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カカオをめぐる冒険2024年 タイ北部①
1年4ヶ月ぶりのカカオ旅
またタイに来てしまった。
前回2022年の旅ではまだコロナ禍真っ只中だったが、2023年になってコロナも落ち着き、ようやく気軽に海外に行けるような空気になってきた。
そんな2023年の秋にいくつかの避けがたい誘惑(?)があった。
ひとつは、タイ関連のちょっと楽しそうな仕事の案件が入ったこと。
ふたつめに、お世話になっているチョコレートの納品先から「ラオスでLAODIの蒸留所ツアーがあるよ」と教えられたこと。
そして2022年に出会ったランパーンに住むトンさんから「カカオ蒸留酒を作っているカカオ農園があるよ」と言われたこと。
あの貴重な体験から1年以上が経ち、そろそろまた旅がしたいなと感じていた。あの時に繋がった縁をまた温めたいという思いが募り、2024年1月、再びタイとラオスを訪れることにした。
旅の日程
今回は2024年1月11日から24日までの14日間。
バンコク(タイ)⇨ランパーン(タイ)⇨パヤオ(タイ)⇨ルアンパバン(ラオス)⇨ヴィエンチャン(ラオス)⇨バンコク(タイ)
という道程。
タイは1年4ヶ月ぶり、ラオスは3年半ぶりの訪問。
バンコク上陸
夕方の明るいうちにバンコクに到着し、その足でホテルのあるアーリー地区に向かう。この場所にホテルを取ったのは、昨年の11月に日本で知り合ったタイ人の夫婦ノーンさんとカイさんが近くに住んでいるからだった。その時私がお手伝いしたイベントの出店者ブースに彼らも参加しており紹介してもらった。今回バンコクにも行くことを伝えたたところ、彼らの家の目の前のホテルを教えてくれた。
ノーンさんと合流しカフェのタイティーで一服したあと、無事ホテルにチェックイン。なかなか渋いビジネスホテルで、ちょっと懐かしい感じがした。シャワーはお湯が出たり出なかったりするものの、便利な場所だったし知人が近くにいて安心なので、バンコクではずっとここに滞在することにした。
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夜はノーンさんカイさんと3人でタイ中華のレストランに行き、せいろ蒸しをつつきながら明日からのタイ北部〜ラオスの旅程について話したりした。今回も弾丸詰め込みスケジュールで、ノーンさんに「交通機関がちょっとでも遅れたら全て行けないよ」と呆れられる。だんだん心配になってきた彼は「明日の朝は空港まで送るから」と言ってくれ、朝6時に空港までわざわざ送り届けてくれることに。なんて優しいんだ。
レストランの行き帰りに、「MuvMi(ムーヴミー)」という新しい交通機関を使った。一言で言うと乗合のトゥクトゥクで、バンコクを地区ごとに分け、それぞれの地区を走っているMuvmiをアプリで呼んで乗る。安いしタクシーにはない爽快感があって楽しい。タイは訪れるたびに日々新しいサービスが生まれていて、その変化を見るのも醍醐味だなと思う。
翌朝、暗いうちにノーンさんに送り届けてもらいスワンナプーム空港へ。プロペラ機でランパーンに向けて出発。
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ランパーン再び
1時間のフライトで曇り空のランパーン空港に9時過ぎに到着。
空港を出ると前回お世話になったトンさんが迎えに来てくれた。そしてそのまま、懐かしのあの場所へ直行。
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今回のランパーン訪問は翌日パヤオ県に行くための中継地点なのだが、せっかくなので前回お世話になった「Thai Coffee & Cocoa」へ。
あの時ランパーンを訪れてから、私は緩やかな空気の流れるこの街が本当に好きになってしまった。ワンチャン移住できないかな…と仕事やアパートをリサーチする程度には。だから今回も時間が作れるなら一日だけでも滞在したいと思い、この日だけフリーの時間が作れたので急遽宿を取ることに。
Thai Coffee & Cocoaにはオーナーのティムさんもいて、これまでの活動のことなども色々話ができた。そして前回は雨季で収量が少なかったカカオが、今回はたっぷりと集荷されていた。自分がチョコレートにしているカカオ豆がこうして生の状態で在るのを目にするとやっぱり感動する。大事に使おう、丁寧に作ろう、という気持ちがより深くなる。
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みんなでお昼を食べて、コーヒーやお茶やお菓子を楽しみながらおしゃべりをして、今回はなんだか近所の友人の家に遊びに来たみたいなラフな感じの訪問だった。ここはカフェでもあり、カカオの果汁を使ったドリンクをいただいたのだが、果汁を何時間も煮詰めて作ったパート・ド・フリュイのような茶色いゼリーがのっていて、これがとても濃厚で美味しかった。作り方を聞いたら「ただ鍋でずーっと煮ただけ」とのことで、こういう根気のいる手作業を当たり前のようにやっているのも凄いなと思った。
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ひとしきりおしゃべりをしてこの日は解散。とてもラフな二度目の訪問だったが、前回「またきっと訪れるんだろうな」と薄々思っていたことが現実になり、より一層ランパーンの地とカカオを身近に感じることができた。そしてまたきっと足を運ぶことになると思う。
ランパーン散歩
トンさんティムさんと解散したあとはホテルにチェックインし、ランパーンの街を散策。平日なのでウィークエンドマーケットなど観光客向けの催しは無いが、そもそも週末も外国人観光客をあまり見かけない場所で、その落ち着いた雰囲気が一人でただふらふら歩くにはちょうどいい。
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久しぶりのランパーンの明るい空気をたっぷり吸いながら、あぁ本当にいい街だなぁ〜住みたいなぁ、でも仕事あるのかなぁ、とか考えながらウロウロ歩き回った。
これまでも仕事を通じていろんな場所を訪れたり、転勤で人気の観光地エリアに住ませてもらったこともあったけれど、ランパーンのようにこんなにすぐに「合う」と感じる場所は今まで無かった気がする。表出する魅力とか便利さとか、その塩梅が「ちょうどいい」と言うのとはまた違う感じ。「好きに理由なんてない」という感覚。「飽きるような強い魅力が無いから飽きない」というのも少し当てはまっているかもしれない。ディスっているみたいだけど、そんなつもりはない。
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陽が落ちる前に一度ホテルに戻った。前回も滞在したホテルがとても居心地良かったので、今回も泊まることにした。
ロビーに小さな女の子がいて、よくみたら前回の滞在の時にはまだ小さな赤ちゃんだった子でびっくりした。その子をあやしていたこのホテルのオーナーでもあるおばあちゃん(といっても多分30代)にその時の赤ちゃんの写真を見せたら喜んでくれた。
その後、夕飯を探しに再び街へ。陽が落ちた直後のピン川は空のグラデーションを映す水面がとても綺麗でノスタルジックな風景だった。
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少し歩いたところにローカルなナイトマーケットがあり、夕飯を調達しに行ってみることに。
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かなり長いマーケットで食べ物もたくさんあったが、揚げ物やお菓子が多い。空腹で豚のタイソーセージを1袋買ってみたが変な味がしたので食べるのをやめ、前回美味しかったレストラン「アロイワンバーツ」に向かうことにした。
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アロイワンバーツはタイ人観光客でほぼ満員。街は静かだがここだけは賑やか。そしてやっぱり美味しい。しかも安くて全部で1000円未満。しかし私以外はみんな団体客だった。たくさんのテーブルの真ん中に通され、いろんな方向から「イープン(日本人)」「イープン」と何度も聞こえてくるので、多分私のことを話しているんだろうなと思った。タイでは女性が一人で大箱のレストランで食事をするのは確かに浮くのだろうが、タイ語が分からないと思われてそこかしこで自分の話をされているのが少し気まずい。この人たちに自分はどう映っているんだろうと急にそわそわして居心地が悪くなってしまい、急いで大瓶しかなかったビールを飲み切って退散した。
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気を取り直して、深夜の野菜夜市を通りながらホテルに向かう。ここは朝までやっていて、チェンマイなどから飲食店のバイヤーが買い付けにくる。
明日の出発は朝6時。いよいよ初めてのパヤオ県にカカオ農園と蒸留所を見学しに行く。
つづく