【Interview Vol.10】かれん
こんにちは!〈CANvas〉です。
このインタビューでは、おなじ想いのなかまや、想いをもって活動されている方にお話を聴き、CANvasの輪を広げていきたいとおもっています。
今回の話し手は、かれんさん。聞き手(=★)はまきとはづきです。
実は、かれんさんは、はづきの卒論インタビューを、まきは、かれんさんの卒論インタビューを受けています!
■つらい経験から、切り離せないテーマに
★はづき
最近は卒論が忙しいということですが、どんな研究をされているんですか?
かれん:
「痴漢に対する大学生の意識」を研究していて、ここ最近はアンケートやインタビュー調査をしています。1月末が提出で、やばい…。
きっかけとしては、4月に自分が痴漢にあったこと。
被害を受けた21時半から朝の7時までずっと事情聴取を受け、証拠にスカートやストッキングを持っていかれたり、慰謝料をもらうと示談になっちゃうから断ったり、何がベストなのかわからないから弁護士や専門の先生に聞いたり。
相手がすぐ認めたからスムーズな事例だけど、それでもめちゃめちゃ大変だったし、すごい不快だったし、結構大変な思いをした。自分の中の一つの切り離せないテーマになったなあと思っています。
★はづき
実際に研究してみてどうですか?
かれん:
めっちゃ共感するところが多いし、調べるほど制度に対してムカつくこともある。なんやねん、もうちょっと、なんとかしようあるやろ、って。
私は飽きっぽい性格なんですけど、ずっと興味を持ち続けることができるっていうのは良かった点かな。最初の方はムカつきすぎて疲れてたけど。
★まき
私も痴漢にあったことがあったけど、もし違ったらどうしようと思って言えなかったから、かれんさんはすごいな、って。
なんでこんなに、被害者側が頑張らなきゃいけないんだろうって思う。それをやり遂げたのはすごいかっこいいなって思いました。
かれん:
ありがとうございます。うん、嬉しい。
まきと話すまであまり言語化できていなかったことがあって。「被害者」ってだけじゃないんだよな、ってこと。
本当に大変だったしたくさん悩んだから、それを「かっこいい」と言ってもらえると、「ああ、がんばったしな」みたいな気持ちになれて、嬉しいです。
■わかりあえない…
★はづき
かれんさんは「生きづらさ」みたいなこと感じたことありますか?
かれん:
大雑把な性格で、つらかったことをすぐに忘れちゃうから、深く悩むことはあまりない。
ただ、直接的に自分が嫌な思いをさせられるわけではなくても、「わかりあえない」「伝えられない」って思うとき、やるせなさ、前途多難、みたいな気持ちになりますね。
ジェンダーについての世間のリアクションをみていると、「全然わかってないじゃん」みたいなことがある。揚げ足をとっていたり。
私にとって、ジェンダーは日常の研究テーマであり、どんな分野にも関係してくる話だから毎日考えてる。
平等や人権の尊重、そういう根本のところで共感しあえない人たちが、世界にこんなにもいるんだって体感するときは、すごい苦しいですね。
自分はフェミニストだと思ってるし、勉強したいと思っているから、Twitterで「またフェミか」って投稿をみると、息苦しく、抑圧されてる気持ちになる。
自分の考えを伝えるとき、変に過剰に思われないように気を遣っていた時期もありましたね。最近は、曲解する方が勉強不足だろう、と思ってあんまり気にしないんですけど。
★はづき
生きづらいとき、抑圧されてると感じるとき、どう向き合いますか?
かれん :
自分の考えに共感してくれるような友達と話して、咀嚼できたり、理解が深まったり。
それから、共感してくれるかはわからないけど聴いてくれそうなひとに話してみて、自分と違っても、「こういう人もいるんだな」と受け止める。
そのうちに、色んな見方があるんだなと、立体化していって、自分のなかで消化していくような気がする。うまく消化できないときもあるけど…。
★はづき
話すことで、整理されたり、可視化されてくるものがあるような気がします。
★まき
CANvasは安心して話せる場所を作りたいと思っています。なかなか友達にも打ち明けられないことを話せる人は、どうやってみつけていますか?
かれん:
自分が進んで行った先にいるのかもしれないですね。
興味や考えをいっぱいしゃべって、進路を選んできた。そしたら自然と話せる人がみつかったのかも。
100%全部を受容して欲しいとか、肯定して欲しいとかは、別に思ってないしね。
■無理なく、アップデートしつづける
★はづき
かれんさんらしい生き方ってなんですか?何を大切に生きてますか?
かれん:
ハードなこととソフトなこと、みたいなのが、あるかも。
ハードなこと、自分に課してることとしては、「思考停止しないこと」ですかね。
何事に関しても、「勉強して一通り用語がわかるし、当事者の話も聞いてるし、大体知ってる」みたいな気持ちになりがち。
でも、自分の知識が100%なんてことはありえない。 ときに自分が差別に加担したり、間違ったことを言ったりする可能性があるんだぞっていうことを常に意識して、アップデートし続けられる大人にならないと行けないと思ってます。
そうしないと、新しい価値観、違う世代、違う立場の人の言葉が入らない大人になりそうだなって。だから、思考停止しないことを意識していたい。
ソフトな方でいうと、あんまり、「過ぎない」ということ。負担にならない程度で、楽しい、興味がある、って思えることを、無理し過ぎないでやる。
疲れてくると、感受性がすり切れてきたりするじゃないですか。それってすごい寂しいなあと思って。 楽しめる余裕を持ちながら、やりたいって思っています。
■考えを伝えること
★まき
自分の考えを発信するのが怖いことってありますか?私は、フェミっていう言葉をからかう人が周りに多いと、自分の考えを発信するのが怖いことがあります。
かれん:
怖いなと思っていた。
でも、勉強して、自信がついたり開き直ったりできることも増えた。
こう解釈したらいいのかな、こういう構造の現れなのかな、というメタ認知。ちょっと離れたところから眺めるようになったりして。
偏見があるような人に出会って話をしたら、異文化交流できる、ラッキーなこと。
勉強したことによってそういうふうに客観視ができるようになって、言われてつらいこと、とは分離ができた。
★すごく大事。研究することで客観視できるようになって生きやすくなるし、未知のものがすこしみえると恐怖が弱まるよね。
編集後記
傷ついたり、たくさん悩んだ原体験。それでも、傷つく側の気持ちを完全に理解したと思わないように、とか、価値観がことなるこういう人もいるんだなと客観的にとらえる、とか、ものすごく謙虚に、やさしく、社会と向き合っておられると感じました。
お話しを聴かせていただき、ありがとうございました!
(より)
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