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元客室乗務員(CA)が不思議や疑問にお答えします【機内アナウンス編】
こんにちは!
《CA.jp》編集担当スタッフの鈴木です。
先日、受講生の方から機内アナウンスについての疑問やご質問を頂戴しました。
実は、機内アナウンスについては、現役CA時代もお客様からよく質問を頂いておりました。
質問の内容や疑問に感じておられることがよく似ていたので、今回はJALとANAでの客室乗務員経験をいかして、みなさまが抱く疑問にお答えしようと、note を書き始めています。
お楽しみいただけると嬉しいです。
▷ Q.1 機内アナウンスの最後にCAさんがメッセージのような言葉を添えていることがありますが、あれはアドリブですか?
はい、アドリブです。どの航空会社にも、アナウンスマニュアルが存在し、保安・安全に関することや到着・空港情報など路線ごとに定められた「必ずお客様にお伝えしなければならないこと」があります。
ただ、到着時のアナウンスでは、お客様にマストでお伝えするべき事項を全て言い終えた後に、お天気、季節ごとの挨拶、到着地の見所やおすすめスポット、お客様への感謝の気持ちなど、お客様のご様子やその便の様子を観察しながら、CAオリジナルの言葉で気持ちを伝える工夫をしています。
例えば、平日・夜のビジネス路線では、乗り馴れたお仕事帰りのお客様が多く搭乗されています。
そのような場合は、お客様の1日の疲れを少しでもとっていただけるようなアナウンスを心がけたり、乗り馴れていることやお疲れのことを配慮し、敢えてシンプルなアナウンスで締めたりなどの工夫をしていました。
また、休日や長期休暇のシーズンでご家族連れやレジャー感漂う路線では、現地のお天気をより詳しく伝える、現地の「今」の見どころをお伝えするなど、喜んでいただけるようなアナウンスを心がけていました。
このような取り組みはANAもJALも同じでした。
▷ Q.2 CAさんの機内アナウンスってどこでしているのですか?
運航乗務員(パイロット)や客室乗務員同士で連絡を取りあうためや、機内アナウンス時にマイクとして使用するために、機内には電話のようなインターホンが設置されています。
このインターホンがあるのは、コックピット内と各ドアのCAシート(客室乗務員が着席する場所)付近なので、どこかのCAシート付近から機内アナウンスをしています。
▷ Q.3 機内アナウンスで心がけていた事は何ですか?
機内アナウンスで大切にしていることは、
正確な情報をわかりやすく
適切なタイミングで
安心してもらえる声で
状況に合わせたCA側の表情が浮かぶ声で
「お伝えする」ということでした。
機内アナウンスは目の前に座っている一部のお客様を除き、顔が直接見えないお客様に対してお伝えしなければいけないので、声だけを聞いて安心していただいたり、信頼感を持っていただけるようにしなければいけません。
マニュアルを「読む」や「話す」のではなく、「伝える」という意識を持って、一言一句を大切に丁寧に語りかけるように…と、私は先輩から教えていただきました。
また、
保安や安全に関する事
サービスに関する事
などでも声を使い分けなければならず、「保安や安全に関する事」と一括りに言っても、
緊急事態に対する指示なのか、
揺れを不安に感じるお客様に安心していただくためなのか、
などで声色を変え、お客様がCA側の表情が浮かぶようにお伝えする必要があります。
▷ Q.4 機内アナウンスは練習するのですか?
会社により方法は異なりますが、ANAでもJALでも機内アナウンスを学ぶ講座が開かれているなど、練習する機会があります。
保安や安全に関する機内アナウンスを除き、新入訓練ではあまり詳しく練習しませんが、志を高く持っているほど練習するチャンスは多いです。
アナウンスの社内資格を持った客室乗務員が講師となる講座や、Web研修、直属の先輩からのレクチャーなど、さまざまな機会を活用して日々その腕を磨いています。
▷ Q.5 機内アナウンスの際も笑顔なのですか?
お伝えする内容や状況にもよりますが、通常の機内アナウンスは笑顔を作りながら実施します。
「本当に笑ってアナウンスすると、声も笑顔になりますよ」
私が新人CAの頃、先輩から教えていただいたこの言葉。
まさにその通りで、笑顔で機内アナウンスを実施すると、声もワントーン上がり、優しく安心感のある声質になります。
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普段、機内アナウンスをする際に、国内航空会社の客室乗務員の方々が意識されていることは、日常生活の会話の中でも役に立つことかもしれません。
思いやりをもって相手に「伝える」
どうすればよりよく伝わるのか、伝え方を意識する
まずは、
早口ではなくゆっくり丁寧に
笑顔で発声する
といったことを意識してみてくださいね。
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