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NFTは持てないものを持つことができる技術。2022年、知的財産(IP)のマネタイズ革命が始まる。

NFTの議論はもう出尽くされたかもしれないが、もう一度自分のための整理も兼ねて書いていきたいと思う。

NFTは持てないものを持つことができる技術?

例えば不動産をイメージしてほしい。土地や建物を常に持っていくことはできないし、そこに「これは私のものです」と刻んでおくというのもできないことはないかもしれないがあまり効果は望めない。

しかし、日本であれば日本政府、法務省が不動産の登記に関する法律を整備しており、それを管理する省庁として法務局が担当をしている。法務局にはブルーマップという地図が備え付けられており、そこで該当の土地には地番が記載されている。

謎の地図「ブルーマップ」

ほんの少し前まで、このブルーマップは法務局にしかなかったのだが、今はネットでも検索できるようになり各段に便利になった。ところが土地には郵便番号や住所とは違う番号が振られていて、住所と地番は違うケースが多いのでややこしい。

ちょっと脇道に逸れたが、このように、中央政府が公共的に土地の証明書を管理しており、それを皆が信頼することで公正な取引ができるようになっている。

しかし、土地の取引についても、売り主・買い主の双方を信頼していないとできないという問題もあり、不動産会社が仲介者となってそこのトラストを担保しているというわけだ。

持てないものを持つための構成要素

つまり、所有情報という、①所有の根拠となる部分も行政という組織が信頼を担保し、②取引も取引事業者が信頼を担保してようやく不動産の取引は可能になる。

なので、結論を言うと、持てないものを持てるようにするには①と②のコストがかかるのだ。なので、ある程度大きな資産でないとそのコストに見合わないため、別の信頼方法(例えば金額を高くしある程度取引不成立のコストをそこで賄うといった方法)で世の中が成り立っている。

持てないものの代表「知的財産」

特に知的財産はアウトプットとしての書籍や映像等はあるが、その財産そのものは何か形となっているものではないため持てないものの代表格といえる。知的財産に関しては、これも特許庁という政府が特許という形で登記をできる制度があり、①の部分は一部機能しているが、②の部分については個別の契約でしか取引はできず、トラストフルな仕組みで動いている。音楽著作権も独自の権利処理の方法が確立しており、その枠組みでビジネスが行われているのはご存じの通りだ。

NFTは、まず①の所有の根拠を提供することができるという点で大きな変革をもたらす。デジタルコンテンツであれ、机に置いてある消しゴムであれ、ブロックチェーン上に記録をしておくことでそれをその時点で私が持っていたという根拠を作ることができる。これは私が作ったものであるということをタイムスタンプとともに、公示することを可能にするからだ。これで特に大きな資産でなくても、持てないものをちゃんと持てるようになる。

そして、②の取引の信用は、よく聞いたこともあるかもしれないが、スマートコントラクトでトラストレスな取引が可能になる。

知的財産がNFTとして売買される未来

こうやって、知財の所有の根拠(資産としての確かさ)と取引の滑らかさ(流動性の高さ)が実現することで、知財取引は活発になり、様々な知財がNFTとして売買されるという未来も見える。

ただ、問題がないわけではない。あくまでデジタルで完結するものに関してはトラストレスな取引も可能だが、現実世界とまたがる場合は、どこかで信用を担保する機関が必要になってくる。ただ、これもDAOのような組織が民主的に管理していくという方法もあるかもしれない。

NFTの活用方法は、アートや音楽、ゲームだけではないが、この3分野も知的財産のかたまりという意味では同じ文脈で語られるものだろう。

知的財産が中心の社会とはクリエイター中心の社会ということである

知的財産を生み出すのは人であり、新しいものを生み出すのはクリエイターである。だから、マネタイズの中心が知的財産になったとき、クリエイター中心の経済圏が開かれるということでもある。

今まで信頼を担保する会社、流動性を担保する会社が大きな存在感を持ち、そこがマネタイズの中心であった。これからは、知財を持っているところが中心で経済が回っていくという可能性もある。知的財産はIPとも呼ばれるが、このIP中心の経済圏は次の大きなトレンドンになっていくだろう。

クリエイティブは個人だけではない、クリエイティブスタジオとしての企業は可能性大

これは常々思っていることだが、すべてのクリエイターが起業家マインドをもってアップサイドを狙ってモチベーション高くクリエイター活動を行わなければならないという世界は無理がある。企業として、クリエイターを雇用し、クリエイターが安定して技術を提供することで給料をもらえるという組織もまた必要になってくるのではないだろうか。

なので、私個人的にはこれから起業するのであればクリエイティブスタジオが一番可能性が高いのではないかと感じている。

まとめ

・NFTは持てないものを持てるようにする技術である

・持てないものの代表格が知的財産である

・知的財産の信頼性・流動性が高まり、クリエイター経済がスケール

・クリエイター中心の経済圏が生まれる

・クリエイターを抱えたスタジオ型企業も躍進する


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