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inagakijunya
顔自動販売機 #毎週ショートショートnote
カシャンッ。
自動販売機から出てきた商品の袋を開け、中を確認する。
「おっ、良いね。イメージ通り超イケメンじゃん」
俺は新しい顔を身につけて、今夜も繁華街へ繰り出す。
都内某所に「顔自動販売機」なる物が存在すると聞いたのは半年前。根気よくディープウェブで情報を漁り、目星をつけた。
半信半疑で向かった先は、郊外に位置する空きビルの地下。
携帯の灯りだけを頼りに階段を降り、自分の足音にビクビクしながらフロアの奥まで歩を進めると、その自動販売機はあった。
帰宅し、鏡の前で購入したマスクを顔に当てると、吸い付くように一体化し、俺は絶世の美男に変身した。
それ以来、今まで俺の顔を小馬鹿にして来た女どもを弄んでは捨てた。
そして今、ホテルのベッドの上で、見知らぬ女にナイフを突き付けられている。
「アンタのせいで人生ボロボロよ」
おそらく同じ顔の別人の仕業だろうが、言い訳も出来ないなと思い、素直に謝罪した。
俺は素顔を明かし、その女と暮らすことを決めた。
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