助手席の魔法少女 #毎週ショートショートnote
休みの土曜日、いつも通りに愛車BMWでドライブをしていた。
今年で40歳を迎えるが、未だ独身貴族である。中小企業ながら部長職で、30代半ばまで実家暮らしだったから貯金はかなり出来た。
湘南にでも行こうかと高速を走らせていると、助手席に突然人が現れた。
女の子…のようだが、カラフルなフリフリのドレスに髪はド派手なピンク色。顔の半分近くある大きくキラキラした瞳。率直に言って、気持ち悪い。
「えっと…」
「アタシ、アナタを助けに来たの」
「は、はぁ。頼んでないけど」
「アタシの名前は魔法少女りりちゃん、よろしくね」
人の話を聞いてくれ。
「アナタはこのままだと寂しい人生を送ることなるわ」
大きなお世話だと思ったが、実際不安が無いわけじゃない。気がつけば真剣に話を聞いていた。
「それでね、まずアナタを助ける準備金として…」
そうして私は2000万円を振り込んだ。しかしそれ以来、りりちゃんとは連絡が取れない。
次に彼女を見たのは逮捕の報道だった。