この世界の片隅に
戦争が激しくなるにつれのどかだったすずさんの帳面が淡々と物騒になっていくのが苦しかった。直接戦地へ赴かなくても自分のやれることをしっかりとこなしていた毎日の暮らしがすずさんなりの戦いで、あの帳面がその戦いの記録そのものなんだよなあ。周作さんとリンさんの再会シーンの演出がとても粋で良かった。ラストの右手のポエムは全てを感受しきれたわけではないけど漠然とした感動があって素晴らしかった。日々生きることは誰かや何かから色んなものを受け継ぐことであり誰かや何かに自分の痕跡を残すことでもあるなと思いました。
そんな風にしてこの作品もすずさんの生きた軌跡もこうの史代さんの手によって私の一部になったということかな。とても良かった。