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2021シーズンFC東京をぼんやり振り返る(2)

あけましておめでとうございます。
次シーズンが開幕するするまではこの手の記事の賞味期限はギリのはず!

個別寸評~ミッドフィルダー編


MF 7 三田 啓貴
ユース昇格組の兄貴分。仙台、神戸と活躍もあり久保建英の穴埋めとして喝采をもって古巣に帰還。その後の活躍はご本人のツイート通り。
本人からすれば2列目の攻撃的MFは彼本人の希望するポジションではないんだろうなと思うし、確かに仙台やサンペールが来るまでの神戸では2.5~3列目、守備的MFの助けを受けること前提でパスをさばいてよし、前線に飛び出してよし、セットプレーで決定機を演出してよしの攻撃のタクトを振るう役割が彼自身が思う適正ポジションなんだろうなと思う。
ただ、FC東京では基本3列目は守備のタスク、ガツガツとボールを奪い、そのボールを前に運ぶ、運ばずともディエゴ、永井、レアンドロ、アダイウトンという強力なアタッカーに渡すことが最低限のタスクであって、少なくとも2020シーズンまでは彼の個性は2列目で違いを出すことが求められていたのは必然と言えば必然だった。
果たして2021シーズン、森重アンカーが失敗した後は中盤はとにかく相手の攻撃を食い止めることが第一ビルドアップはサイドバックからという機会が増えたのだが、攻撃に厚みを加えたいときに待望の2.5列目で起用されたが、彼が起点になってかつゲームもあるが、守備強度の甘さをつかれてしまうケースもあり正直健太さんの判断は正しかったのかなという評価をせざるを得ない。
来シーズンはやり方が変わるはずなので、インサイドハーフで起用されるといいね。

MF 8 高萩 洋次郎
FC東京には藤山の時代からチームが崩壊しかけた時には8番の選手がいつの間にかなんとかしてくれるという伝統があり、2021シーズンもその伝説は健在だった。
華麗なテクニックや非凡なパスセンスで見られがちだが、特筆するべきは守備時のポジションと統率力だったりする。
川崎にボコられて新システムもあきらめて2019シーズン型4-4-2に戻したけどマリノスにボコられて気づいたら5連敗で降格の二文字も見えてきたときに彼をトップ下にした4-2-3-1を採用しレイソルを無事に撃破し首の皮がなんとかつながり、FC東京関係者は高萩には足を向けて寝られなくなった。
攻撃の起点でなく守備の起点としてバラバラだったプレスのタクトを自身も守備に走り回りながら完遂する姿には感動なんて言葉が安く感じるレベル。
とはいえこんな重労働を毎試合こなせる人はヨーロッパのビッグクラブにしかいないので高萩が稼働できない時間をどうしのぐかが2021シーズンのFC東京だったといっても過言ではないと思う。
2022シーズンはできるだけ彼に頼らないで過ごしたいもんなのだが、そうはいかないんだろうなあ。
そういえば呪術廻戦の夏油に顔とか雰囲気が似ている気がする。

MF 10 東 慶悟
サッカーにおける2列目のポジション(トップ下、サイドハーフ)に求められる能力を押しなべて65~70点でこなせるまさにマルチロール。
彼が加入してからFC東京を率いてきた様々監督、
とにかく足元でつなぐポポビッチ、とにかく守備、カテナチオなマッシモ、和式なんちゃてポゼッション城福、とにかく頑張る篠田さん、狂信的な足元信者な安間さん、そして絵にかいたような堅守速攻、ファストブレイク健太さん、と多種多様な戦術下においてすべて重宝されるのは実にすごいと思う。サッカーIQが高いんだろうね。
勿論、器用貧乏とみられるきらいはあり、前目のポジションながら派手な仕事がそんなに得意でないのでスケープゴートにされがちな選手だが個人的には実に10番がふさわしい選手だと思う。
来シーズンはまたやり方が変わるが、東と高萩がいる限り大きく崩れることはないと思っている。

MF 14 内田 宅哉
ユース育ちのテクニシャン…といいたいところだが、どちらかというと東の後継者は彼なんじゃないかなと思わせるサッカーIQの高さを随所に感じさせる選手。
2020シーズンは左サイドハーフの2~3番手まで上り詰めたが、2021シーズンは右サイドバックが次々に大怪を負うクライシスの中、まさかの右サイドバック起用。アンカーをあきらめビルドアップをサイドバックから始めようとしていたチーム事情もあったとはいえ、勝負師の健太さんらしい采配だった。
守備の部分に大きな不安がありつつも攻撃の起点として輝きを放ち始めサポータをもしやと思わせた瞬間に大怪我。
うっちーの件しかり、カシーフの件しかりサイドバックがビルドアップの起点になる以上、そこに相手のプレッシャーが集中することは明らかだったがプレッシャーの逃げ道をチームとして用意できずに独力でなんとかプレッシャーをはがそうとして怪我してしまったケースが散見された点でも、ここまでサイドバックに怪我が集中するのは呪いというより、戦術的欠陥の被害者なのではと最近思うようになってきた。
シーズン終盤に復帰したと思ったらまさかまたサイドバックに起用されており、暫定監督とはいえ森下さんの意図なのか、それとも別のところからオーダーがあったのかと邪推するくらいの衝撃だった。
攻撃時は良いけど守備については穴だらけで正直やめてほしいのだが。

MF 15 アダイウトン 
ミッドフィルダー登録だったのかよ。
敵陣はもちろん、自陣だろうがボールを持って前を向いた瞬間、障害物をなぎ倒しになぎ倒してボールを前に運んでくれて結構高い確率でシュートまで持ち込んでくれるロングカウンターのチームには最高の人材。
しかも守備のタスクも苦手ながらちゃんとこなそうとしてくれる真面目さも併せ持つ実にFC東京のブラジル人という選手。
猪突猛進なドリブルは迫力満点かつ効果てきめんではあるが、J1上位クラスのDFにはわりと止められてしまうあたりはご愛敬。
こういうタイプの選手は個人的に超好みで正直ユニフォーム買いました。
シーズン終盤はワントップを任されることもあり大丈夫かいなと見ていたら意外とちゃんとタスクをこなしていたので、来シーズンの使い方が楽しみな選手である。

MF 18 品田 愛斗
ユース上がりのレジスタ。本当にレジスタ。
高萩の後を継ぐのは彼しかいないと思っているFC東京サポーターは数知れず。2020シーズンでポジションを掴みかけたがその時に怪我を騙し騙しやっていたらしく2021シーズンはかなり出遅れてしまった。
中盤の底がとにかく足りていない現状、彼にかかる期待は大きいのだがポジション奪取には至らず、0-8時の懲罰交代が彼のハイライトになってしまった(あの試合は彼の責任ではないことは間違いないのだけど)。
もう若手とは言えない年齢であるし、そろそろスタメン奪取を期待したい。

MF 20 レアンドロ
良くも悪くもブラジルのクラッキ、「10番」な選手。
89分何もしなくても1分で試合を決められる選手なんだけど決められないともう最悪。
彼に救われた試合と彼のせいで落とした試合は6:4でギリプラスになったくらいだが、彼のせいで落とした試合が2021シーズン最大の山場10月のグランパス3連戦だったことがとにかく最悪だった。
毎年不要不急なラフプレーで出場停止を食らうのはさすがに笑えない。
2022シーズン、本当にポジショナルプレーを導入するなら彼みたいな天才肌には基本ポジションはなく、多分移籍するんだろなーと思っていたら本当に自身がSNSで中国行きをほのめかす等相変わらずのかまってちゃんぶりを発揮していたのだが、翌日まさかの残留決定。
彼が生き残るにはありあまるエゴを殺して原理原則に従うか、メッシになるしかないのだが、果たしてどうなることやら。

MF 21 青木 拓矢 
大宮時代からの超お気に入りでした。
新人のころはボールを奪って運んで展開してなんなら点までとってくるくらいスケールの大きな選手だったのだが、浦和に移籍しミシャのもと魔改造を受け、悪い意味で優秀な守備的MFになってしまった。
もちろんその守備力は折り紙付きで序盤こそ不安定だったがチームに慣れた6月くらいから彼が中盤の底に君臨することで多くのピンチの目をつんでいた。
とはいえ奪ったボールの展開力は結構残念で点を取りに行く展開になると真っ先に交代させられていたのが印象的だった。
クローザーのままで終わってほしくない選手なんだけどなあ。

MF 23 渡邊 凌磨
山形から来た、サイドハーフのお手本のような選手。
上下運動から中への絞りまで見ていて気持ちよかったし、サイドバックの使い方もとても勉強になった。
特に青木、拓海と組んだ右サイドからのビルドアップは美しかった(だからなんで拓海放出してんだよ馬鹿じゃねえの)。
そんな彼を左サイドはともかくサイドバックまでやらせたことに2021シーズンのカオスがみてとれるというものだが、来年こそ石川直宏以来の右サイドの覇者として君臨してほしいものである。

MF 30 寺山 翼
ユースからの昇格は叶わなかったが大学経由で再来季入団決定。
2021天皇杯でFC東京が順天堂大に敗退した要因は間違いなく彼。アルさんがめちゃくちゃやられてたのでまずは強化指定からよろしくお願いします。

MF 31 安部 柊斗
何気ない合コンが彼のキャリアを狂わせた。
守備範囲の広さ、ボール奪取能力、オーバーラップの勘の良さはルーキーイヤーから抜けていたが、21シーズンからはフィニッシュに絡む動きも増えてきて、能動的にボールを奪い、運べる選手としては遠藤航に張り合えるレベルまで来つつある。
この手のタイプはどんな戦術にも適応力が高いので森保さんも五輪に呼びたかったはずだが、緊急事態宣言中の合コ…会食がすっぱ抜かれて謹慎。チームも痛かったが彼自身の成長はあのしくじりで1年は遅れたと思う。
非常に残念。
ただ、謹慎明けからは彼がいないと中盤が回らないレベルのプレーを披露してくれており、来シーズンにはますます期待がかかる。
もうあんなことするんじゃないよ。

MF 36 西堂 久俊 
すいません。見てないです。

MF 38 紺野 和也 
今野移籍後に現れた新たなるコンちゃん。
サイドからドリブルで切り込む様はビジネスパートナー選びは大切だと僕らに学ばせてくれた中島翔哉を彷彿とさせ、さりとてエゴをいい意味で感じない選手。ポスト久保建英として健太さんもかなり期待していたっぽいのだが、この手のドリブラーにありがちな大怪我を負い無念の長期離脱。
とはいえ、復帰してほぼ一発目に決勝ゴールをたたきこむあたりは持っている選手なんだと思う。
彼のようなスプリント系の選手はどうしても怪我との戦いになるので本人も周囲も安全第一で頑張ってほしい。
いきつけの居酒屋のバイトのあんちゃんが法政の運動部ということでしってるサッカー選手を聴いたら鹿島の上田綺世はでてきたけど紺ちゃんは出てこなかった。がんばろう。

MF 43 梶浦 勇輝 
来シーズンユースから昇格決定。U-23がなくなってからユースの子を観る機会がすっかり減ってしまった。U-23復活希望。超希望。

MF 45 安田 虎士朗
来シーズンユースから昇格決定。天皇杯で途中投入されているのは見ました。来年はよろしく。

個別寸評~フォワード編

FW 9 ディエゴ オリヴェイラ 
神様仏様ディエゴ様。
トーキョーファンにとってディエゴと言えばマラドーナでなくオリベイラ。アマラオ、ルーカスに次いで似顔絵弾幕が出たことが彼の全てを物語っている。強い、速い、上手い、PKの癖が強いの四拍子難しいゴールも決めるけど簡単なゴールもきっちり決めるスーペル・ディエゴ。
末長く東京にいてください。

FW 11 永井 謙佑
日本を代表するスピードスター。
サッカーゲーム初心者がマスターリーグで獲得しておけば基本安心というくらいの爆発的なスピードを誇る。
2トップではもちろん、1トップでも迫力満点のプレスは相手DFからすれば嫌だろうな。だって届かないと思った距離に平気で詰めてくるんだもん、あれは嫌だよな絶対。
何気に足元も上手くなっており、軽い対応をすると簡単に切り返されて振り切られているDFはチラホラいた。来年はどこで使われるんだろう。なんかサイドで起用されてよかった印象無いんだよなー

FW 27 田川 亨介 
彼も失意のシーズンを送ったかもしれない。
てか東京五輪世代皆失意のシーズンだな
2020シーズンは原大智、内田に2番手すら奪われかけていたが2021シーズン序盤はいきなり3ゴールと並々ならぬ決意を感じさせ、ついに化けるかと思っていたらチームの調子と比例するようにコンディションを落とし当落線上でなんとか踏ん張っていた五輪メンバーも最後の最後で落選。(あの横浜FC戦の決定機を決めていれば。。。)
その後も頑張っていたが結果だけ見ればいつもの田川。彼の今後を考えれば環境を変えてチャレンジした方が良いと思っていただらポルトガル移籍の噂が浮上。一かバチかなのは否めないがこれくらいのギャンブルしないと一発逆転はないだろうし、個人的には送り出してあげたい。

FW 42 野澤 零温 
橋本拳人につぐ板橋の星。
贔屓目にも程があるが本当にポジショナルなら意外といけるんじゃないか。期待しかしていない。
と思ったら22シーズンは相模原にレンタル。下手に燻るよりはスタメン争いができるチームで出場機会を得る戦いに身を投じるのもよいと思うので頑張ってきてほしい。
期待しかしてない。

寸評~結局2021シーズンとはそして新体制とは

東京ガス時代からの伝統である堅守速攻スタイルで過去最高順位をたたき出してタイトルも獲得した健太さんとのお別れと、まさかの東京ガスとのお別れが同時に来るとは思ってもみなかった。
2022シーズンから、FC東京は「事業」としての結果を求められるようになる。
プロによる経営とかどこかで聞いてきたことをしたり顔で語る人はチラホラいるが、それがどれほどシビアなことかわかっている人は本当にごく少数だなとTwitter見てしみじみしてました。

もうFC東京のほとんどはmixiの株主のものになった。
僕は妙な特権意識をもつ(そしてその特権は実在しない)一部のサポーターと称する人たちがとても苦手で、意識的に自分のことをファン=お客と呼んでいるのだけど、そういった特権意識を持つ層はこれから排除される可能性だってある。

新日本プロレスはそうやって復活したのだから。

時代の流れというのは簡単であるけれど、これまで企業のCSR、広報的な役割だったプロスポーツがベイスターズの成功あたりから明確に「事業」として見られるようになってきている流れはお金が集まりやすくなる分優秀な人が流れてくることもあるだろうけど、その分いっちょ噛みしたい怪しい人たちも入ってくるわけで。
この玉石混合、魑魅魍魎(もう一部入ってるけどね)の世界に僕の愛するクラブが大手を振って入っていく様に個人的に複雑な心境でいます。

もちろん、新経営陣が結果出しまくって優勝しちゃって増収増益でイニエスタ級買ってきて~なんて未来もあるとは思う。
ただ、世の中にはそうでないクラブのほうが圧倒的であり、世の中にはサッカーよりお金儲けが好きな人の方が圧倒的に多いということもまた、事実なのだ。

さあ、新体制発表会でどんな言葉が飛び出しますやら。
楽しみに今回は筆をおきます。

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