マグロ船仕事術に学ぶ目標設定をしないマネジメント術
マグロ船仕事術という書籍がある。この中で、マグロが取れる船は目標設定をしていないという一節がある。
目標設定をしていないのに成果がでるというのはどういうことだろうか。
なぜ目標設定をしないのかという筆者の問いに船長は
「おいどーらは、事前に縄に傷がないか調べたど。針も磨いたど。エサを針に付けたど。縄を海に入れて3時間待ったど」
「つまりの、おいどーらは、おいどーらにできることをすべてやったんど。それからあとのマグロが捕れるかどうかなんて、海の神様が決めることど。斎藤(※筆者のこと)ら陸の人たちは、人間ではどうにもならんことまで、なんとかしようとする」
という答えが返ってきたそうだ。漁師が目標設定をしないのは、目標設定の方法を知らないというのではなく、目標設定をしないことを選んでいるというのだ。
また、目標設定をして「マグロを〇〇捕る」と決めると、うまくいかなかったときにお互いを責めるようになり、それをきっかけに連携が崩れて結果的にマグロが捕れなくなるということが起こったそうだ。
目標設定をすることが悪いわけではない。例えばイスのような工業製品は何台作るかという目標設定をすればその通りにいく可能性が高いので、目標設定に向くものだが、世の中には目標設定に向くものと向かないものがあるということだと筆者は言う。
では、目標設定に向かないものというのは何かというと、「自分でコントロールできないこと」である。
例えば営業成績を月に200万円あげるというのを目標設定したとする。しかし、営業をしても相手から断られることもあるのだから確実に200万円いく保証はない。なのでこれもコントロールできないことだ。
ではどうすればよいか。
細分化していけばいいのだ。
例えば商品単価が20万円だとすると、10人と契約しなければならない。自分の過去の実績から、4人と面談すれば1人に売れるということが見えているとすると、40人と会うことが必要になる。
40人と会うためには、アポイント率が10%だとすると400人に連絡を取る必要がある。
そう考えると、400人に連絡を取れば200万円の売上があがるということだ。400人に連絡を取ることは、努力すれば必ず達成する。
200万円を400人で割ると、1人あたり5,000円!
つまり、1回連絡を取ると5,000円がチャリンチャリンを入ってくるというイメージを持てるだろう。
これが、マグロ船で言う、縄に傷がないか調べた、針を磨いた、エサを付けた、3時間待ったというのと同じなのだ。
私は400人に連絡したよ。
それでその延長線上に売上の目標が達成されていくということだ。
売上を200万円達成するというのではなく、400人に連絡するという設定を行う。これが目標設定の正しいやり方ではないだろうかと私も思う。
今、自分の置かれている立場で一度考えてみてほしい
その目標は自分でコントロールできるのかできないのかを。