Eagle's Eye ~「良い」オフェンスと「良い」ディフェンス(vs福島)~
今回は、福島との第1戦を見て感じた「良い」オフェンスと「良い」ディフェンスについてです。
「良い」オフェンスとは
FE名古屋:32/58(55.2%)、福島:29/73(39.7%)
突然ですが、何の数字でしょうか。
答えは、10/19(土)の試合のFG成功数/試投数(成功率)です。
(FG:フィールドゴール。フリースローを除くシュートの本数)
FE名古屋よりも福島の方が15本も多くシュートを打っているにもかかわらず、FE名古屋の方が成功率が大きく上回っているため、成功数でも上回っています。
しかし、この試合に勝利したのは福島です。
それはなぜでしょうか。
フリースローの差?確かにそれもあるでしょう(FE名古屋:9/14(64.3%)、福島11/14(78.6%))。
ですが、それだけでは上記のフィールドゴールの差は埋まりません。
FG成功数で下回ったにもかかわらず福島が勝利した理由。
それは、3P成功数の差です。
FE名古屋のFG成功数32本の内訳は、2Pが28本、3Pが4本。
一方、福島のFG成功数29本の内訳は、2Pが19本、3Pが10本。
このように、福島はFE名古屋よりもFG成功数が少ないにもかかわらず、効果的に3Pを成功させたことでこの試合に勝つことができました。
この試合、FE名古屋は2Pを58.3%、3Pを40.0%の確率で成功させています。
これはどちらもFE名古屋の今季の平均を超えており、特に2Pについては、B2トップの熊本の平均(55.7%)をも大きく上回っています。
それ自体は素晴らしいことなのですが、言い換えると、これ以上2Pの成功率を上げることは極めて難しいとも言えます。
このため、今よりもさらに良いオフェンスを目指すのであれば、もっと3Pの比率を上げる必要があります。
今季のFE名古屋の3P成功率は、39.1%でB2全体2位という高い確率です。
それにもかかわらず、3P試投数は、1試合平均19.2本でB2全体17位(下から2番目)というかなり少ない本数です。
無理して3Pを打っていないからこそこれだけ高い成功率を維持できている、というところもあるかもしれませんが、これだけ高い成功率を誇るチームの試投数としてはあまりに少なすぎます。
No1宮崎恭行選手、No5山本エドワード選手という、B2で3P王のタイトルを獲得した選手を二人も抱えているチームとして、もっと思い切りよく3Pを打っていった方が良いオフェンスができるのではないか、と感じた試合でした。
「良い」ディフェンスとは
再び突然ですが、「ファウルをするディフェンス」は「悪い」ディフェンスでしょうか。
僕は、必ずしもそうではないと思います。
バスケットボールにおいて「ファウル」は「反則」ではありますが、考え方によっては、1人につき4回まで使える「切り札」でもあります。この「切り札」の使い方が上手い選手と下手な選手では、上手い選手の方が圧倒的に「良い」ディフェンスができると思います。
また、ファウルをしないように意識しすぎてしまうことで、相手へのプレッシャーが弱くなり、簡単にシュートを決められてしまうこともあります。いくらファウルをしていなくとも、シュートを決められてしまっては意味がありません。
FE名古屋でいうと、No7木村啓太郎選手、そして先日Bリーグ通算500ファウルを達成(?)したNo11杉本慶選手は、ファウルの多い選手です。出場時間を30分に換算すると、木村選手は平均4.8回、杉本選手は平均4.7回のファウルをしています。
しかし、FE名古屋の試合を見ている方ならわかると思いますが、彼らはそんなに「悪い」ディフェンスをする選手ではありません。むしろ「良い」ディフェンスをする選手だと僕は思います。
一方、この試合においてFE名古屋は、第1Qと第2Qでそれぞれ2回ずつしかファウルをしていません。もちろん、それで相手の得点を抑えられるなら何の問題もありません。現に、第1Qはそれでも福島を14点に抑えています。
しかし、第2Qは福島に25点を許しています。このQ、FE名古屋は「良い」ディフェンスができていたでしょうか。ファウルを恐れずに相手にプレッシャーをかけ、ときにはファウル覚悟で相手を止めることができていたでしょうか。少なくとも僕にはそう見えませんでした。
主力の選手、特に外国籍選手が序盤にファウルトラブルになるのを恐れてソフトなディフェンスをしてしまう気持ちもわかります。ですが、それで負けてしまっては元も子もありません。選手全員に、もっと「切り札(ファウル)」の使い方が上手い選手になってほしいと思います。
また、主力の選手がファウルトラブルに陥っても、代わりに出てきた選手が奮起してチームを支えてくれるようになれば、主力の選手も最初から思い切ってハードなディフェンスができるようになり、チーム全体でより「良い」ディフェンスができるようになりますね。
試合に出ている選手たちだけでなく、ベンチにいる選手たち、そしてそれをコントロールするコーチ陣全員で、課題を共有して成長していってくれることを期待します。
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