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shinsukesugie
忍者ラブレター #毎週ショートショートnote
私の名は服部肝臓。
伊賀忍者の首領と謳われた、服部半蔵の従兄弟の息子の孫の義母の弟の友人である。要するに、ただの半蔵ファンである。
半蔵に憧れ、忍術の修行に明け暮れる日々。要するに、ただのプー太郎である。
さてそんな私だが、この度恋に落ちてしまった。
それは運命的な出会いだった。親の金をくすねて行った、吉原の遊郭で出会ったのである。美しい髪、透き通るような白い肌、そして、巨乳。私は彼女の虜になった。
彼女の心を射止めるべく、恋文を渡すことにした。
ある時は手裏剣に結んで投げ、ある時は土遁の術で、またある時は水遁の術で、突然目の前に姿を見せ恋文を渡した。木の葉隠れや分身の術も駆使し、忍術の粋を尽くした。
しかしながら彼女は逃げるばかりで、私たちの距離は広がる一方だった。
追い詰められた私は奥の手「深草兎歩」で忍び寄ることに…
「ちょっと君、一緒に来て」
「えっ、あっ違っ…」
「違くないから。話は交番で聞くから」
忍の道はかくも険しい。