pulse everywhere day1/Managing Uncertainty: Why Customer Success is Existential
ここからはPulseEverywhereの各セッションについてのレポート記事となります。Pulseって何?とかそういう方は初日の記事をご覧ください。
Managing Uncertainty: Why Customer Success is Existential
まずはThe Next Level CS Teamというセッションの1本目。比較的現場のCSM向きの内容と思しきセッションです。
不況な時ほどカスタマーサクセスは必要とされるその理由とこれからどうしていくか、どうやってチャーンを防止していくかというカスタマーサクセスの基礎となる内容です。
不況の時にカスタマーサクセスが必要な5つの理由
(なんだかありきたりな記事のタイトルみたいになってしまった)
至って当然ながら以下のような理由で不況時にこそカスタマーサクセスが求められます。
・不況による恐怖により、意思決定が鈍り新規の売り上げが急速に落ちるから
・既存顧客は結果や顧客体験をよりシビアに精査するようになるから
・既存顧客はこうした不況時に誰が自分たちのために尽くしてくれたかをしっかりと覚えているから
・既存顧客はこうした不況時にこそ助けを求めているから
・既存顧客は支出を減らそうとするから
不況時におけるチャーンについての現実
GainsightがCEOやCCOに取ったアンケートでは以下のような結果が出ています。なんとこのアンケート、82社に取って41社から返答のあった回答率50%のもののようです。(母数少なくないか?と思ったのは内緒です。)
まずGRRというのはGross Retention Rate(=総契約更新率)のことです。
コロナ前(左)後(右)でGRRの予想を聞いた時の平均値を取っています。
コロナ前にGRRは80%未満だろうなと予想していたところ(一番左)はコロナ後に予想よりも16.7%下方修正した、GRRは95%以上だろうと予想していたところ(一番右)はコロナ後に予想よりも5%下方修正したという結果が出ています。程度に差こそあれ、全体として下方修正されているということです。
SMBについては更に深刻です。
横軸がACV(Annual Contract Value=年間発注額)、縦軸がGRRとなっているので、ACVが小さい企業ほどGRRは予測を大きく下回る修正が入っています。つまりSMBのchurn rateが上がるでしょうという予測です。
実際問題、日本でも特に中小企業へ今回のコロナで経済的影響が出ています。こうした時に様々なコスト削減が必要となるのでこの結果はその通りだと言えるでしょう。
このような結果を受け、85%の企業はCSMをこれからも維持 or 拡大すると解凍しています。CSMにはこんな時だからこそより一層既存顧客を大事に維持して欲しいし、リソースをもっと突っ込むべきだろうとのことでした。
では、具体的にこれからどうするのか?
清々しいほどのCommunicate、そしてこういう時だからこその善意は中長期的にとても有効であるということですが、それはお気持ちCS・ハイタッチCSをやれというわけではなく、communicateの捉え方が全然違う。
上図の直訳を見るだけでは「はいはいかっこいいテックタッチね」となってしまうのだけれども実際の具体例はというと…
・CEOからCEOへ現場から現場へといったようなパーソナライズされたメールを出す
・製品にLMSを組み込む
・スパムと思われないようコミュニケーションの量や頻度のバランスを取る
・ユーザーがお互いに学べるフォーラムを提供する
・重要な情報は通常のメディアとは違う方法で発信する
これら全てにおいてテックタッチ・コミュニティタッチといった1対Nのコミュニケーションを非常に重視しています。それゆえ、ユーザーがスパムと思わないようなパーソナライズと情報量・頻度バランスを取ることもとても大切。
このパーソナライズの手間・バランスをとることの手間且つ1:Nのcommunicationへの不安から、1:1のcommunicationを取っているところが(うちも含めて)日本では多いのではないかと推測しています。
ハイタッチ、直接の会話、1:1のコミュニケーション。なんとなく丁寧っぽく見せられる上に単純ですぐにできるというメリットはある。
churn rateを最小限にするための戦略5ステップ
1.コロナの影響に基づいて顧客をカテゴライズする
2.テックタッチや自動化によってレバレッジを効かせる
3.ヘルススコアや更新時期を加味して対応の優先度をつける
4.更新のために1や3で分類したそれぞれのカテゴリーに対してどのプレイブックを用いるか戦略を立てる
5.最後に顧客単位でリスクが見られたり拡大のチャンスがある場合には管理したり営業に繋いだりする
もちろんステップ2の中ですんなりと自動化やテックタッチにハマらない客もいるのでその場合は電話やWeb会議でフォローを行うこともある。ただそれはカスタマージャーニーの筋道に戻すための手段であって外れたらもうずっとハイタッチになるということではない。
と、まあタイトルを考えると「不確実性のマネジメント」ということで、不確実なものを無くしていくために例外は筋道に戻す、戻したら再びテックタッチや自動化に戻すというのを繰り返して不確実性を無くしていくのだと感じた。更に人の出入りが日本よりも激しいアメリカでは尚更属人化ということそれ自体ももはや不確実性なのでしょう。
今回のコロナのような、突如現れてビジネスを不確実なものにしてしまうものが現れても筋道と戦略を立ててテクニカルなカスタマーサクセスを行うことによって、一つずつ不確実性を無くしていけばこの危機も必ず乗り越えられるということでしょう。
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