No.8 Salyu×Salyu『続きを』
ミスチルが今、面白いことになっていて。昨年、長年所属していた烏龍舎から事務所を独立(分派?)して。それが結局、プロデューサーの小林武史と袂を分かったためと言われているんですが、実際、独立後のシングルは表題曲に小林武史が関わっていませんで。その後に"情熱的な"ドキュメンタリー映画が公開されたり、桜井さんはトライセラとバンドやったり、これまでになくミスチルが下界に降りてこようとしている感じがありまして。まさに長澤まさみがモテキで人間宣言したあの感じなんですよね。ミスチルがバンドに戻ろうとしている!と。
ミスチルウォッチャーとしては、bank band以降に加速した地球!大地!ロハス!みたいな趣向から、やっと音楽に帰ってきた!とワクワクしているわけで。1万円のバージョンにしか全曲入ってないっていうアルバムの形態も、今の音楽業界で、ミスチルをバンドとして成立させようとする中での試作な気がするし(これが当たれば、みんなやるよね)。壮大な新曲だしてタイアップでドカーン!みたいな、これまでのパターンから抜け出そうとしている姿を見せてくれているから、ミスチルウォッチング、今年は久々に楽しいです。
一方、ハブられた小林武史さんはというと、Salyuの新作をがっつりプロデュースしていまして。ミスチルよりもちょい早く、次の方向性を示してきたわけですが、これが驚くほどに良作で。Salyu本人にインタビューした感じでは、お膳立ては小林武史で100%取り仕切ったみたいで、Salyuは歌うことだけに徹したとのこと。ということは、実質、今、小林武史がやりたいことイコール、Salyuの新作『Andoroid & Human Being』っちゅうわけです。んで、中身はというと...空!地球!退廃した街!そもそもタイトルからしてどうかしてる!...んだけど、超良質メロディが炸裂していて。今回ばかりは小林武史のオーバープロデュースが良き方向にいったのかなぁと。
おそらくミスチルの新作も面白い作品だと思うので、2作とも出たら聞き比べしてみてください。なぜ、袂を別つこととなったのか、明白にわかるんじゃないかなー。そして、この両者の道筋は、今後、超メジャー級ミュージシャン全体の方向性に関わってくるかのも。ミュージシャン、バンドとして音楽が好きな自分たちの本質でありフィジカルな部分に立ち返ろうとするミスチルと、アーティスト、職人として理想の音楽世界の構築を目指す小林武史。2015年以降のミュージシャンの姿勢として、どちらが受け入れられていくのか、そういう意味でも今後が楽しみっす。
とはいえ、Salyu作で一番ハマってるのは小林武史が絡んでいない、Salyu × Salyuなんだよなぁ〜(笑)