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私の人生を変えた「ファイト」塾

私は小学校5年生まで勉強がとても苦手でした。このままではまずい…と子供心にも焦っていたある日、友人が通っている(秘密の)塾のことを教えてくれました。

友人は「秘密の場所だからこっそり行かなきゃだめ」と、小5らしい感性で、スリルたっぷりなストーリーとともに、誰にも見つからないようにと回り道までして案内してくれました。
私もちょっと怖いようなワクワクするような気持ちで友人についていきました。

その塾の名前は「ファイト」。
女性の先生がひとりでご自宅の一室でやっている寺子屋のような学習塾でした。

ちょっと広めの部屋に長い机がドンっと置いてあって、小学校低学年の部と高学年の部という2つのグループで時間を分けてやっていました。私が入ったのは高学年の部で生徒8名くらいだったでしょうか。

子どもたちが所狭しと長い机を囲み、正座して勉強します。それぞれが与えられた問題に取り組み、そのひとりひとりのところに先生が周っていって分からないところを教えてくれるというシステムでした。

私の家はその当時、自営業をしており共働きでとても忙しく、勉強しなさい!とか言われたこともなくて遊び惚けていたこともあり勉強がとてもとても苦手で、それが密かに劣等感となっていました。

私の出来の悪さはその塾に来ている他の子どもたちと比べても破格なレベルで、私はよくひとりで居残り勉強させられていました。

他の子どもたちが帰った後、先生とふたりきり、仲間たちが帰ってしまい部屋はとても寂しく、でも先生の熱心な指導が楽しくもあり、なんとも複雑な思いで残っていたのを覚えています。

先生は私のとてつもない理解力のなさを見ても決してばかにしたりせず、「難しいよね~、でもこういう時はコツがあってね…」という流れで、問題を解く時の基本的な考え方などをゆっくりと教えてくれました。例えば、算数だったら公式を覚えるだけでなく、問題文の内容を図にしながらひとつひとつ解明していく方法を教えてくれたりとか。

この塾に通い始めてからは勉強に対して気持ちが前向きになり、6年生では見違えるように成績が上がっていました。そして劣等感もいつの間にか消えていました。

その塾の先生との出会いは私の人生を大きく変えるきっかけになりました。

人生で、いつどんな人と出会うかはとっても重要です。

自分のプロフィールにも書いていますが、自分のキャッチコピー(?)として「一隅を照らす」という言葉をあちこちに書いています。そんな人になれたらいいなと、目指す、というより憧れる生き方です。

あの塾とあの先生のことは大人になってからはあまり思い出すこともなくなっていましたが、あれが私にとっての「一隅を照らす」のモデルだったのだと、最近ふと気づきました。


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