上は増えていないが、自分の中での満足度は上がっている。
増えた利益で満足を買うのであれば、最終的には同じことなのかもしれない。

時期によって売上が落ち込む商売は、あえて上げずに別の楽しみを探ってみるというのはどうだろうか?

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