CACAノオトvol.6 「ARTの現住所③」
書アートとは? 岡本 光平
白黒の映画や写真を嫌いだという人はほとんどいません。若者もです。
しかし、書が嫌いという人は多い。習字教育に問題があります。
心に想うこと、それを文字に話す。
その人の人生の歴史が文字に宿る。
そして味わいが深くなる。
書の一面は年寄りの芸術です。それはそれでいいものです。
書を現代美術にするのではなく、現代の美術にしたいという思いは古典の勉強をはじめた20歳の時からありました。
書がダサい、暗い、難しい、と世間から思われていることは事実ですし、ずっと悔しいと思ってきました。
書を格好いいものにしたいのです。
文字の意味を借り、文字の形を借り、先人の伝統的プロポーションまでも借りることに何の疑いも持たない書道の習性は少しイージーではないでしょうか。
漢字はもともとデザイン(幾何学)であり、イラストレーション(絵画)であり、シャーマニズム(呪術)です。
最初から芸術的要素がセットされています。
墨を飛ばして書く大作主義は戦後から何十年もの定番で「芸者、富士山・・・」と同じレベルです。
これで大衆が振り向く時代は過去のものです。
あなたは書家ですか?美術家ですか?と問われたら岡本光平です、と答えるしかありません。
定型を好まないからです。