数年前からSlackを使い続けている組織に伝えた「Slackの使い方」
こんにちは。サイバーエージェント小売DXチームにてiOS / Server-sideエンジニア 兼 開発マネージャーをしている岐部と申します。
私が所属している小売DXチームはまだ発足して1年強で、現在進行系で急速に人が増えていっている状況です(私も途中から参加した身です)。
そんな中、組織力強化を目的にSlackの使い方を紹介するLTを昨年末に行ったので、その内容を紹介します。
サイバーエージェントは全社でSlackを使っています
サイバーエージェントではSlack Enterprise Gridを導入しており、我々小売DXチームもSlackがテキストコミュニケーションの中心になっています(一部、社外との連携用途で他のツールを使うシーンもあります)。
小売DXチームは他の部門から異動してきたメンバーも多く所属していますが、私も含めて以前からでSlackを利用していたケースが多く、人にもよりますが数年単位で利用しているメンバーが多いです。
Slackは他のツールに比べても使いやすい部類に入ると感じていますが、だからこそ「なんとなく使っている」方も多い印象を持っています。
しかし、私自身が2014年からSlackを使ってきて、このツールには組織の力を何倍にも強化するポテンシャルがあると考えるようになりました。
この記事の要点は2つ
ログを探そう・残そう
通知を最適化しよう
この記事で伝えたいのはこの2つだけです。
ログを探そう・残そう
あまり知られていないのですが、Slackは「Searchable log of all conversation and knowledge」の頭文字を取って命名されたものだそうです。
そう、Slackはただのチャットツールとして構想されたのではなく、もともとは検索が前提にあるシステムなのです。
Slackに書き込むときは検索を意識して
Slackに書き込めば検索にヒットしますし、書き込まないと検索にはヒットしません。
当然のことを言っているようですが、この性質を意識してSlackに書き込めている人は意外と少ないです。
書き残すべきことと、逆に書かないほうが良いことの例を挙げます。
書き残すべき内容の例
議論の結論
口頭での会話も結論はSlackに書いたほうが良い
試行錯誤ログ
App Storeに提出したアプリ申請が審査でリジェクトされた場合の対応手順など
Slackは「一番簡単に残せるドキュメント」と捉えることも出来ると思います。
何らかの意思決定をしたり、後から同じ会話・作業をする気配を感じたら、その多くはSlackに書いておくと後から役立つ内容かもしれません。
書くのを避けるべき内容の例
パスワード・トークン
誰かを傷つける可能性がある言葉
検索結果に特定の書き込みだけがヒットして、文脈を勘違いしてネガティブに受け取られる可能性も…
検索結果には自分が参加していないSlackチャンネルのログも表示されるため、Slackの書き込みは不特定多数が見るものとして捉えた方が良いです。
また、privateチャンネルであっても油断は禁物です。自分の預かり知らないところで後から別の誰かが追加されるかもしれません。
DMは検索の敵
DMでやりとりしてしまうと、当事者達以外が検索できない情報になってしまい、せっかくの情報価値が組織に還元されない状態になってしまいます。 DMでのやりとりは繊細な話題に限定し、何らかの作業依頼や業務の相談はできるだけプロジェクト毎のチャンネルで行いましょう。
「私の書き込みなんかで皆が見るSlackチャンネルのログを流したら申し訳ない」という考えは捨てましょう。
通知を最適化しよう
通知を「自分が話しかけられた時に スッコココ という効果音で通知される機能」としてしか使っていないとしたら、とても勿体ないです。
通知の質と量は自分でコントロールするもの。不要な通知を減らしたり、逆に必要と思う領域の通知を増やしたりして、通知機能を活用していきましょう。
通知の質と量をどうやってコントロールする?
ジョインしているSlackチャンネルを減らす
「なんとなく入ってないと不安だけど、最近発言してないチャンネル」のようなチャンネルは、実は入っている必要が無い可能性が高いです。
もし情報が必要になれば後から検索すれば良いですし、「書き込みをざっと見たいタイミングがたまにある」程度の需要であればjoinしないまま一時的にSlackチャンネルを覗き見る機能が活用できます。
ただし、privateチャンネルについては抜けると検索すら出来なくなってしまうので、ミュート機能を使ってそのチャンネルの存在感をより薄くする程度のことしか出来ないかもしれません。
なので出来るだけprivateチャンネルは使わないのが理想ですが、業務ではそうも言ってられないケースが多々あるので、妥協してやり過ごしましょう…。
重要なチャンネルは全通知する
Slackチャンネルによっては、「書き込まれた内容が何であってもすぐ気付きたい」というチャンネルもあり得ます。例えばサーバーサイドエンジニアなら、障害通知専用の部屋は業務時間外であっても通知が来てほしいと考えるのではないでしょうか。
そういうケースで役に立つのが、Slackチャンネルごとの全通知機能です。
Slackチャンネルを開いている時に表示されるチャンネル名をクリックすると、以下の画面に遷移します。
デフォルト設定は「メンション」なのですが、これを「すべてのメッセージ」に設定すると自分にメンションが設定されていない書き込みであってもPCやスマホに通知が飛ぶようになります。
例えば私は
今期注力している案件のチャンネル
自分の分報チャンネル
等を全通知するように設定しています。
おかげで組織や注力案件の最新の状況を日常的にキャッチアップしたり、自分の分報チャンネルに書き込まれた雑談etcに早めに反応したりすることが出来ています。
また、注力ポイントは時と場合で変わっていくので、日常的に全通知するチャンネルを見直すことも意識しています。
マイキーワードを設定する
設定画面からマイキーワードを設定すると、任意の言葉が書き込まれた時に通知が飛ぶようになります。例えば自分の名前を登録しておくとメンションが設定されていなくても自分が関わる話題が出た時に通知されます。こういう使い方をされている方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。
設定するには、Slackのワークスペース名をクリックして「環境設定」を選択し、
「通知」メニューにある「マイキーワード」欄にキーワードを「,」(カンマ)区切りで入力します。
私は珍しい名字なので、誤変換も想定して「岐部,峡部,木部」といった感じでマイキーワードを設定しています。
成長したい人におすすめのマイキーワード設定
マイキーワード機能のミソだと思っているのが、自分が直接関係ない言葉であっても通知させる事が出来るという点です。
使い方によっては業務を円滑に回すだけでなく、自分自身を成長させるキッカケとしても活用できる可能性を秘めている、と私は感じています。
そこで、「自分はまだまだ成長したい!」と思っている方に向けて、おすすめのマイキーワード設定を2つ紹介します。
1.上司の名前
組織がSlackを中心に業務をしていると、会議への参加依頼やちょっとした相談もSlack上で行われることが多くなります。
なのでマイキーワードに上司の名前を設定しておくと、
どんな文脈で上司の名前が挙がっているのか
上司は今どんな課題に取り組んでいるのか
といったイメージが湧きやすくなります。そうすると
自分より上位レイヤーで働いている人間はどういう仕事をしているのか
自分が今何に取り組めば上司の助けになるのか
というイメージも湧くようになり、自ずと自身の目線が上がるのでオススメです。
ただし、Slackの仕様で @kibe_ryuta のような他人へのメンション文字列はマイキーワードに設定しても通知してくれないので、暫定策として個人名を登録しています。
ちなみに、私の直属の上司は以下の記事を執筆した東樹なので、マイキーワードには「東樹,とうじゅ」を設定しています。
2.「どなたか」
7年半Slackを使ってきて、誰を頼ればいいかわからないような困りごとを相談する人がrandomチャンネル等でよく使う言葉として見出したのが、この「どなたか」という言葉です(組織の性格によって言葉はブレそうですが)。
この言葉と共に相談されているトピックは新鮮で多彩なジャンルの話題であることが多く、その相談を見ているだけでも勉強になることが多いです。
また、もしその相談に自分が乗ることができれば、直接的な組織貢献にもなります。助け合いの空気が醸成される副作用もあり、ぜひ皆さんに設定して頂きたいキーワードです。
ツールの導入に価値はなく、活用してこそ価値が生まれる
この記事で紹介した機能以外にも、Slackには便利機能がたくさんあります(例:スラッシュコマンド)。こういった細かいテクニックの多くはそれを使った個人のパフォーマンスに良い影響を与えますが、その反面使い方を覚えたり実際の業務でそれを思い出したりする敷居は高いかもしれません。
この記事は組織全体のパフォーマンスを上げることを目的にしていて、高度な知識が無くても簡単に実践出来る内容に留めています。
凝ったことをしなくても、この記事に書いたような基本的な事を全員が意識することで、組織力を大幅に強化出来ると信じています。
今回はSlackにフォーカスしましたが、小売DXチームは「DX」を主軸に置いている特性上、自分たちが普段触れているツールについても「使わされている」ではなく「もっと活用できないか?」と日々考えているメンバーが集まっています。
本質的なDXで日本の小売業界を一緒に改革する気概のある仲間を積極的に募集しているので、少しでも共感して頂けた方は是非お話ししましょう!