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カカオをめぐる冒険① 2022年9月タイ・ランパーン県

旅がはじまるきっかけ

cacaorite(カカオライト)は自家焙煎のカカオ豆でつくるクラフトチョコレートのブランドです。製造から販売までの流れの全てを個人で担う小さなメイカーとして、2021年の年末に立ち上げました。

それ以前は10年ほど食品メーカーで商品開発や品質管理を担当していました。たくさんの人と関わりながら商品をつくることに楽しさややりがいを感じていたのですが、その一方で一人で何かをこつこつと作る事もとても好きで、会社員と並行しながらひっそりと週末だけ宝飾関係の作家活動をしていました。しかしながら平日は仕事で全国を転々とし、週末に自宅に戻って土日は作家としてイベント出店したりと、仕事や活動が充実するにつれその忙しさでいっぱいいっぱいになってきてしまいました。

自分の身体は一つしかないし、どちらか選ばないと自分自身がこの先満足できないのではと思った時に「人生で一度くらいは作家活動に集中したい」という気持ちが湧いてきて、2020年の初めに会社を退職。作家としての仕入れや留学のためのタイ渡航を決めました。しかしその直後にコロナの影響で結局渡航ができなくなってしまい、図らずもただの無職状態になってしまいました。

そこから運良くフリーランスとして色々な食品関連企業と協業していく中で、宝飾だけではなく食品の分野でも「作り手としての表現を追求したい」という気持ちがふたたび強くなり、会社員時代に商品開発で携わっていた<チョコレート>という素材をテーマの一つに置き、準備をひっそりと始めました。

このような経緯でクラフトチョコレート屋のcacaoriteがはじまりました。2022年に入り、制限はあるもののようやく海外渡航ができる状況になってきたタイミングで、取引先企業からタイ出張の仕事が入ります。このチャンスに乗っかるような(強引にねじ込むような)かたちで、一度諦めたアクセサリー作家としての海外仕入と、チョコレート作家としていつかは訪れたいと思っていたカカオ農園の訪問を計画しました。各所とのスケジュール調整を重ね、ようやく9月の渡航が決定。2年半越しの、念願かなってのタイ訪問となりました。

「カカオをめぐる冒険」というタイトルは幾分大げさな自覚はありますが、1ヶ月のタイ滞在で出会った沢山の情景をご覧いただければと思います。

いざランパーンへ

9/9タイ入国3日目、取引先案件を済ませバンコクから飛行機でランパーン県へ。
本当は前日の商談後に寝台列車で向かう予定だったが、洪水の影響で商談会場からバンコク市内に戻れず列車に乗り遅れ、急遽飛行機のチケットを取った。旅の始まりから前途多難。

川のような道路をタクシーで進むも寝台列車には間に合わず
プロペラ機でランパーンに到着した3日目の昼

昼過ぎにランパーンに到着。
街は石畳に古くからの木造建築が残されており、とても落ち着いた雰囲気。石畳の街並みは馬車の走行が認められており、休日は観光用の馬車も走っている。今回は雨季で観光客も少なく出番が少なかったようで見かけなかった。バンコクでの洪水の影響によるドタバタでカカオ企業の訪問が翌日に延びたので、この日は街を散策してのんびり過ごす。

石畳と木造建築の街並み
味のある木造建築
街の中心を流れるピン川
川沿いのカフェ

「必要最低限」という心地よさ

宿泊はHug Lampang Boutique Hotelという家族経営の小さなホテルにした。今回のタイ滞在で一番居心地の良いホテルだった。自分の部屋にいるような落ち着く内装。スタッフは目が合うと自然と微笑みかけてくれる。初めての街だけれど安心感があった。1泊500バーツ(2000円以下)なので高級ホテルのようなサービスはもちろん無くて、アメニティーは石鹸一つだけだったけれど、足りないものがあっても別にいい、と思えるくらい居心地が良かった。

北タイフードを楽しむ

ちょっと休憩したあと、「アローイ バートディアオ(アローイ ワンバーツ)」というレストランに北タイ料理を食べにいった。タイ人観光客に人気の北タイ料理店のようで、団体客がどんどん入ってくる。
大きな雷魚(スネークヘッド)の唐揚げはクセがなくて美味しい。ゴーヤとひき肉のスープは鶏出汁とセロリがきいて体に良さそうな優しい味わい。厚揚げの卵カレー炒めは具材が小松菜・にんじん・玉ねぎなど、日本でも見かける食材。甘じょっぱさとセロリやハーブの風味が食欲をそそりとても美味しい。
頼んだメニューは全体的にパクチーよりもセロリのアクセントが目立っていて、日本人の認知しているタイ料理感は控えめ。北部なので緯度的に日本と食材が被るのかもしれない。店名の通り1バーツ(4円)のメニューがあった。(多分ご飯かおかゆ)
少なめ量で5品頼んだら、大瓶のビールも含めて700円くらいのお会計。

チャンビアは氷を入れてストローで飲んだ
定食感あり

お腹がいっぱいになったので散歩しながら帰宅する途中、深夜営業の夜市に遭遇。北タイは野菜の産地。ランパーン周辺の農家から野菜があつまり、チェンマイのレストランなどが買付にくるとのこと。商売人が大量の野菜を買っていく姿が見受けられる。

明日はいよいよカカオ企業の訪問。
cacaoriteのクラフトチョコレート「ソンクラン」の原料であるカカオ豆の加工場へ。部屋で明日話したい内容を整理して、早めに就寝した。

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