冬ランニング最大の敵
「さてそろそろいきますか」
お正月から1日おきに走ることを決心した矢先、
きみはそう言いながらも、
YouTubeの広告終了カウントを待っている。
頭はすでに外にいるのに、
なぜか体は椅子の上いる。
寒さやハードワークが嫌なんじゃなくて、
ただ体が現状維持をのぞんでいるからだ。
思考と体がチグハグになってしまう状態はしばしば起きる。
甘やかされきった体は特に。
こういうときには身近なカラダたちを味方に引き入れていくのがいい。
ドアノブに目を向けさせ、
外の音に耳を向けさせる。
口にポジティブな言葉を、
手に椅子を押させ、足に立ち上がらせ、
すかさず体幹に指示を出す。
“もう座るな!”
靴紐なんて外で結べばいいんだ。
家のドアを開けよう。
だが、
帰ってくるときにはあれほど歓迎してくれる玄関のドアは、
「外は寒いよ?」
と小さく誘惑してくる。
最後の敵も倒したきみは
「ま、こんなもんしょ」
ビッグマウスもほどほどに、ガーミンをセットする。
テンポは169。
音が鳴りだしたらスタートだ。
ほどよく沈み込むミッドソールのクッションを感じながら。
「やっぱさむいな〜」
オーバーヒートにならないために、
ショートパンツを履いてきたことを後悔しつつ、
いつもの川沿いのジョギングコースに向けてジョグをはじめた。
完
※リバーサイドランニングクラブは、
Cadence180が書くランニング・ショートストーリーです。
Cadence180はランニングやウォーキング向けたランニングミュージックを作っています。
本日の曲は Running Cadence : 169
https://music.apple.com/jp/album/running-cadence-169/1603576663?i=1603577288
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