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人の役に立つ

普段テレビをあまり見ない私だが、毎回楽しみにしている番組がある。
それは金曜日22:45から始まるNHKの「ドキュメント72時間」だ。
この番組では、毎週一つの場所に72時間留まり、そこを訪れる人々にインタビューをする模様を流している。
派手な演出がなく、インタビュー映像に淡々とナレーションの声が流れているので見ていてなんだか安心感のある番組だ。


前回の番組では日本海沿いを走る移動スーパーが密着の舞台だった。
過疎化が進む集落では近所にスーパーがなく、お年寄りも多いため自宅の近くまで来てくれるスーパーはとても重宝されているらしい。

今回は場所柄的にお年寄りが圧倒的にインタビューの対象になっていたのだか、抱える事情はそれぞれによって大きく異なる。

夫に先立たれて今は一人暮らしの人、免許返納を決意した人、年老いてから姉妹で二人暮らしを始めた人。

インタビューの中で特に印象に残ったのが95歳のおばあちゃん。
95歳とはとても思えないほど足腰がしっかりしていていた。一人暮らしだが、「目も見える・耳も聞こえる・足も動く、だからなんでも出来る!」と。

普段私は自分が「出来ないこと」にフォーカスしてしまい落ち込みがちなのだが、お婆ちゃんのように「出来ること」に注目してそこに誇りを持っていくのは力強く、私も見習いたいなと思った。


この移動スーパーは集落の特別養護施設前にも停まる。
養護施設では3食しっかりと食事が提供され、身の回りもきちんと管理してあるのだが、おやつなどプラスアルファの物を自分のお金で買い物できるそうだ。

利用者さんは自分の好物のお菓子を手に取り
「施設にいて何の不自由もないけれど、こうして自分の意思で自分の好きなものを買えるのは嬉しい。」と話していた。

年齢は違えど私も同じような経験をした。
友人と久しぶりに買い物に行ったのだが、普段バリバリと精力的に仕事をこなす彼女は自分が好きなものを好きなだけ買っていた。
その買い物を楽しむ姿はとても輝いて見えた。
「自分で頑張って稼いだお金で好きなものを買える」という喜びを直で感じ、とても羨ましく思えた。私も早く、自分の力でそんな生活をしたいと心から感じた。


番組の最中では移動スーパーの利用者だけではなく、オーナーにも焦点が当てられていた。
オーナーは夫婦二人。二人はかつて移動スーパーとは全く関係ない事務職やIT系の会社で働いていたが縁があってこの仕事に就いたと言う。
今までとは畑違いの仕事だが、待っている人がいるという責任感や、誰かに頼られることでとても使命感を得ているそうだ。

「誰かに必要とされる」これは仕事でも仕事でなくても、人間が生きていく上でとても大事なことなのだと最近常々感じる。


春になり、新生活が始まり世間が目まぐるしく動いている中一人焦燥感のものを抱いているが、私を必要としてくれる人に、何か少しでも役に立っていきたい。
そう感じたのであった。





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