pulse everywhere day1 / Managing Uncertainty How to Focus Your Product Strategy②
このセッション、内容が濃すぎる&私の理解が追いつかず時間かかりまくった上に2つに分けるに至りました。ここからがRING-A-DOCの具体的な取り組みです。
RING-A-DOCの状態
RING-A-DOCでもかなりたくさんの機能リストを抱えている。しかも、それに対応するチームは4つだけ。
そこでは一般的にピーナッツバターと呼ばれる状態に陥っています。(一般的にって言ってるけどググっても美味しそうなピーナッツバターしか出てこない。。)
ピーナッツバターをパンに広げて塗るように、粘度があるのでなかなか広げられない(リリースできない)、塗って広げるだけなので差別化もできないということのようです。ピーナッツバターの例めちゃくちゃ分かりにくい…笑
この状態を打破するには、何にどうやってフォーカスを当てるかが重要になってきます。
成功している多くの企業を研究すると、顧客にコアバリューをきちんと提案でき、顧客に注意を払い、顧客を維持させていることが分かりました。
つまり、スケールする前のように顧客が何を求めているか、製品をどう強化していくべきなのかを考えるということです。
顧客にとって大きな問題を解決することが、ビジネスの大きな価値を生み出すということを忘れてはいけません。
そしてBuild Trapにはまってしまった時にはチーム全員で"会社の目標を達成するために最も重要なものは何か"みんなで意見を交換しあい、その一つ一つに耳を傾けることを推奨されています。
このスピーカーの方はPRODUX Labsというコンサルを行ったりプロダクトリーダーの育成をしていたりするところの方ですが、こちらでコンサルを受けるときにはCEOだろうと何だろうとチームのメンバーは何と言っているかということ、最も重要な構築できるものは何かということを聞いているのだそう。そこで答えを考えていくと、チーム・社内での連携不足に気付く。RING-A-DOCも例外ではなく、チームメンバー全員に質問したところ、全員から"最も重要な構築できるものは何だ?"と返されてしまった。
つまり、彼らは一生懸命働き、キーボードを叩いていたけれども意味のある進捗もなく、どこにも向かっていなかったということです。
冒頭に出てきた機能のリストをこなすことに注力してアウトプットは出していたけれどもアウトカム(≒成果)は出せていなかった。(辛辣…)
我々が求めているのは単なるアウトプットではなく、顧客やビジネスのためになるアウトカムです。そのためには、機能リストといった形のストラテジーを提示するのをやめ、枠組みを提示すべきとしました。
"戦略は展開可能な意思決定フレームワークであり、現在の機能によって制約され、既存のコンテキストに整合して、望ましい結果を達成するためのアクションを可能にします"
なるほど分からん。
つまりは、戦略はプラン(決められた1本の計画)ではなくて、フレームワークなので意思決定を可能にするものということのようです。わかったような分からないような。この辺りは日本語と英語のニュアンスの違いもありそう。
製品開発戦略
開発戦略には4つのレベルがあります。
VISION:10年後どこにいたいのか、顧客への価値は?
STRATEGIC INTENT:Visionを達成するための課題は何か?
PRODUCT INITIATIVE:プロダクトと結びつけてどうやって解決していくか
OPTIONS:その上でどのようなソリューションを開発するか選択しま
STRATEGIC INTENT(戦略的意図)
Visionについてはここまで見てきた通りなので、STRATEGIC INTENT(戦略的な意図)から見ていきましょう。とはいえ、STRATEGIC INTENTがそもそもよく分からなかったのでそこから調べました。
中長期的且つ具体的で明確で心を動かすものらしい。とりあえずそれを頭において進めます。
戦略的意図を策定するために定めたVISIONについて自問自答するとき、また、VISIONに乗って動き出してからも戦略的意図を正しく認識するためにはデータを集めることは不可欠です。RING-A-DOCの場合は顧客タイプ別の予約数など、これまでのセッションで出てきたようなデータですね。
製品開発チームはこの段階で営業チームと連携し、Gainsightのようなツールから情報を入手しどういったギャップがあるかを把握することができます。
そして、データから定めたRING-A-DOCのSTRAREGIC INTENTは以下の2つ。
1.プライマリーケアにおいてchurn rateを20%から1%まで下げることで市場のシェアを上げる
2.小児医療部門のARRを200万から1500万に成長させる
そしてプロダクトリーダーは現状とこれらSTRAREGIC INTENTとのギャップを見てどうやってこれらを実現できるか考えます。
プロダクトリーダーとはビジョンやゴールやガードレールを提示してチームを正しい方向へと導く役割です。
全員が正しい方向に向かえてこそ、チーム・製品は正しく進歩していきます。そのためのSTRATEGIC INTENTとプロダクトリーダーということがわかります。
PRODUCT INITIATIVES
PRODUCT INITIATIVESとはどうやってビジネスのゴールのために製品でどうやって顧客の課題を解決するかということ。ポイントはもちろん製品でというところ。
そのためにはどのような問題があるかをまずは情報収集です。Usageや営業の勝敗分析といった定量データだけでなく、実際の顧客の声・フィードバックも集めます。
これらの情報をもとに、何に注力すべきかを考えます。
RING-A-DOCでは実際に解約してしまったドクターに話を聞いたところ、これまでのフローがめちゃくちゃになって手作業が増えてしまったこと、ドタキャンが多発したことなどがあげられたそうです。この2点においてはプロダクトで解決できることとし、取り組みました。もちろん取り組むためにもデータが必要。
Missing Middle
言わばMissing Middleとこの方は言っていたけれども、Missing Middleがそもそも分からん。ググってみたところ、「金融サービスにアクセスできない中間層のこと」らしいです。
彼らはたくさんのデータやログ、ここまでで戦略的意図も策定して良い方向というものも見出してきました。しかし、それらが繋がっていない。そして一人一人が異なる解決策を取ろうとする。これがミッシングミドルだそうです。これらは多くの企業で見られる最大の課題で、これらを解決することでbuild trapから抜け出すことができます。
Option
Optionとは「それらの問題を解決するために どのような解決策を実行できるか」ということです。日本語的にはSolutionとか呼びそうなものですが、Optionとしているのは、解決策は一つではなくいくつかの選択肢があるからだそうです。(オプションと書くとオプション製品のようなものを想起してしまうので、ここでは便宜上Optionと書かせてもらいます。)
Optionsのうち、何が最良であるかを考えるために顧客の声を聞いたり様々な調査を行います。
RING-A-DOCでは最も人気なEHRシステム(電子カルテシステムのひとつ)に自社サービスを連携できることはわかりました。EHRシステムは患者の生涯の健康の記録のようなもので、統合することでフローは簡略化されて手作業も減らせるだろうとし、
また、ドクターの対面診療がキャンセルとなった時間帯にオンライン診療を入れられるように進めればキャンセルによる無駄も減るとしました。
そしてこの2つをメインの取り組みと決めてチームや予算の再編を行うことで、冒頭の膨大なリストを削減できる・ゴールを共有しそこに向かっていることを確認して進めることができる・カスタマーサクセスを続けることができるとわかりました。
RING-A-DOCの現在
首尾一貫した商品戦略を共有できている状態となっています。CEOが上図のように製品戦略は?と尋ねたところアウトプットではなく、アウトカムで自信を持って答えられるようになりました。
プライマリーケアのドクターの手作業を減らすことで会社のchurn rateを減らす。
医師のスケジュールを満席にすることで小児科医市場を成長させ、医師に価値を提供し キャンセルを減らすだけでなく RING-A-DOCの収益にもつながる。
戦略が共有できて1ヶ月で売り上げは上がり、みんなが同じ方向を向き、成果が出るようになりました。
まとめ
この話のポイントとしては、開発部門と協力して首尾一貫した状態となるためには選択と集中が大切ということです。
特に今回のCOVID-19のような危機的状況の時にはチームが同じ方向を向いていることを確認しながら進めなければなりません。
正しく集中できているか、正しく追求できているかを自問自答し続け、見失いそうになった時には一歩引いて現状を把握しましょう。
1.現在のビジネスの状況を知る、データを集める
現在のビジネスを理解し、データを収集して、どこにギャップがあるのか、顧客が製品をどのように使っているのか、セグメンテーションを使って把握することが必要です
2.ビジネスのゴールを達成するためのSTRATEGIC INTENTSを設定する
1のデータを使用して、STRATEGIC INTENTSを設定します。
3.顧客にとって最もインパクトの大きな課題を見つけ、それらを解決する
顧客と会話し、最もインパクトの大きい課題を見つけてどのように解決するかを考えます。
4.たくさんのアイデアややることが浮かんでも、制限して集中する
確実に意味のある進化をするために、短い期間で収集するチーム編成にしてみんなで同じ方向に向かって進む。
以上。プロダクト周りの話ですが、最初のセッションはかなり抽象的というかマインドの部分だったなという感じ。きちんと顧客の声やビジネスのインパクトを考慮、そして全員で方向性を合わせるということが大事。
スピーカーがコンサルの方だったこともあり、結構経済用語なんかも出てきて悪戦苦闘したセッションでした。
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