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デートプラン - Tokyomixtape

パッと目が覚めて目に入るのは枕元の時計。午前3時。

5時間くらいは寝ることができたはずの時間。
気になることがあると睡眠が中断される癖がある。

気になることがある。デートというものが待っている。

布団の中に入っても、2時間もしないうちに目が覚めてしまい、リビングのラジオをつけて、なんとなくお風呂にお湯を貯めて深夜の音楽番組なんて聴いてみたりする。
深夜はできるだけ、パーソナリティの会話が少ないプレイリストのような番組がいい。
普段はレコードをターンテーブルに載せたいけれど、自分の意思ではない目覚めには、誰かの選んだ選曲がいい。気持ちの匿名性。

自分が出会うことのなさそうな情報に触れたくなるから。
しんとした部屋で1人目が覚めてしまうと、もしかしたら誰かの選曲に他者を感じたくなってしまうのかなってたまに思う。

聴こえてくるのは90年だのアメリカのオルタナティブミュージック、Sonic Youth、Pavement、Pixies、Dinadsour Jr。
大好きだけど、誰かに意味を持たせてもらうと少しだけ聴こえ方も違ってくる。そこに自分の意思はない。

いけない、聴き入った。眠れないからなんとなく雑誌でもめくろうかと思ったのに、いつの間にか思い出に浸る。
夜が開けたら未来を更新してやろうと思っているのにいつの間にか心に刻むmid90s。

眠れない本当の理由は、明日の約束が気になるから。

ある日、気になる女の子に突然「私との初デート、プレゼンしてよと言われて、僕はだいたいの予定をその場で伝えてみた。

「まぁまぁじゃん」と彼女は言う。

結局気分転換でタバコを吸って、「眠れないんだよね」とか言いながら友人に電話してみたりしているうちに、緊張してんの?自分。とか思いながらラジオから流れる聴きなれた曲で安心感を得ようと必死。
安堵は明日が終わってからにしなよって自分に言い聞かせるうちに、結局午前6時。

朝。柄でもないのに前の日から準備していた服に着替え、早すぎる時間に家を出る。駅に向かう高台からは広々とした下町の空と、遠くに見えるスカイツリーが「おはようです」と言ってくるように見える。今日も。

歩道橋を降るとバス停があって浅草にまでは1本。案外便利。駒形橋で待ち合わせ。寝てないことを隠すのに必死。スタバ片手に隅田川沿いを少し歩いて、「あのビルなー」とか言いながらスカイツリータウンまでまたバスで。
すみだ水族館で家族連れに紛れ込んでペンギン等の振る舞いに一喜一憂。ちょっと歩きたくなり、田原町の書店に行く。お互い勝手に店主の小粋なセレクトに身も心も委ね何を買ったのかを干渉し合うこともなくただ、
それぞれの明日に必要な言葉を思い思いに選ぶ。選書に共通点があるのか気になるけれど、この店は思い思いの時間を許してくれる。

小腹が空いたらパンでも買って、またコーヒー飲んで、御徒町の松屋でお弁当を買って、寄席。
行きたいっていうから選んだプログラム。「この人、気に入ってくれたらいいな」とか期待するのは自分の勝手。

たくさん笑って、広小路から上野の火鍋屋に行く。
汗かいて、同じ釜の飯って共犯意識を持って難しい落語の感想とかは置いておいて目の前の食材に夢中。
話に夢中でコーラの炭酸、すっかり抜ける。ドリンクバーにありがちな光景。

帰りにまたね、って具体的な約束もなくそれぞれの家の方向の電車に乗って帰路に着く。

東京って、自分の時間を生きたければ好きなだけチャンスをくれて、誰かの時間を見ていたければいくらでも見せてくれる。
自分勝手に時間が進む。だから暮らす理由。

そんな街で出会った人と、別に自分でも十分楽しい時間、共有したい。
もう少し意味をつけたくて誘ってみたんだけど。

これも案外自分勝手だな、と感じながらまたね。があればいいね。とまた勝手に思う。

知らなかったけど、同じ本買った。だって。

新しいzine作るか、旅行行きます。