不都合な真実 #毎週ショートショートnote「親切な暗殺」
2035年。
日本経済は低迷を続け、少子高齢化は加速。機械化を進めようにも肝心の高齢者が障壁となり、選挙を意識する政権与党は抜本的な改革案を打ち出せずにいた。
そんな中「親切な暗殺」なる闇商売が巷では横行し始める。
ネット上には幾つもの希望者の募集が掲載された。希望者は必要な情報を登録し、代金として200万円を振り込むだけ。その金も消費者金融等、依頼主に合った調達方法の指示があり、自身で負担しなくて良いよう配慮されていた。
殺害方法は事前に知らされないが、多くの場合は薬物の混入だ。本人の気づかぬ内に混入される為、死に至るまでの苦しみは有るが、その時間は短く確実に死ねる。
利用者の大半を高齢者が占めた。独身率は年々高まり、孤独な上、時代の流れについて行けない。自ら望み、能動的な行動を必要としないことが需要に繋がった。
警察の捜査は便宜的なものだった。
理由は簡単だ。ステルス的な告知も含め、政府が裏で主導していたのだから。
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