若者及び自殺者ホイホイのご提案
『北風と太陽』の話はよく知られている。
(ある特殊な趣味を持たない)人のコートを脱がせたければ、本人が脱ぎたくなるよう仕向ければいい。そんな話だ(よね?)。
何事も合理的に。
無理強いは、求める結果を遠ざける。
誰からの何の異論もないであろうこの教訓は、現実社会では何故か、ことごとく無視される。
◼️悩んでる? トー横集合!
社会は、トー横(新宿東宝ビルの横)に未成年を含む若者がたむろするのを目の敵にし、東京都は集まった若者の一斉補導に乗り出した。
だが、一般的に考えて、その対策はますます若者をトー横へ惹き付ける。
「押すなよ、押すなよ、押すなよ、絶対に押すなよ!」=押せ。我々はそう解釈する(せずにはいられない)生き物なのだ。
トー横に集まる若者を本気で心配しているのであれば、むしろ、更正機関なるもの(の窓口)を、トー横に作ってはいかがだろうか。
トー横集合を阻んでも、若者の問題行動発生場所が変わるだけで、何の解決にもならない。
というか、問題を抱える者がある特定の場所に集まる、という明確な事実が存在するのだ。これ幸いと、悩める者を一網打尽にし、相談に乗るチャンスではないか。
トー横集合阻止を全面的な対策としている所を見ると、常日頃の「悩みがあるなら相談して」という社会の姿勢は、ただのデモンストレーションに過ぎないのか、と疑問にさえ思えてくる。
◼️自殺の相談たまわります!
自殺防止も同様に考える。
いっそのこと、自殺志願者を募集する機関を立ち上げてはいかがだろう。カウンセリングなど様々な支援が迅速・直に提供可能となる。無計画にオーバードーズをされるくらいなら、専門家の監督指導の下、薬の用法用量を正しく守らせ、効果的な飲み方をさせた方が良いハズだ。
問題があるとすれば、自殺志願者による機関への評価だろう。「ただ一方的に自殺を止められる(阻まれる)だけ」という印象を持たれてしまえば、自殺志願者が意図的に敬遠し、機関は自殺防止という大義を果たせなくなる。
だが、自殺志願者の大半をアクセスさせられる(その存在を確実に把握できる)、という点において、自殺志願者募集機関の存在は非常に大きなものになるのではないか、と本気で考える。
◼️若者大移動 to TOKYO
トー横とは真逆に、地方では若者流失が問題視され、人口は東京一極集中に向かっている。
地方は消滅の危機に怯え、若者を呼び込もうと必死だ。だが、若者のニーズを満たせない(東京並みの仕事の質・賃金保証はムリ)、もしくは、特定の若者を年配者がやんわり拒否気味(移住は子供を作ることが暗黙の前提なので、子供を持たない選択をする人はあまり歓迎されない)と、地方側のぶ厚い願望が塗り込まれた壁(リアルに現金過ぎる)に、前途を阻まれている。
こうなると、地方に若者を呼び込むことは現実的でない。地方は若者の要望に応えられない(応えたくない)のだから。
であれば、若者地方ホイホイはすっぱり諦めて、むしろ東京に若者を集めてはいかがだろうか(昭和における金の卵という存在と、その効果を忘れたとは言わせない)。
生産力や革新力の向上と共に、若者同士の出会いも増え、成婚率及び出産率の上昇も期待できそうだ。
地方は、東京からのトリクルダウン(その理論がファンタジーでなければだが)を狙いつつ、年配者による年配者中心の年配者のための、持続可能な社会構造を本気で考えるべきではないか。
少なくとも、乗り気でない若者を無理やり自分達の計画に入れるべきではないし、若者ありきの〈絵に描いた餅〉のようなヤワな計画を語るべきではない。
◼️まだ本気を出してないだけ!
日本政府による少子化対策の具体的な内容を知るたび、少子化〈抑止〉対策なのか少子化〈促進〉対策なのか、一瞬、本気で分からなくなる。制度設計を担う優秀な方々の思考回路を、私はすんなり理解できないのだ。
むしろ「ちがうだろ!」とツッコミ待ちの高度なボケなのか、とさえ思ってしまう。
もしかしたら、少子化対策の真の目的を、私は未だ理解できずに(誤解して)いるのかもしれない。
一方で、上の人間が考える問題解決方法が、あまりに非現実的な上にご都合主義過ぎて、エゴ丸出しの自分本意なものにも映る。
本気で結婚を望みながらも、相手の条件(高収入・韓流スター並みの外見や、母親と恋人のハイブリッド機能)にどうしても妥協できない人々を彷彿とさせるのだ。
自らが理想とする唯一の問題解決方法に拘泥するあまり、問題解決をみすみす放棄する。理性的で優秀な人間は、無意識にもそのような愚を犯すハズがない。
若年層の諸問題にしろ、地方及び国の人口比率問題にしろ、清濁併せ呑むように、理想以上に現実を直視した、実効性のある解決策をそろそろ本気でご提示願いたい。
恐れ多くも、エスタブリッシュメントの明晰な頭脳を、微力ながらも焚き付けられればと思い、表題ホイホイを提案する次第である。
行政を担う方、もしくは、彼らに関わる機会のある方に(鼻であしらわれる程度にでも)ご検討いただければ幸いだ。