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お前は誰だ 2022/04/11

先日、私のnoteにこんなコメントがついた。

「ダイエット中なら、セブンイレブンのゼロサイダートリプル乳酸菌がマストバイ」

それはダイエット中のわが身を案じ親切心から寄せられたアドバイス・コメントで、この殺伐としたインターネットジャングルの中にもまだ善性というのがひとかけら残っている証でもあった。

しかし……私はこう思わずにはいられなかった。「……その胡散臭すぎる商品名はなんなんだ?」

どうやらこれはペットボトル飲料のようで、ゼロ・サイダー・トリプル・乳酸菌……因数分解するとわかることだが、この4つの要素から成り立つ飲み物らしい。

つまりこうだ。

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私は訝しんだ。しかし、百聞は一見に如かずという言葉もある通り、私はセブンイレブンに出かけ……「ゼロのサイダーのヤクルトありますか…?」と脳内で唱えながら店内を物色した。普段はポテトチップスの棚をチェックするのだがそれもスルーし、私は得体の知れないドリンクを探し歩き回った。

そして見つけた。

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わかってしまえば単純なことだが、ゼロ・トリプルとは「カロリーゼロ・糖類ゼロ・脂質ゼロ」のことであった。破断撃もバスターショットも関係なかった。

そしてパッケージ中央下部に書かれた「乳酸菌1,000億入り」の文字。カロリーも糖類も脂質もゼロなのに乳酸菌だけそんな天文学的な量入ってるってどういうことなんだと思わなくもない。

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裏面の成分表示を見ると、これでもかとゼロの数字が並んでいる。エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、糖質、食物繊維、全てゼロだ。今どき催眠音声でもそんなゼロゼロ言わねえぞ。というか、それならお前は何なんだ。「何者でもない」とは自己の定義を証明することにはならないはずだ。誰だ。お前は誰なんだ。ゼロは俺に何も言ってはくれない。

そして食塩相当量だけ0.024gらしい。これまでの情報を総合すると、この飲み物は1.000億個の乳酸菌と0.024gの食塩だけで成り立ってることにならないか? 数の振れ幅が大きすぎる。

いまいちサイダーと乳酸菌の組み合わせが想像つかないが、物は試しと飲んでみた。結論から言うと…………「ヤクルト風味のサイダー」といった感じで、感想を言うならば「たしかにね」という納得できる味であった。甘いし、炭酸もあって良い感じだ。しかしこれでなにもかもゼロなんだというのだから、この世界における科学の力のすごさを改めて思い知らされる。

商品レビューは以上だ。コメントありがとう。なかなか気に入りました。


しかし……この甘い飲み物をカロリーゼロで作れるんだから、もはやセブンイレブンの商品開発部に不可能なことなんて何もないんじゃないのか? このサイダーだってほとんど魔法みたいなものだし、そのうちカロリーゼロのポテトチップスとかも作り出してくれるのではないだろうか。それかもしくは、ポテトチップスを食べた気にさせてくれるマシンだ。

購入してパッケージを剥がすと、赤と青……二つの電極がむき出しになる。その電極を舌の上に載せ、口を閉じてスイッチ・オンだ。すると電気信号が舌に伝わり私の脳内に「ポテトチップス爆食天国」の映像が流れだす……。しかし実際には食べて居ないのでカロリーはゼロだ。そういう商品が、いずれ出るだろう。しかし…………それが嬉しいことなのか、私にはまだわからない。

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楽しみとは何か、食事とは何か、人間は何故生きるのか。そういったことを、我々は考えるときが来たのかもしれない……。


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