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有栖川夏葉の撃つ波動拳は何色なのか

まずは以下の表を見て欲しい。

以上の共通点により、有栖川夏葉とリュウは本質的に同一と言える。


「そんなわけないだろ」という声が聞こえてくるようである。この説に驚く読者諸氏の気持ちもわかるが、今回議論したい内容は「有栖川夏葉の撃つ波動拳の色は何色か」というものであり、先ほどの表で示した内容はその前提である。しかし、活発な議論と公正明大な論拠のために、まずは「有栖川夏葉とリュウは本質的にかなり近い存在である」という前提を解説しておこう。

上記の表を説明していく。

・性格 目標 トレーニング

あなたは有栖川夏葉をご存知だろうか。

彼女は283プロダクションに所属するアイドルだ。「放課後クライマックスガールズ」というユニットで活動しており、その美貌と前向きで努力家な性格で人々を魅了するアイドルだ。アイドルマスターシャイニーカラーズに登場する女性陣の中でも抜群の人気を誇っており(筆者調べ)、現在最も輝いているアイドルと言っても過言ではない。

こちらが放課後クライマックスガールズの面々 個性的な面子の揃う賑やかなユニットだ

次に、リュウだ。

言わずと知れた世界的格闘家である。鉢巻に道着は彼のトレードマークであり、ストリートファイターシリーズの顔だ。その活躍は長く、初登場の1987年から「Mr.格闘ゲーム」というポジションで最前線を戦っている。

そんな彼の性格は努力家で真面目、まさに「武人」を体現したキャラクターだ。

彼の性格はストリートファイターⅡにおける 修行 あるのみ! というストイックなセリフにも表れている。

このように「世界一の格闘家を目指して戦い続ける努力家」がリュウである。

一方で、有栖川夏葉はどうだろうか。

「トップになるためには、誰より努力しないといけないのよ?」

こちらは、勉強とトレーニングを平行して行うために本を読みながらダンベルをあげる姿をプロデューサーに見られた直後の台詞である。「トップアイドルになるために、必要なのは努力」と信じて疑わず自身の道を進む彼女のスタイルがよく現れている。

こちらはアイドルグランプリを優勝した後に放ったセリフ、決して奢らず、ただ邁進していく努力の鬼、それが彼女だ。

ユニットメンバーとジムでトレーニングするシーン

ここまででわかる通り、有栖川夏葉とリュウ、二人には「世界一という目標のために努力し続ける」という共通点があることがわかる。

この二者において、アイドルと格闘家という道は違えど、「努力で突き進む」という選んだ手段は同じといえる。

・突進する蹴り技がある

さて、リュウの必殺技といえば、「格ゲー三種の神器」ともいわれる波動拳、昇竜拳、そして竜巻旋風脚だ。

片足を軸に回転しがら突進するこの攻撃技、最新作『ストリートファイター5』では対戦相手に100ポイントのダメージを与える必殺技だ。

次に、こちらだ。

有栖川夏葉のPSSRカード「メイドインナツハ」の思い出アピールである。しっかりと左膝蹴りが炸裂している。これはリュウのライバルキャラの一人"サガット"の使用する、竜巻旋風脚の亜種ともいえる必殺技「タイガーニークラッシュ」の系譜を継ぐ技だと思われる。

ちなみに今回の施行では24221ポイントのダメージを与えた。竜巻旋風脚の約242倍、一撃で『スト5』のリュウが23人倒せるダメージである。(リュウの体力は1025)まさに必殺技といえるだろう。

・相棒でありライバルである金髪の存在がいる。

リュウにとって共に競い合い高めあうライバル……それがケン・マスターズだ。

同門の弟子であり、同じく昇竜拳、波動拳などの必殺技を使う(ケンの方が蹴り技が強いという特徴がある)。リュウとの関係も良好であり、一番の親友であり生涯のライバル、お互いが認め合った存在である。

一方で、有栖川夏葉における親友でありライバルの存在は、樹里(じゅり)だ。

おっと、画像を間違えた。樹里はこっちだ。

彼女は西城樹里(さいじょう じゅり)、夏葉と同じユニットのアイドルで、彼女と切磋琢磨しあう相棒でありライバルである。

お互いがお互いを理解し、競い合いながら高めあう関係。同ユニットというのはいわば同門みたいなものであり、そして樹里はケン・マスターズと同じ染めた金髪……これは偶然だろうか? 彼女たち二人はリュウとケンの関係に極めて近いと言えるだろう。

と、このように有栖川夏葉とリュウには相似した点が非常に多いのである。

以上で、「夏葉とリュウは本質的に同一」の説明を終える。

そして、夏葉とリュウの相似に至ったのであれば、次に気になるのはこのトピックだろう。

『有栖川夏葉の撃つ波動拳の色は何色なのか?』

 2022年2月現在、夏葉がゲーム内で波動拳を出したという描写はない。(私はシャニマス全てのコミュを読んでいるわけでは無いので、確認不足だったら……つまりどこかで波動拳を放っているのなら申し訳ない)

スーパーマックスエナジーショットなら撃っている(枕投げ)

しかし、夏葉が本質的にリュウに近い人間であるのだから、いずれ波動拳を出せるようになっても何ら不思議では無い。問題は、その波動拳は何色だろうか? という点である。

ここで1点、波動拳について詳しくない諸氏にむけて解説しておこう。波動拳とはストリートファイターシリーズに登場するエネルギー弾のような必殺技で、通常青色をしている。リュウが使う波動拳も青色だ。しかし、特殊なエネルギーを込めた強化版の波動拳は炎のようなオレンジ色をしており、「灼熱波動拳」と呼ばれることもある。

それでは、この問題は「夏葉が出す波動拳は青色かオレンジ色か?」というものなのかというと、そうでは無い。何故なら、波動拳の強化版が"灼熱"であるため、そこに使用者による変化は特にないのだ。そして、波動拳に使われる「波動」には、もう一つの種類があり……それが本議論の主題である。

それが、「殺意の波動」だ。

殺意の波動をご存知だろうか? それは作中でリュウが直面する波動であり、簡単に言うと「強さを追い求めるあまりたどり着いてしまった闇の力」だ。リュウは殺意の波動を纏うと弱者を憎み強者と闘うことのみを喜びとする戦闘狂になってしまい、ゲーム中でそのまま「殺意の波動に目覚めたリュウ」や「影ナル者」というifの姿でキャラクター化された。

そしてこの殺意の波動に目覚めると、本人が出す波動拳の色が紫色になるという特徴がある。通常の波動拳は青色でエネルギーを多く注ぐと燃えるオレンジ色、対して殺意の波動に目覚めた者の波動拳は常に紫色だ。

つまり冒頭の問いはこういい換えることができる。

有栖川夏葉は殺意の波動に目覚めるだろうか?

彼女は努力家だ。努力で全てが乗り越えれると信じているかのように、彼女は自己の研鑽を続ける。しかし、そんな彼女の前に努力だけでは超えられない壁が出てきたらどうするのだろうか。圧倒的才能の差や経験の違い……そういった高く厚い壁だ。それは他のアイドルかもしれないし、豪鬼かもしれない。

豪鬼は「殺意の波動」を纏うことで鬼神のごとき力を発揮して戦うファイターだ。強者との命をかけた戦い「死合い」に己の存在価値を見出しており、「拳を極めし者」の二つ名を持つ超人だ。そんな豪鬼がリュウのケースと同じように有栖川夏葉の前に壁として立ちはだかった場合、どうなってしまうのだろうか。彼と同じ高み登るため、夏葉も「殺意の波動」に目覚めてしまう可能性が無いとは言い切れない。

彼女の前向きさ……成長や鍛錬、トレーニングといった言葉に通じる上昇志向は、裏返せば「向上心こそが、己の人生」という意味にもとることができる。それは豪鬼の言う「死合う覚悟なきもの、語るに能わず」という精神に通じるところがあるのではないだろうか。

それでは、彼女は殺意の波動に飲まれてしまうのか? 彼女の撃つ波動拳は紫色になってしまうのか?

筆者は有栖川夏葉のW.I.N.G、ファン感謝祭、G.R.A.D、Landing Pointシナリオをプロデュースして、その強い向上心に感銘を受けると共に、彼女が「殺意の波動」に飲み込まれる危険性を感じていた。彼女がいずれ闇のオーラを纏い、その手からは紫色の波動を漂わせ、「オーディション」を「死合い」と呼ぶようになるかもしれない、そういった可能性を常に考慮してシナリオを読み解いていた。


だがしかし、その心配が杞憂だと私は結論付けた。


それは、彼女の最新PSSRカード「マイバレンタイン」のコミュを読んだからだ。(以下では、カード「マイバレンタイン」のコミュの内容に触れていく。ネタバレには配慮するつもりだが、注意されたし)

・夏葉とリュウの違い

私が彼女の撃つ波動拳が紫色ではないと確信した一番大きな論拠は、「有栖川夏葉にはプロデューサーが居るが、リュウにプロデューサーは居ない」という点だ。

有栖川夏葉というアイドルは努力家だ。努力家で、がむしゃらに研鑽を続ける姿はともすれば危なっかしく見える。彼女は成人しているとはいえまだ二十歳、一歩間違えれば誤った方向へ進んでもおかしくないものである。しかし、そこを支えるのが大人の男性であるプロデューサーなのだ。

彼女は進むべき道を、彼女自身がわかっている。そしてそれを監督し、都度調整と修正をかけるのが、プロデューサーと有栖川夏葉の関係である。それは一見ビジネスライクな関係に見えるが、自尊心の強い彼女と二人三脚ができているという時点で、二人は強い信頼関係を築けているということに他ならない。

そして彼女はバレンタインチョコレートを渡すために車で待ち、待ち時間を詫びたプロデューサーに対してこう言った。

「そろそろかしらって 待っている時間も、楽しかったから」

これは彼女とプロデューサーの間に深い絆が存在する証左だ。実力者である有栖川夏葉と強い絆を結ぶには、もう片方も確かな実力を持つ必要がある。そして実際、283プロダクションのプロデューサーはかなり有能だ。計画力・実行力・主体性・課題発見力・そして状況把握やユーモアに優れ、中でもアイドルに対してのコミュニケーション能力には目を見張るものがある。そんな彼が居るのだから、夏葉がもし「殺意の波動」に傾きそうになったとしても気づかないということはあり得ないはずだ。

対して、リュウは孤独だ。ライバルや切磋琢磨する友人は居ても、それは結局"対戦相手"という意味合いにおいてのこと。自身の鍛錬において彼は自分だけで全てをコントロールする必要がある。世界一の格闘家を目指すという高尚な目標を前に、一人なのだ。もしリュウにもプロデューサーがいたら……そう思わずにはいられない。

そして更に、有栖川夏葉には仲間が居る。プロデューサーだけではない、放課後クライマックスガールズのメンバー達だ。先ほど二人三脚と書いたが、正確には彼女たちを含めて六人十二脚だ(愛犬カトレアを入れれば十六脚)。それだけの数が、アイドル活動を行う彼女を支えている。夏葉は西城樹里を、小宮果穂を、園田智代子を、杜野凛世を大事に思っており、またそれは双方向の感情だ。

彼女は「私たちみんなで世界一になるんだから」と言った。それは、彼女の進む道は独りではないという宣言だ。リュウは孤高のファイターであり、豪鬼は師匠・轟鉄を殺して一人で鬼神への道を目指した。その違いが、この「有栖川夏葉の撃つ波動拳の色は何色なのか?」という問いに対しての回答の論拠となるだろう。

つまり、彼女は、殺意の波動に目覚めない。

例え目覚めそうになったとしても、それを止めるだけの力が彼女とその周りにはあるのだ。

そういった力強さ……それが彼女とその仲間達の魅力であり、それゆえに多くの人々を魅了し続けるのだろう。

最後に結論を述べ、この文章を終わらせよう。


有栖川夏葉の撃つ波動拳の色は、青色だ。






Twitter:@caesarcola

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