「ずるい考え方 」ゼロから始めるラテラルシンキング入門
今日は最近読んだ木村尚義さんの著書「ずるい考え方」のご紹介です。
皆さんはラテラルシンキングをご存知でしょうか?
イギリス人のエドワード・デ・ボノ博士という方が提唱した考え方で「どんな前提条件にも支配されない自由な思考法」だそうです。
「水平思考」などとも呼ばれるみたいですね。
ロジカルシンキングと違って「唯一の正解」というものがなく、文字通り思考の幅を広げる考え方です。
ロジカルシンキングがまっすぐ掘り下げて具体的に答えを導き出していくことに対して、物事の本質を考えながら「それもアリだね」と自由奔放に発想すると思ってください。
今回は本書からそこから気になった3つについて書いていきたいと思います。
「あらゆる前提が自由になる。」
ラテラルシンキングは「常識」にしばられず、多角的に見るため、様々な前提や枠組みにとらわれず、自由に発想することができる。
本書には新聞紙を抽象化してみることを例に書いてありました。
新聞紙の本質を「〇〇するもの」として考え、「〇〇」になにが入るのかを考えるというものです。
パッと思いつくものとして
・情報を伝えるもの
・広告を載せるもの
こんな感じになると思いますが、これをさらに抽象化してみると、
・包むもの(陶器、焼きイモ、野菜など)
・敷くもの(爪を切る時、果物の皮をむく時など)
・型崩れを防ぐもの(カバン、靴など)
・汚れを防ぐもの(焼肉店、もんじゃ焼き店のエプロンなど…これはちょっと「ん?」と思いましたが)
その他にも着火時の火種、雨合羽の代用、防寒具、リサイクル資源などが挙げられていました。
つまり新聞紙を「物体」としてとらえるか「情報」としてとらえるかで対象の本質が変化するというものです。
最近大流行の某メモ術の本でも抽象化について書かれていましたが、本書もとてもわかりやすく解説されています。
いまいち抽象化についてピンとこない方もこの「〇〇するもの」という考え方で発想するとわかりやすいのではないでしょうか?
さらになるほどと思ったのが、例えば新聞紙の「包む」という行為に関しても、
・汚ないものを包む(まわりを汚さないため)
・きれいなものを包む(中のものを汚さないため)
と、まったく違った用途としてアイデアが浮かんできます。
このように普段からあらゆるものに対して「何をするものか?」と考える習慣をつけることで「抽象化」の引き出しが確実に増えていくと思いました。
「今までにないものが生まれる」
異質なもの同士を組み合わせたり、既存の価値観を逆転させたりしてそれまでになかったものを生み出すのがラテラルシンキングの特徴です。
・他者の力を借りる
・作業を組み合わせる
・「楽する権利」を手に入れる
このような3つのパターンで、「最小の力で最大の効果を出す」として紹介してあります。
これまたベストセラーになったエッセンシャル思考と共通してますよね。
わかりやすい例として十二支のはじめがネズミになった理由が書いてありました。
「昔、動物たちがお釈迦様に新年のあいさつに行くことになり、到着した順に十二支の動物を割り当てる〜〜」の、あの話です。
足の遅い牛が遅刻しないようにとせっかく一番早く出発したものの、最初に着いたのは牛の背中に乗ってゴール手前で飛び降りたネズミだったというエピソードはご存知の方も多いと思います。
本のタイトルのようにまさに「ずるい考え方」ですが、あくまで例えとして考えると非常に納得のできるものでした。
「目先の利益を追求しない」
本書に書かれている大きなテーマとしてラテラルシンキングに必要な3つの力が紹介されています。
詳しくはぜひご自身で読んでいただきたいのですが、ざっくり書くと
疑う力→固定観念を打ち破る
抽象化する力→物事の本質を見抜く
セレンディピティ→偶然の発見を見逃さない
となります。
そして、これらをもとにラテラルシンキングで考えるのが「ずるい考え方」なわけですが、実生活において個人的に最も重要だと思ったのが「目先の利益にとらわれず、先の先を読む」ということです。
これはキングコングの西野さんもよくおっしゃっていることで、僕も最近になってやっと理解できるようになってきました。
「先の先を読む」とは、将来の展開を予測して、あらかじめ手を打っておき、最終的に成功をおさめる(利益を得る)ということです。
また、バケツとパイプラインの話で、
「水を運ぶ際に、ある男はすぐにバケツを持って水を運び始め、もう1人の男は半年かけて建設作業員を連れて村に戻り、1年後に村と湖を結ぶパイプラインを作った」という話が書いてありました。
結果的には村人たちは安定して水が供給されるパイプラインを作った男から水を買ったという話です。
タイトルの「ずるい考え方」というのはちょっとオーバーな気がしますが、これに似たような話は昔から多くの成功者のエピソードとして語り継がれています。
つまり、「いつの時代も成功を収める者は常識にとらわれず、物事の本質を見抜きながら、常に考え続け、そして実行に移すことのできる人間」なのだと思います。
だからこそ、偶然のチャンスをしっかりとつかむことができるのでしょう。
秋元康さんの言葉に
夢は全力で伸ばした手の指先の1ミリ先にある
というものがあります。
ラテラルシンキングとロジカルシンキングは決して対立する考え方ではありません。
またどちらかひとつでなければいけないわけでもありません。
ラテラルシンキングで物事を多角的により多くの選択肢で考え、その中のひとつについて現実的に実行可能なのかを判断する際にはロジカルシンキングで深掘りしていくことが重要です。
なぜならたくさんの選択肢の中から最終的に実行するのはひとつだからです。
人は1日に35000回も決断しているそうです。
そのひとつひとつが少しでも的確に最短距離でことが運べるようにするための入り口として、今回のラテラルシンキングという思考法があるのかなと思いました。
本書にはその他にもたくさんのエピソードを用いて非常にわかりやすく解説してあります。
皆さんの生活がより良く、そしてより豊かになりますよう、ぜひ一度手に取っていただきたい1冊でした。
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