プロローグ #毎週ショートショートnote『無人島生活福袋』
皮膚を焼き焦がすような陽射しと、さざめく波の音で目が覚めた。
その日僕は、友人と釣りをしに来ていた。
「ちょっと波が高いけど大丈夫だろう」
素人の僕らの、軽率なノリ。
天候も荒れ気味。
気づいた時には手遅れだった。
乗っていた船が激しく揺れ、転覆した。
そこからの記憶は、無い。
僕は運良く見知らぬ島に打ち上げられたようだ。体の方も問題無く動く。
周囲を見渡しても、森があり、鳥が飛んでいる以外に人間も動物も見当たらない。とりあえず、歩き回ってみることにした。
一周を2時間程度で回れる、海に囲まれた小さな島のようだ。猛獣などがいる気配は無いが、慎重に森の中を散策する。
歩きながらこの先のことを考え、泣きそうになった。都会育ち、代理店勤務。サバイバル経験など有るはずもない。
森を抜け出た辺りに大きな麻袋を見つけた。中にはナイフ、空き缶で作ったコップ、ロープなどが入っていた。今の僕には福袋のような物だ。
持ち主は誰なのだろうか。
そして僕は助かるのだろうか…。