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ロックは死んだ?…ただの音楽好きのひとりごと。

ロックが本格的に死んでしまいそうだなぁと、最近特に感じている。

世界的にもロック不遇の時代だ。本場イギリスやアメリカからも、新たなビッグネームが登場しなくなった。ロックやパンクのメンタリティはとうの昔に失われているけれど、ジャンルとしてのロックも、もはや瀕死の状態だなぁと感じているのである。

「ロックは死んだ」
この言葉を初めに発したのは、 元Sexpistolsのボーカル、ジョニー・ロットン(現ジョン・ライドン)だ。自身のピストルズ脱退時に「ロックは死んだ」と発言したのだ。バンドはそれからすぐに解散。象徴的な存在だったシド・ヴィシャスが薬物中毒でまともに演奏出来なくなり、ボーカルを失ってしまったバンドに続ける意味は無かった。

ジョニー・ロットンの「ロックは死んだ」という発言をフォローしたのは、ジョン・レノンだ。
「ロックは宗教のようになってしまった。コマーシャルになり過ぎた。ピストルズが最後のロックバンドだったんだ」と発言している。
ジョン・レノンと言えば愛や反戦を歌うイメージだけど、それもまた社会へのアンチテーゼとしてのメッセージ。ジョンもやはりロックの人であり、反骨の人だった。

「ロックは死んだ」という言葉をわかりやすく噛み砕いたのがNIRVANAのカート・コバーンである。
「ロックの核心は反体制、反権力だ。成功した俺はもうロックを歌えない。だから死ぬんだ」そう発言した。
そして1994年4月、カートは自身の頭部をショットガンで撃ち抜いた。

カートが語った通り「ロックの核心は反体制、反権力」と定義付けするのであれば、イギリスもアメリカも日本も社会情勢が安定し(国毎にそれぞれ問題を抱えてはいるが)、反体制や反権力を声高に叫ぶ必要が無くなったことは、一つの要因としてあげられると思う。アメリカはHIPHOPのが好きなようだし、現代において政治による抑圧を続けている国家では、おそらくロックを鳴らすことすら許されないのではなかろうか。

それでも未だ、音楽の1ジャンルとしてのロックやパンクは生きていたし、日本では2000年前後が最盛期だったと思う。当時はメンタリティとしてのロックも余韻を残していたと思っている。

同時に転換期でもあった。日本のロックシーンを大きく更新したバンドがBUMP OF CHICKENなんじゃないかと個人的には思っている。
サウンドはロック然としていて、当時流行っていたギターロックの体を成し、メロディもやはりJ-POPのそれとは違う。それなのに人懐っこく、熱くて強いメッセージ性がある。

それまでにも、バンドブームはあったし、ミスチルやスピッツのようにロックバンドでありながらJ-POPシーンで活躍するバンドは存在した。けれど、セールスありきの時代背景から、サウンドやメロディはどうしてもポップスよりにアレンジされたし、ギターやドラムを強調するようなアレンジのバンド(ロックバンドとしては普通なんだけど)は、メジャーシーンではなかなか受け入れられづらい時期が続いた。

BUMP OF CHICKENがデビューした当時、シーンは既に転換期に差し掛かっていた。Hi-STANDARDの登場によりメジャーとインディーズの壁は破壊され、洋楽志向のバンドが次々とデビュー。同時期に活動を始めたDragon Ashが先に大ブレイクし、バンプが売れる為の道路整備が進んでいたと言える。そして、しっかり準備が整ったタイミングで放たれたのが『天体観測』だった。それ以降の活躍は言うまでもない。

同時にネットが一気に普及し始め、日本の音楽シーンも加速度的に変化して行く。
RADWIMPSのようにミクスチャーロックの中でも異端のようなバンドが、セールス的にも成功を収め、ボカロPからキャリアをスタートした米津玄師がJ-POPシーンを席巻した。それからYOASOBIやAdo、Vaundyといったジャンルレスなアーティストが次々に現れ、活躍している。
Official髭男dismやKing Gnuのようなバンドもブレイクしたが、もはやロックがどうとかそんな定義付けは不要になった。それほどロック…というより、凡ゆるジャンルを上手にポップスと融合できるミュージシャンが増えたのだろう。

今も良いバンドはたくさんいるけれど、純然たるロックバンドはセールス的にはなかなか厳しいし、数も減っている印象。それは世界的にも同じ。似たりよったりのダンスボーカルグループの乱立は退屈だし、もっと歌が聴きたいと思ってしまう。

ロックはなんだかんだ言ってポップなのだ。その時代時代でヒットしたロックやパンクには、どれだけ刺々しいサウンドでも普遍的なメロディが鳴っていて、時間が過ぎてもやはり誰かの心に刺さるのだ。

なんと言うか、若い頃「今の音楽はつまらない。昔の音楽のが良かった」なんて聞くと心の中で「クソが」と思っていたけれど、コスパタイパが最優先でその場限りの消費を好む現在においては、中年の私はもうクソなのかも知れないなぁなんて思ってしまう。

瀕死かも知れないけど、ロックが絶滅することはないだろう。どれだけニッチになっても、私がヨボヨボになったとしても、ロックを聴き続けたいと思います。

最近のお気に入り、フィンランド出身のガレージロックバンドUs(アス)。めっちゃカッコ良いよ。日本でもこういうバンドがまた出て来てほしいなぁ。

※この記事の内容は全て私の主観に基づいたものです。悪しからず。

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