はやく、普通(の人間)になりた~い!

私は、

妖怪といえば、「ウォッチ」ではなく、
人間」に馴染みのある世代である。

「はやく(一人前の)人間になりたい」
というより、むしろ、
さっさと人間をやめて、
ハダカデバネズミ辺りになりたい
」。
と願っている。

だが、

自らが理想とする存在と、一体になりたい!と、身を切るほど求め狂う彼らの姿には、
心の底から深く共感する。

私は「普通」になりたかった。

◼️「FU・TU・U」を推す

「普通」の価値に気付かない方のために、
「普通」の超現実的な魅力を挙げる。

「FU・TU・U」の魅了①
★目立たない

その他大勢多数というポジションに収まる、
ということは「攻撃対象」になりにくく、「安全の確保」に繋がる。

目立つことで得られる貴重なものも、
確かに存在はするが、
そのために差し出すコスト
決して小さくない。

目立つメリットを得られるのは、
多大なコストを支払う能力がある強者
もしくは、
異常な自己承認欲求の持ち主のみだ。

「FU・TU・U」の魅了②
★コスパ最強

ヒトが地上に君臨できたのは、
歴史という、先人の膨大な記録記憶)が
あったからだ。

先人の多数が選択したルートを辿り、
あまたの前例を参照できれば、
人生における被弾は最小限で済み、
想定される危機にも
すばやく効果的な対応が可能だ。

先人が(効率ド返しの)試行錯誤を経て
確立した「コスパ最強ルート
=「普通」を、我々は享受している。

「FU・TU・U」の魅了③
★コミュ力不要

「普通」という多数派集団にとどまる限り、
詳細な説明は省くことが可能となる。

共感という広大な共通意識により、
コミュニケーションを簡略化できるからだ。

感性が非常に似通っているため、
同族嫌悪的な弊害もある一方、
意見の対立は少なく、
あったとしてもその調整は容易だろう。

(全集中せずとも)
阿吽の呼吸が可能となり、
その結果、コミュ力が最低でも
難なく生きていける。

「FU・TU・U」の魅了④
★オプション豊富

服で例えてみよう。

普通の体型であり、
流行に疑問を持つことがなければ
(=普通の感性であれば)、
選べる服の幅は、限りなく広がる。

普通のカテゴリー内に安住できれば、
世間が供給するもの=自らの需要
となるのだ。

「普通」から延びる選択肢は、
(世間からの)肯定的な意味合いを含む上、
バラエティに富む。


以上、
お分かりいただけるであろう。

「普通」であれば、
人生は限りなくhappyで、
easyモードになるのだ。


◼️「普通」の外側で感じる苦痛

「結婚したい」
「子供が欲しい」
「パンケーキ、美味しい」
「(流行りの)それ、超カワイイ」

私は、普通とされる
これらの「感覚」が欲しかった。

世間(多数派)の嗜好が一致する場合、
それ以外の嗜好を表明することは、
想像以上に困難を極める。

周囲に排他性や攻撃性がなくても、だ。

自分以外の全ての人間が肯定することを、
自分だけが否定し、一体感を乱す、
その居心地の悪さ

「私も~」
(((o(゚∀゚)o)))

の一言が、心から言えない、虚しさ
それを内に秘めざるを得ない、疎外感

私の嗜好が異常なわけでもない。
私の感覚が間違っているわけでもない。
ただの、感性の違いだ」。

理性を難なく説得できるこの正当性が、
感情の前では、完璧に無力化される。

この不快感は、一体何なのだろう。


◼️「普通」の内側で感じる違和感

「普通」が発する無垢な不快感
無効化する唯一の方法が、
「普通」側にまわることである。

だから、私は「普通」になりたいのだ。

「普通」になりさえすれば、
無垢な不快感に苦しまずに済む。

しかし、

無垢な不快感を感じず
清々しく生きられたとしても、
「普通」以外の感覚を押し退ける、
得たいの知れない違和感
を、
無いものとして認識できるだろうか。

私は、どうしても「普通」になりたい。

だが、

「普通」から外れる感覚が、
どこかに、誰かの中に、必ず存在することを
身をもって知っている私は、

どうしても、
「普通」になれる気が
しない。


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