同級生 #毎週ショートショートnote『リベンジトリートメント』
「このトリートメント、私たちでもなかなか手に入らない貴重品なの」
丹念に、客の髪に揉み込む。
「えー嬉しい。スペシャルコースにして良かったぁ」
客はすっかり最高級のコースを楽しんでいる。
「せっかくのお誕生月ですし、できるだけのサービスをと思って」
本心では、ない。
「もう何年も切ってもらってるし、長く来ていると良いことあるんだなぁ」
その言葉に、私は愛想笑いを浮かべる。
この女は、自分が私の娘を自殺に追い込んだことを知らない。私がずっと、復讐の機会を伺っていたことも。
「彼氏さんとは上手くいってますか」
「うん、来月結婚するんです」
嬉しそうな笑顔に苛立つ。
娘を殺しておいて、自分は順風満帆なんて許せるはずがない。
「ふうん。幸せそうね。…でもウチの娘はアナタのせいで…」
娘が何故死を選択したのか、全て話してやった。
「そんなつもりじゃ…」
タオルを顔に被った状態で仰向けになっている女の喉元に、隠し持っていたナイフを全力で突き刺した。