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世の中を知ることに忙しいのであれば - 映画「はちどり」を見て感じている日々のこと。
相変わらず蒸し暑い。雨もたまに降り、束の間の光が射したと思ってちたらまた空が泣いている。洗濯物参ったな。乾かないよ。
みんなに会いにいく服はまだあるけれど、地面を踏み締める大切な仲間、靴下が足りていない。
4連休に入った。
世間は、GO TOなんとかと言って、まだだいじょうぶ?という空気の中、久しぶりの観光地に赴く人たちが多いそうだ。
気持ちはわかる。普段から人間は旅がしたい。
普段とは離れた空気を吸い込むことで、明日からの活力を溜め込んで、世間に新しい価値観を吐き出す。そんな時間があってもいい。
(いい悪いはここでは触れない。身近な大切な人との未来の時間を守りたいのであればみんな考えて生活して欲しいとは思っている)。
7月23日。4月から相変わらず続いている忙しい日常の中で、やっと訪れた自分だけの時間。
特に旅に出るつもりもなくて、小沢健二の「僕らが旅に出る理由」を例えば今聞いたとしても、そこまで何か言いたいことがあるわけでもなく、
僕の中では、普段通りの仕事が休みな日があっただけ、正確には始まるだけ。
何かを振り返ろうとしても、考えなければいけないのは、身近な人たちとの明日からの約束。プロとしての義務がある。
とりあえず、外に出た。
4月以降の在宅でのストレスはとうに解消している。身近に触れることにができたカルチャーや友人がその解消の手伝いをしてくれた。
映画「はちどり」を見た。
韓国の映画監督、キム・ポラ監督の長編デビュー作。宣伝文句では、「世界各国の映画祭で、50冠を超える受賞」を手に入れ、韓国では小さな公開から少しづつ拡大していき、大ヒットを記録した、中学2年生の女の子が自分を取り巻く家庭、友情、恋人関係の狭間での心理的な描写を様々な人とのやり取り、関係性、人との触れ合いから見つけ出していこうともせず、
ただ、その中での目の前での向き合い方を「まずはそうすればいいのか」苦悩しながらも生きているという映画。
韓国での90年代の出来事を1人の少女の描写から映し出しているとか祝えてもいるけれど、そういう部分での評価とかではなく、単純に自分は見終わった時に、「なんて繊細な映画なんだろうか」と思った。
正義の味方が出てくる場合は、その力で、物事を解決していき、誰かと出会って価値観が変わり、「よかったじゃん!」と終わる。
だけど、それは「誰でも感じ取れるわかりやすい表面的な側面」だ。
僕たちは色々な立場で生きていて、個人個人が抱える出来事に、それぞれの考えから、「大変なのか」「大変ではないのか」との判断は個人に委ねられる日々を過ごしている。
中学2年生。若すぎず、進路という誰もが直面する出来事の決断も無理して行う必要もない、「これから羽化していくかどうか」という可能性が実はたくさん詰まった1年間。
彼女は身近な人たちとの理不尽な出来事や、幸運にも出会うことができた、客観的でありながらも、閉塞的な学校、家庭の世界から物理的な移動をすることが難しい中で、「関係性からの糸口」を探し切るわけではなく、「知っていく」のだ。
無理する必要もなくて、きっかけを自分から探す必要も完璧にする必要はなくて、「人生は選択できる」ということに気が付きさえすれば、目の前の困った出来事の解決策がとりあえずは見つけられるかもしれない。
そんな時間を小さな小さな出来事から「そっか」程度に知っていく。
その一連の心理的な描写をただ、繊細な心理的な描写の中からありふれた人間関係、日常の会話から知っていくきっかけをもらえていく。
そんな映画。
正直、僕が何を感じとったかといえば、綺麗事のような一言で「こんな気分になって明日から生きていくのが楽になりそうです!」なんて1mmもない。
ただ、心が揺れ動いていきながら、これからの人生を切り開くためには小さくても目の前を「仕方がない」で受け止め続けるのではなく、ちょっとでも反してみると、「まぁ、何か起きるかもね」くらいのことを教えてくれただけ。
考えることが多すぎて、余韻で眠れないので、これを買いている。
美しいのは、映像だけではなく、心理描写での小さな振る舞いをしながら、家族た親友との関係を再構築していくことにつながることを知ることができたから。
伊賀の中で、雨のシーンは出てこない。せめてものその淡い光が、希望と呼ぶことができるのであれば、この映画が、「ないにも起きないかもしれない立場」をそれなりには帰ることができるかもしれないよね。と教えてくれるだけ。
僕は「自己実現オンラインサロン」が少しだけ苦手、お金を支払い、無理に早めの結果を求めすぎるから。
出来事はシンプルだけど、状況は少しだけ複雑だ。
もし、そんな簡単にお金を払えば、人生の答えを見つけることができるのであれば、誰も失敗しないんだよ。
大体は、そうもいかないから、みんな「試す」。
その1つの光景を見せてくれたこの映画を見ることができてよかったのではないかと心底感じている。
じゃあ、明日も試すよ。何者かになろうとするのは何歳からでも遅くはない。
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