【行動規範>五輪出場資格】19歳の飲酒・喫煙問題から見えるもの

飲酒・喫煙は
誰かを傷付ける行為ではないので、
それを理由とする五輪代表剥奪は
厳しすぎる処分である。


私は、この意見に異を唱える
その根拠は二つ。


結果的に「五輪出場辞退」となったが、
実質的には「資格剥奪」であるとの
私見により「五輪代表剥奪」と表記する。



根拠①
そのアスリートは
一般人でない。

飲酒・喫煙したのが、
その辺の19歳であれば、
私は(迷わず)大目に見るだろう。

もう少しで、酒もタバコも
堂々と嗜める歳になるんだから
もうちょっとだけ我慢しなさいよ、と。

何なら、
もうちょっとうまくやれ、
見付からないようにやれ、
とさえ言う。

その辺の19歳であれば、だ。


しかし、彼女は五輪代表であり、
公的資金で活動中ではなかったか。

アスリートの彼女を擁護するのであれば、
私は、エッフェル塔を背景に、
華麗な姿勢をキープした
国会議員の彼女も擁護せねばなるまい。

私は、
エッフェル塔の彼女を擁護しなかった。
(世間の皆様と同じ理由で、だ)

よって、
私は、アスリートの彼女も擁護しない。



根拠②
身内に甘い組織は
腐敗の危機に陥る。


◼️「アスリートは結果が全て」

その通りだと思う。

だが、
誰かの人権を侵害したとしても
活動場所を変えるだけで、
競技を続けるアスリートを見る度、
それを許容する業界(社会)を知る度、

結果のみが判断の指標となる
プロの世界に深い(不快な)疑問を持つ。

冒頭の意見が、
アスリートからも出る現状に
その疑問は更に深まる。

アスリート自身が、
「己の結果は正統な免罪符になる」
と(無意識に)思っているのではないか

という疑惑さえ感じるのだ。


人権を侵害したアスリートがなお、
堂々と競技を続行している
という現状を踏まえれば、

誰の人権も侵害していない
飲酒・喫煙での五輪代表剥奪は
間違いなく過剰な処分に思える。

だが、
私は前者(人権侵害もお咎め無し)を
否定する立場にいるので、
後者(飲酒・喫煙での五輪代表剥奪)が
過剰な処分だとは、微塵も感じない


◼️身内に寛大な組織は腐敗する。

日大のアメフト部は、
輝ける伝統と実績と、
自ら撒き散らし刈り取ることが
できなくなった汚点を残し、
とうとう最後の幕を下ろした。

日大アメフト部が
再生の機会をみすみす失い、
自浄作用を発動できなかったのは、
「実績を楯にした伝統」=旧来の価値観
最期の最後まで死守したから、ではないか。


旧来の価値観とは、
結果(実績)の前には、
あらゆることが
絶対的に許容される(=否定されない)

という意識である。

その意識は、
当初どんなに薄く漂うものであっても、
いずれ視界の全てを遮るほど濃くなり、
やがて盲目的な勝利至上主義となる。

そして、
妄信の一歩手前でその正統性を主張し、
勝利至上主義を掲げ続けるためには、
その土台となるもの(言動)の潔白
証明し続けることが必要となるのだ。

日大アメフト部にとっての
潔白の証明とは、
積極的かつ全面的な捜査協力を通じ、
薬物問題根絶を実現することにあり、

今回の体操代表にとっての
潔白の証明とは、
飲酒・喫煙に関する行動規範を
厳守・徹底することにある。

よって、
飲酒・喫煙を理由とする体操女子の、
五輪代表剥奪という処分は妥当である、

と私は考える。


公的資金を受けている点で、
彼女は一般人ではないこと、

勝利至上主義を掲げるスポーツ界は、
その理念の正統性を証明するため、
一般的な社会より厳粛さが求められること、

以上、二点の根拠から、
五輪代表剥奪という処分の合理性を
私は全く疑わない。



五輪代表剥奪に疑問を持ち
過剰に反応する者

今回の処分に納得できないのは、

勝利至上主義を信条とする
アスリート精神に陶酔する者、

もしくは、

19歳という年齢における
彼女の無限の可能性に期待する

と見せかけて、

彼女の才能がもたらす(はずだった)
パリ五輪の結果により、
某かのメリットを受ける(はずだった)
者であろう。


五輪体操代表のエースで、
半端ない実績があり、
メダルを狙えるポジションに
彼女がいたからこそ、
彼らは、彼女を救済する特例を求めた。

どんなものであれ、
一度でも例外(特例)を認めることは、
後々、種類も程度も不明で厄介な
混乱(デメリット)の発生に繋がる。

だからこそ、
制度を創る側の人間は、
例外(特例)を異常な程に嫌悪するのだ。

にも関わらず、
今回、彼らは例外(特例)を求めた。

おそらく、
今後の想定外の混乱(デメリット)より
遥かに大きなメリットを
彼女の中に見出だしたのではないか。

五輪で大きく成長するのは、
アスリートだけではないのだ。


19歳の彼女を擁護する声が、

勝利至上主義を正当化し、
利権拡大を求めて止まない声

に聞こえるのは、私だけなのだろうか。



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