Interview Vol.13 まっち
こんにちは!〈CANvas〉です。
このインタビューでは、おなじ想いのなかまや、想いをもって活動されている方にお話を聴き、CANvasの輪を広げていきたいと思っています。
今回の話し手は、まっち。
聞き手(=★)は、はづき、より、まきです。
■「異なる」ことで排除しないで
まっち:
もともと差別問題に興味があった。自分や周りの人が抑圧される経験、場面を目にすることがあって。
属性や見た目、特性によって排除・抑圧される人がいること、そのことについて排除側は「本人が悪い」「自己責任」「集団のため」みたいに正当化して当事者の権利を無視することって、不条理だと思ってる。自分は、そういうことに対して人よりも違和感を感じるんだと思う。
★昔から「不条理」に関心があった?
まっち:
そうだね…。小さい頃、いろんな立場の人と関わってた。
小中学校がちょっと荒れてて、いろんな人がいたんだけど、先生からは「まっちは、特定の人を排除するんじゃなく、誰にも対等に接するよね」と言われてた。その頃から、いろんな人に対して配慮する性格はあったのかもしれない。
★多様性に慣れていたからこそ、「異なる」ことで排除・差別されるような場面に違和感を感じるようになったのかもね。
■弱さを大切にできる場所を
まっち:
排除や不条理の話でいうと、社会的排除に強い問題意識があって。人間の在り方って本来的に多様なのに、「常識」「普通」みたいな枠を押し付けられて、そこからズレてたらレッテルを貼られてどこかで社会的に排除される、っていうのはすごく窮屈だと思う。
★まっちは卒論で精神障害のある方の社会的な排除/包摂について扱ったんだよね。
まっち:
そう。ストレス社会と言われる中で、生きづらさを抱えるリスクは誰だって持ってるのに、「精神障害」ってレッテルを貼られたら排除される社会のあり方は、すごく脆弱だと思っている。異質性とか生きづらさに対して、排除ではなく包摂していける仕組みにもっとできないのかなと。だから、CANvasの、生きづらさに向き合っている活動に、すごく共感した。
心の中にあるけど話しづらいことって、自分にもあるし、誰にでもあるよね。そこに目を向けたい、寛容でありたい。自分や他人の「弱さ」を拒絶したり卑下したりせずに受け容れられることは、ひとつの「強さ」だと思う。
綺麗事って言う人もいるかもしれないけど、「弱さ」を大切にしたい。弱さも話しやすいコミュニティや場があればいいと思うし、自分自身が誰かのそういう場であれたらいいなって考えてる。
■文化相対主義「的」にお互いを大切にする
★そういう思いで卒論に取り組んでみて、どうだった?
まっち:
いい意味で、折り合いのつけ方がわかった気がする。
人の弱さを受け入れられるようになりたいという思いが強すぎて、配慮しなきゃ、支援しなきゃ、とこちらがつぶれそうだった。配慮するために自分を犠牲にしすぎるところがあった。
支援現場の職員さんが障害者の方と接する様子をみて、ある意味「普通」でいいんだな、と思えるようになった。
障害者の方ともあくまで「対等」。過剰な配慮でかえってギクシャクしたり、自分ばかり我慢したりするのも違うなって気づけた。
結局は、社会の構成員として対等に向き合うことが「包摂」ってことなんだなって。そういう意味で「普通」でいい。
★弱さを受け止めながらも、どこか自分との線引きをしっかりできるようになった、ってことなのかな?
まっち:
そうだね。授業で、文化相対主義の対話のプロセスが大事っていう話を聞いて、頭ではわかっていても実際にはイメージしづらくて。
まっち:
障害者支援の現場で過ごしていろんな場面をみたことで、他人と接するうえでの「他人への配慮」と「自分を大事にすること」のバランスをつかめたような気がする。
★自分とあなたは異なる、という認識があるからこそ、自分を守りつつ、相手を理解する努力を続けられるようになったのかもね。
■対話は「らしさ」共生のカギ
★自分のために、大切にしたいものってある?
まっち:
自分らしくいられて、前向きに積極的に在れるコミュニティを大切にしたい。
もともと消極的な方なんだけど、いろんな人と関わるなかで積極的になってきた。
話す中で自分を相対化して、自分の考え方に気づいて、アップデートしていく。それがポジティブな自己変革や自己肯定につながっていると思うんだよね。そういう関係性や出会いを大事にしたい。
★それは同時に、社会においても大切にされてほしいと願っていること、なのかな。
まっち:
そうだね。対話の姿勢が大事って思ってる。
多様な人がいて、考えの違いや相容れないものがある。けど、自分と違う考えを拒絶するんじゃなく、対話する中で考えをすり合わせながら、根気強く向き合いたい。
一部の人だけじゃなく、多様な人にとって生きやすい、包摂的な社会、多様な人の声に耳を傾けられる社会がいいなと思う。
編集後記:
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