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TPP? EPA?というあなたもお子さんに胸を張って解説できる(かもしれない)説明を作ってみました①自由貿易とWTO

中学入試でよく出題される時事問題。この時期、勉強の総仕上げにと時事問題に取り組む受験生を悩ませるもののひとつが「アルファベット略語」ではないでしょうか。

TPPとEPAってどう違うの?え?今度はTAGって言葉もできたの?WTOって何だっけ?もう嫌だ、わけわかんないよ…そんな中学受験生に時事用語を解説しなくてはならない保護者さんのために、少しでもわかりやすい説明を考えてみたいと思います。

第二次大戦後の世界は自由貿易が基本

さて、アルファベット略語を丸暗記する前にまず知っておきたいのは、

  第二次世界大戦後の世界は
 『やっぱり自由貿易だよね!』という考え方を基本にしている

ということです。あれ?「やっぱり自由貿易」ということは、以前はそうではなかったの?と思ったあなた。鋭いですね、その通りです^ ^。

第一次世界大戦、そして第二次世界大戦のきっかけを作ってしまったのは、行き過ぎた保護主義(=保護貿易をよしとする、つまり自由貿易とは対極にある考え方)だった……このような反省があるので、戦後の世界は、自由貿易を大切にしようという考え方を基本にしているのです。

この「行き過ぎた保護主義」とはどんなものだったのか、そしてその結果がなぜ世界大戦に結びついたのかについては、後日、別な記事で書きますね。


※なお、自由貿易と保護貿易/保護主義の意味がよくわからない…という方は下にリンクしてある記事をお読みいただければ幸いです^^。

(ご参考記事)自由貿易と保護貿易の違いって?

自由貿易の番人となったWTO

自由貿易を進めるため、第二次世界大戦の終戦後、まもなく作られたのがGATT(関税及び貿易に関する一般協定)体制でした。中学受験生の皆さんも知っている「牛肉とオレンジの輸入自由化」や「ミニマム・アクセス(一定量のコメの輸入)」は、どちらもGATTで合意されたものです。

このGATTの役割と流れを引き継ぎ、1995年に国際機関として作られたのがWTO(世界貿易機関)です。

加盟国同士の「協定」だったGATTと正式な「機関」であるWTOとは、2つの点で大きく異なっています。
1つは「力(=法的拘束力)の強さ」です。WTOの加盟国は、WTOの決定事項は必ず守る義務がありますし、何か問題が起きた場合はWTOに訴え出て紛争解決を依頼することもできます。
もう1つの違いは、対象とする貿易の範囲です。GATTはモノの取り引きに関することだけを扱っていましたが、WTOではモノ以外のサービスも扱うことができるようになりました(※)。

(※) この原稿を書いている2019年1月4日、日経新聞の1面には「WTO、データ取引で国際ルール 」という記事が掲載されました。経済活動の中心がモノやサービスからデータへと移行するなかで、WTOとして初めてデータ通商分野のルール作りに乗り出すとのことです。


――ここまでを読むと「WTOが番人として守っていれば自由貿易は大丈夫」と思ってしまいそうですが、実はWTOには意外な(?)弱点があり、それがTPPやEPAにつながっていくのです。これは次回の原稿でお話しますね。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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