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因果応報 #毎週ショートショートnote 呪いの臭み
須賀慎太郎は世界的な研究者である。
一見順風満帆にエリート街道を歩んで来た須賀だが、彼の研究に対するエネルギーは、学生時代に受けたイジメへの反骨心から来るものだった。
研究者として成功を収めても、その心の傷が癒えることは無く、未だに当時のことがフラッシュバックする。
「いつか必ず復讐する」
その想いを胸に、薬品研究の傍ら開発を進めていたソレが、遂に完成した。
『めっちゃ臭いクリーム』
そのクリームは透明で、人の肌に触れると反応する性質であり、少量で強烈な悪臭を放ち、どれだけ洗っても20日間程度は臭いが取れない。
かくして須賀の復讐が始まった。
リスクヘッジの為自分の手は汚さず、実行犯は闇バイトを使った。クリームやギャラの受け渡しは駅のコインロッカーで行う念の入れようだ。
実行犯は、標的の家のドアノブにクリームを塗るだけである。
やがて日本各地で「くっさー、何だよこれ」という悲鳴があがった。
須賀は現地に赴くでも無く、ただ研究室でほくそ笑んでいた。