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Back to Basicとパラダイムの変化。今年ブロックチェーン業界で起こること5選

皆さま新年明けましておめでとうございます。2025年もよろしくお願いいたします。年末年始も様々な動きがありましたのでお届けしていきたいと思います。年始はやはり2025年はどんな年になるのか的なレポートも多くだされ、それを読まれた方も多かったのではないでしょうか。特に事業者にとってもどのタイミングでどんなプロダクトをローンチしていくかは非情に重要な問題でもあり、特にブロックチェーン業界ではスピードが速いだけに大きな意味を持ちます。今回は私が考える今年起こること5選という形でお届けできればと思います。

1.Microstrategy戦略が企業の資産防衛の主戦場へ

少なくとも 10 社が MicroStrategy 戦略を使用または導入を検討しています

上記の記事のように、特に米国ではBitcoinを保有する戦略(Microstrategy戦略)を採用する企業が増えているという状況です。この現象はとても興味深く、Bitcoinを保有するという戦略を採用する企業が増えれば増えるほど、Bitcoinの供給は少なくなることになります。需要がそのままであったとしても、結果的にBitcoinの価値は上昇していくという方向性になるでしょう。これに加え米国政府がリザーブ資金としてBitcoinを採用するかもしれないという話題や、既に国家の基金としてBitcoinを準備している国などもあり、さらにETFでのBitcoinへの投資家資金の流入まで考えれば、これからBitcoinの価値が大きく下がる局面というのは考え難い状況にもみえます。(もちろんこの場は投資助言ではありませんのでその点はご理解ください。)

基本的に法定通貨はインフレしていくものであり、ゆるやかなインフレが健全だと仮定すれば、価値の保存としてのBitcoinの地位は大きなものになっていくことが予想されます。

企業にとっても、自社の資産の一部をBitcoinとして保有しておくことの重要性が増してくる可能性もあり、今後も多くの企業がMicrostrategy戦略を採用していくでしょう。日本でもMetaplanetが話題ともなっているので、同じような状況が続くのではないでしょうか。

2.PFP NFTが復活する

PFPとして活用できるNFTは初期のNFTの盛り上がりに大きな役割を果たしてきました。2021年の1月のHashMasksのローンチから、BAYC、AZUKI、Pudgy Penguin等一定の地位を確保したプロジェクトもある一方で、霧散したプロジェクトも数えきれずあったかと思います。あれから4年も経過しました。だからこそ、今新しいNFT PFPプロジェクトを出すことにも意味があります。

PFPはXなどのプロフィールとして活用でき、自己のアイデンティティとして使えることで、そのユーティリティが支持されてきたということがあると思います。ただ、それをうまく活用できる人は一握りだったかもしれません。

2025年のPFPは、例えばAIエージェントと組み合わせて、PFP自らがアイデンティティを持ち、ウォレットを持ち、SNSのアカウントを持ち活動するという形はありうるでしょう。NFTのホルダーは、このエージェントの活動によって得られた利益を総どりすることができます。

これが、新しいPFP NFTの大きなうねりになるかもしれません。なぜなら、ユーザーはやはり「このNFTを持っていれば利益が出るかも、儲かるかも」という期待感があるからこそ参加するのであり、その可能性が誰にでもあるのであればチャレンジしたいと思う人は出てくるはずだからです。

そして、PFPを持っている人同士のコミュニティももちろん大切な要素になるでしょう。どのようにAIをトレーニングするか、どのような分野にチャレンジするか、PFPによって様々な戦略を採ることができ、それがコミュニティで議論されることで盛り上がるでしょう。

ある人には懐かしさがあり、ある人には新しい。音楽もそうですが、時代が経つことによって付け加えられる価値というものがあります。クリプトだとそれが20年ではなく、4年のサイクルで起こると考えれば、2025年にはNFT PFPの新たなプロジェクトの登場も考えられるのではないでしょうか。

3.より運用を重視したクリプトの収益戦略が出現する

Bitcoinをホールドする戦略はあくまで価値上昇によるキャピタルゲインを狙ったものですが、Bitcoinのドミナンスが1月7日時点で55.7%ということを考えると、反対側の44.3%はBitcoin以外のアルトコインであると言うこともできます。2025年には、今まで以上にミームコインなどの値上がり期待ではない、様々な運用商品が登場し、それを活用していきながらいわゆるYield Managementを行うプロジェクトが増えてくるでしょう。ブロックチェーンの仕組み上、バリデータとしてノードに参加するというのが一つの収益を確実に生む仕組みですし、それ以外にも貸出による収益、流動性プールによる収益等、既存金融と同じように、暗号資産をどのように運用するかという点にフォーカスを当てた新しい収益戦略が生み出されるようになるでしょう。

DePINもその一つになるかもしれません。自身が持つデバイスなどを利用してもらうことで暗号資産が得られるというのは、まさに土地を貸して賃料を貰うという行為と同じようなものですし、その意味でより細分化されたシェアリングエコノミーが出現すると言えるかもしれません。

同じように、生産手段としてのAIエージェントも大きなチャンスになるでしょう。AIエージェントそのものがまるで工場の設備のように、何等かの付加価値を生み続ける生産手段になると考えれば、そこに投資することの意味も違ったものになるかもしれませんし、クリプトにおける運用手段が大きく広がる一助となるかもしれません。

とにかく、キャピタルゲインだけでなく、インカムゲインを志向するプロジェクトが増えてきて、より多様なクリプトの収益戦略が出現してくる2025年になるでしょう。

4.ブロックチェーンゲームというジャンルは消えゲームの一部となる

ブロックチェーンゲームに賭ける人たちの一番の大きな誤解が、ブロックチェーンゲームというジャンルができると考えたことにあるのかもしれません。ブロックチェーン技術そのものはユーザーの体験するデバイスを変えたわけではないからです。

アーケード、コンソール、モバイル、PCと、ユーザーがゲームを行う環境そのものがゲームのジャンルと密接に結びついているのは理解できるでしょう。しかし、ブロックチェーンというのは、ユーザーが違うデバイスを利用するというわけではなく、モバイルゲームもしくはPCゲームというジャンルに内包される存在と言えます。

PCゲームというジャンルの中で戦うとすれば、いかにそれが収益化を目指せるとしても、PCゲームと括られた瞬間に、PCゲームの並みいるライバルとの比較になってしまうのです。だからこそ、ブロックチェーンゲームに取り組む事業者は挙って「おもしろいゲームを作らなければ」と繰り返します。

PCゲームとして面白いゲームを作ったら、もはやそれはPCゲームの面白いゲームではないでしょうか。だからこそ、そこを目指してしまうとブロックチェーンがある無しというのはあまり意味をなさないものになってしまいがちです。

インセンティブによってユーザーを集められたとしても、PCの面白さ目当てでない人を集めても効果は薄いかもしれないので、やはり、それはブロックチェーンゲームではなくPCゲームなのだと思います。

だからこそ、ブロックチェーンゲームと考えるのであれば、ブロックチェーンの要素がゲームの面白さに直結しているようなものを目指す必要があると思います。オンチェーンゲームはその方向性を志向していると思いますし、その他ゲーム以外のエコシステムを巻き込んだよりリアルに近づいたゲームというのもあるかもしれません。

2025年は、その後者のオンチェーン要素がゲームの面白さに直結するような、新しいアイデアが出てくることを期待しますし、逆にゲームというジャンルの中に自然にブロックチェーン要素が組み込まれるという展開もそれはそれで重要な要素となると思いますので、その二軸で大きな動きを期待したいと思います。

5.預金型ステーブルコインを活用した地域活性化が注目される

預金型ステーブルコインは、その字の通り預金を担保として発行されるステーブルコインです。これを例えば地域の銀行が発行した場合、様々なメリットがあります。1つは、地域の人から預金を集めることができます。各銀行は預金残高をいかに積み増していくかは常に課題でもあると思いますし、その助けになるということであれば、積極的に預金口座の開設を推奨していくでしょう。

2つ目に、加盟店手数料が安くなるというメリットがあります。預金担保に発行されたステーブルコインは加盟店で利用ができます。ステーブルコインですから、手数料を小さくすることも可能になり、実際に北國銀行では加盟店手数料0.5%を実現しています。クレジットカード等他の決済手段を利用してもらうより収益が改善するわけですから、加盟店も積極的な利用を推奨するでしょう。

3つ目に加盟店への融資を積極的に行うことができるようになります。小売店や飲食店などへ銀行が融資するその財源はその銀行の預金でもありますので、ステーブルコインの利用が進むとリザーブされている預金の残高も増えます。銀行はそれを貸し出すことが仕事ですから、加盟店へ積極的に融資を行うことができます。加盟店は手数料分で収益が改善できるため、より健全な経営を行う一助となるでしょう。

こういった形で、地域の人が銀行に口座を作ってステーブルコインを手にする、それを加盟店で利用するという循環が起こることで地域経済のお金が地域に残ることにもなり、より経済活性化につながる可能性もあります。

また、地元の銀行の口座を作成するというのは長期で滞在している人(住民)に限られるので、訪問者(インバウンド)の人との価格を二重化することもできるかもしれません。例えば定価を1500円に設定して、ステーブルコイン利用の場合は1000円にするといったことができれば、インバウンドでの消費をより極大化できるようになります。

地域経済にとって預金型ステーブルコインはとても魅力的な施策になりうると思うので、北國銀行の動向も見ていきながら良い事例が積みあがっていくことで、一般に使われる施策になっていくのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたか、2025年もブロックチェーン業界で様々な動きが起こると思いますし、私たちが予想もしなかった動きが起こることもあるかもしれません。しかし、やはりブロックチェーン技術が持つ本質はいつまでたっても変わらないのですから、腰を据えて、本質を見極めながら事業を進めることが一番大切なのかなとも思います。

そんなブロックチェーンの魅力を15分程度のビデオポッドキャストにまとめてお届けする配信も始めましたので、ぜひこちらもご視聴いただければ幸いです。


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