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スナイパーの意外な使い方 #毎週ショートショートnote

ワシの名は東郷十三郎。齢93歳。

とうに引退した身じゃが、30年前までは国の特殊工作部隊のスナイパーじゃった。

秘密組織じゃからの、家族ですらその事実は知らないのじゃ。皆はただのお巡りさんだったと思っとる。

現役時代は国内は勿論のこと、海外からも要請を受ける形で、少なくない生命を殺めてきた。しかし後悔は無いぞ。一つ一つの弾丸に誇りを込めて仕事をしてきたからじゃ。

「おじいちゃん、ゴキブリゴキブリッ」
お、息子の嫁さんの危機じゃ。
「よし、ワシに任せておけ」
パキュンッ。
「あらお義父さん、さっすがー」
うむうむ。

「おじいちゃーん、ボールが木に引っかかっちゃったー」
おぉ、可愛い孫が悲しんでおる。
「よーし、今取ってやるからな」
パキュンッ。
「おじいちゃんありがとー」
うむうむ。

今じゃあもう、すっかりエアガンの上手な家庭内スナイパーじゃよ。でもな、変わらず一つ一つの弾に誇りを込めておるぞ。

そして、家族の笑顔が何よりの報酬なんじゃ。

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