桜回線 #毎週ショートショートnote
「日本中に満開の桜と幸せを届ける。それが我々の使命である」
年頭の挨拶で代表が息巻く。
秘密機関「桜」は日本全国の桜の開花を平安時代から代々担ってきた。
少し前までは全国を飛び回り、アナログで開花させていたが、近年はプログラムを組んでコントロールするようになった。
「部長、沖縄の桜が開花しません。富士痛の担当がプログラムを誤ったようです」
沖縄担当の澤田が焦った表情で報告をした。
桜回線と呼ばれる専用のプログラムと回線は、国と富士痛、そしてMTTが秘密裏に開発したものだ。
「なんだと、前代未聞だぞ。桜回線はどうなってるんだ」
緊急事態に部長の潮崎が声を荒げる。
「このままですと、沖縄は6月、東京は9月、北海道は11月頃に…」
「改修のめどは!?」
「担当者が海外旅行中だそうで…」
「次年度からGooqleに切り替えだ!こうなったら仕方がない」
潮崎の指示で、闇バイトを急募した。その夜、沖縄には大量の黒服が目撃されていた。
そんなわけで、今年も無事、桜は咲きそうです。