DIEエット~痩せる薬は存在するか~②前編
[注意!]
この文章の内容を真似しますと、以下の副作用が起こる可能性があります。
[浮腫み、貧血、胃腸障害、蕁麻疹、全身潮紅、呼吸困難、アスピリン喘息、肝障害、出血時間延長、ショック、アナフィラキシー、中毒性表皮壊死融解症、緑内障、高血圧、てんかん、精神障害、依存症、心機能不全、心筋梗塞、脳血管障害、死亡]
基本は真似しない事を推奨しますが、もしこんな気の触れた事を真似される場合は、必ず「自己責任」の下、他の薬を服用していない、かつ健康な状態で行うようにしてください。
あと当然真似した場合の責任は取りませんので、最悪死んでも知りません。
というか、真似しないように。
さて、脅しまくったところで本題。
前書きの通り、「楽して痩せるサプリは無い」と言った。
しかし、本当に「食事量・運動量を全く変えずに痩せるナニカ」は無いのだろうか?
「さっきと言ってる事違うやんけ」と言われるだろうけれど、しかしインスリンが効かなくなった糖尿病患者は痩せる事がある。甲状腺機能が亢進し過ぎたバセドウ病患者は痩せている事が多い。ついでにADHDの薬の副作用として体重減少がある。
「サプリメント」の度を越して、「薬」「病気」の類であれば、副作用として痩せる事が不可能ではないだろうと、これらを見て考えられるだろう。
身体の代謝機能を大きく崩し、異様に吸収を阻害させるか、異様にエネルギー消費を亢進させられれば、サプリ程度では成し得なかった「食事運動を変えずに痩せる」事も出来るはずだ。
当然そんな事をするのは危険の極みであって全くオススメ出来ないのだけれど、そんな事はもうちょっと頭の作りがマトモな人に考えてもらうとして、単純な疑問として「ヒトは食事量運動量を変えず、本当に「薬の力だけで」痩せる事は可能か?」と思うわけよ。
こんな文章を書いている時点でもうお察しだと思うんだけれど、そんな事を考えたらもうやるしかないじゃない。
という訳で改めて。
「食事量・運動量を変えずに、「薬の力だけ」で痩せる事は可能か?」
調べてみました。
さて、まずは薬の選定。
痩せるといっても、死にかけて痩せる、もしくは本当に死ぬのは勘弁したいから、なるべく安全かつ法律の範囲内でやらなきゃいけない。
具体的には、市販薬として買える物、かつそれほど重篤な副作用を起こさない、又は起こしにくい物。
という訳で、それら2つをクリアしつつ効果があるとされている2種類の薬(ただし日本では売っていないので輸入薬)を用意し、それぞれ1週間ずつ飲みながら、食事運動習慣を変えずに体重を記録してみようかと思います。
では早速第1ラウンド!
①ECAスタック
ECAスタックとは、エフェドリン、カフェイン、アスピリンを組み合わせた薬物チャンポンの事。
メインの成分はエフェドリン。これは麻黄という漢方薬から抽出される成分なんだけれど、脳の神経伝達に作用して、やる気と集中力を思いっきり高めつつ、食欲抑制、脂肪燃焼を起こす事で減量効果を発揮すると言われている。
と言えば聞こえがいいんだけど、覚せい剤とほとんど同じ構造をしていて、作用機序も覚せい剤を弱めたような感じで大体同じ所に作用する。
というか覚せい剤の原料でもある。
ついでに効果が高すぎて、オリンピックのドーピング禁止薬物に指定されていたり。
のっけから違法じゃねーかと思うかもしれないけれど、エフェドリンは覚せい剤とは違って、風邪薬なんかにも使用されているれっきとした合法のお薬です。
麻黄湯とか、あとはエスエス〇ロンとか、「眠くならない風邪薬」って言われるのに大体これが含まれている。
さて、この脂肪燃焼効果を持つエフェドリンと、相互作用して効果を高めるカフェイン、アスピリンを組み合わせたのがECAスタック。
これは本当に効くと言われているのだけれど、エフェドリンが覚せい剤と似ている為に長期の使用でもれなく依存症を引き起こす。
その他にも動悸や吐き気、血圧上昇、薬との飲み合わせや持病等によっては心臓発作を起こして死んだりするので、注意して服用するように。
まぁこんな副作用を知った上で実行するバカは中々いないとは思うけれど、念のため。
では私はバカなので、1週間スタート!
1~7日目 ECAスタックドリンク
【作り方】
エフェドリン50mg(正しくはそれ相当が入っている海外輸入薬)
カフェイン200mg
アスピリン660mg
これを一気にとるともれなく心臓がだいばくはつになるので、1.5Lのスポーツドリンクにこれを混ぜ、1日かけてちびちび飲んでいこう。
錠を砕いて適当なスポーツドリンクに混ぜ、よく振って出来上がり。
さて飲んでみよう。レッツテイスティン!
ぐび。
マッッッッッズ!!!!
にっが!何コレ!?
カフェインは苦みを呈するっていうけれどこんなに苦いんだ!えっちょっと感動した!
ひたすら苦みとそこはかとない漢方inスポーツドリンクって感じ。スポーツドリンクなのに飲むと気分が爽やかとは真逆へ向かう。
これはヤバいものを生み出してしまった……スポーツドリンクを発明した人がこれを飲んだら「こんなはずじゃなかった」と泣き出すに違いない。
それ位エグい。とにかく苦いマズい超後に残る。マジで飲むの苦痛。
えっ、これ1週間飲むの?
なんか既に「楽してダイエット」の「楽」が取れかかってきてる気がする。
さて。
味が地獄だと分かった所で、飲んで10分程度経つと、まず心臓に違和感が来るんだけど。
動悸とも痛みともつかない、両者を足して2で割ったような違和感。これを3倍位強めたら心臓止まるんだろうなって感じの不穏な感覚で普通に怖い。
確かエフェドリンもカフェインもノルアドレナリンを経由して心臓に作用するもので、ついでに変な違法薬物を摂取して死ぬのは、この作用を何倍も強くした結果なんだっけ?
こわっ。
上記の激ヤバドリンクを飲むとこの症状が出るので、確実にそれが原因とは分かる。
……というか、10分程度でこれって作用早いな。
液状の薬ってこんなに早く作用するものなのか、へぇ知らんかった。感心している場合じゃないけど。
しかしとりあえずは死ななさそうなので、適度に飲む量を調節して会社でぶっ倒れないようにしつつ様子見。
まぁ一気飲みしても(多分)死にはしない量だろうし。
で、その他気になる事としては、カフェイン飲料を飲み過ぎた時の様な額の軽い違和感、そしてひたすら 暑 い 。
「暑くなる」。これがエフェドリンの主作用かつ目的の作用なので、たぶん効いてはいるのかもしれない。
エフェドリンによる暑さとダイエットの関係をちょっと説明。
エフェドリンが主成分の風邪薬、麻黄湯は気管支を拡張して咳を和らげる他、体温を上げて免疫力を高めるのに使われる。
んでもって、この「身体の熱を上げる」って作用が、実はダイエットとかなり関係していたり。
体温を上げる事、つまり熱の産生には、「UCP1」っていう名前のタンパク質が関わっていて、エフェドリンやカフェインはそこに作用して脂肪燃焼効果をもたらしている。
この2つは「UCP1増えろ!」と身体に指示をかける物質を増やす事で、脂肪燃焼効果をもたらしているのだそうな。
どうやって作用しているかをさらに説明してみる。以下、興味が無ければこの四角で囲った部分は読み飛ばし推奨です。
まず脂肪細胞にUCP1タンパクが増えると、脂肪が燃焼されて熱になる。
で、そのUCP1を増やすように指示するのが、ノルアドレナリン受容体の中でもノルアドレナリンβ3受容体。
受容体ってのは、「この物質をキャッチして働くよ!」って機能を持つもので、例えばノルアドレナリン受容体だったら「ノルアドレナリンをキャッチすると働く」って仕組み。
αとかβは受容体の種類の事。種類ごとに違う機能を持っていたり、働く場所が違ったりしている。
さて、このβ3受容体は主に脂肪細胞の表面にあって、血液から流れてきたノルアドレナリンをこの受容体がキャッチすると、「細胞内にUCP1を増やせ!」って指示を送る。
すると細胞内にUCP1が増え、脂肪が燃焼して熱になり、体温が上昇する。
冬眠している動物は動かないしほぼ食べないにもかかわらず、微かに体温を維持しているじゃない?その理由がコレ。
全く動かなくても食べなくても、UCP1の働きによって常に熱は産生される。
で、エフェドリンというのは、ノルアドレナリン受容体全てにくっついて反応させる働きを持つ。
するとβ3にもくっ付いて、結果UCP1を増やして脂肪を燃やして熱にする事で、脂肪燃焼効果を発揮する。
という仕組み。
以上説明終わり。
という事で、今やたらめったら暑いのは当たり前で、むしろこれは脂肪燃焼作用が効いているという事では!?
これは期待できるのでは!?
で、1週間経過。体重変動は以下のグラフでどうぞ。
数値はday0の体重を0とした時の増減(kg)。
見事に、変わってねえ……!
マジか、あれだけ副作用あってこれはちょっとビックリだな!
というか6日目、なんだ一体?
一気に2㎏増加したのは何が原因なんだ。
1日で2kgの脂肪に至るエネルギー、18000kcal(正確には脂肪細胞は1kgあたり7200kcal(タニタ調べ)なので2kg分の脂肪細胞は14400kcal)を一気に摂取するのは物理的に不可能だとして。
だとすると単に休日と平日の食事量の差?
もしくはあまり水飲んでなかったから水分量……と考えるにしても数値がやたら大きいし。
ちょっと不明。
ついでに巷でよく言われる「ECAスタックで食欲が無くなった」という効果は、何故か私にはほとんど起きなかった。
おかしいな、むしろこの効果が主成分のはずなんだけれど……?
まぁそこは個人差という奴なのかもしれない?第一私は40度近い熱を出しても食欲だけは消えなかった食い意地過激派マンだし。
それに、どちらにせよ「食事運動量を変えずにやる」ルールだから、そこはあまり気にしないで良いか。
とりあえず薬の効きも弱くなってきた気がするので、1週間休薬してから第2ラウンド。
休薬期間中体重がどう変化するかも見ながらやってみよう。
8~14日 休薬期間
何故か体重が減ったんだけれどなんで???
もしかするとこの間の2㎏増が戻ったんだろうか?
それとも、ECAスタックの副作用として浮腫みがあるから、飲んでいる最中本当は効いていたけれど水分で変化が見えず、止めた後浮腫んだ水分が減って数値に表れたって事もあるのかもしれない?
うーん分からん。一通り実験が終わってからもう一回やって、同じような事が起こるか見てみる必要があるかも。要追試。
ついでにこの期間、やたらめったらうっかりしていた気がする。
そういやエフェドリンって注意力上げる薬でもあるからね……。その薬を急に止めたら反動で不注意にもなるか。
という事で、以下エフェドリンと不注意の説明。
ダイエットと全く関係ないので読み飛ばし推奨。
エフェドリンはノルアドレナリンやドーパミンの濃度を上げつつ、自身がその受容体にくっ付いて効果を増やすというお薬。
んでもって、ドーパミンとノルアドレナリン、この2つは注意力・集中力と関係している事が知られている。
実際、ADHDみたいな不注意過剰で困る症状には、これらの脳内濃度を高めてやる薬が処方されたりする。
エフェドリンは、ドーパミンとノルアドレナリンの効果を高めてやる事で、短期間ならADHD薬とかなり似たような効果を現す。本当に短期だけなら。
だけど、そういう薬を長期間使用して急に断薬した場合、逆にノルアドレナリンやドーパミンの濃度が一気に下がって、「離脱症状」という、薬のもたらす作用と逆の作用が現れる事があり、エフェドリンはそういった症状が割と起こりやすい。
要は、エフェドリンを長く続けた後急に止めたりすると、逆に不注意が進んでしまう、という事になる。
ちなみに抗うつ剤のいくつかも急に止めるとこれが起きるから注意ね!
ところで、エフェドリンには一つの問題がある。
確かにエフェドリンは食欲減少効果も脂肪燃焼効果もある。そしてそれは主にノルアドレナリン受容体に作用する事で効果を表している。
ただ実は、同じノルアドレナリン受容体で、逆に脂肪燃焼を抑制させてしまう受容体がある。
具体的にはα受容体が脂肪燃焼を抑制して、脂肪燃焼を促進させるのはβ受容体。
エフェドリンだとαとβどちらにも作用してしまうもので、これだと少し効きが悪くなってしまう。
ので、β受容体だけに作用するものは無いか?と探してみると、これまた有名で、そしてエフェドリンよりヤバい薬が存在するじゃあないか。
という事で、次回はその薬を試してみよう。
死んでなければ!
(次回:よりヒドい目に遭うノルアドレナリンβ受容体作動薬編!)
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