スナックを開業するには?準備、届出、開業資金などを解説
スナック水中には、スナック経営をしてみたい方からの問い合わせを多くいただきます。スナック水中で働くメンバーもいつか自分のお店を持ってみたいと思ってる人も。
そこで今回はスナックの開業について、実際にスナック水中を開業したときのエピソードを交えながらお伝えします。
開業前にするべきこと
開業前にすることは、コンセプト設計など大きく4つあります。それぞれ見ていきましょう。
コンセプト設計
まずは、誰が聞いてもわかるようなお店を一言で表す基本コンセプトを設計します。
例えば、スターバックスのコンセプトは「サードプレイス(Third place)」。コーヒーではなく「第3の場所」を提供しているのが特徴です。
次に、
ターゲット
立地
お店の雰囲気
メニュー
サービス
システム(セット料金or単品料金)
価格
など、どんなスナックにしたいのか詳細を検討します。
ある程度アイディアがまとまっていれば1週間ほどで完成しますが、一度作ったコンセプトシートをブラッシュアップしていくこともあるので、スナック水中の時は2〜3ヶ月かかりました。
コンセプトはお店を作るうえで一番重要な部分ですので、時間をかけてしっかり検討しましょう。
開業にかかる費用の整理
何にいくらかかるのか、事前に把握します。
開業にかかる費用の詳細については、次の章で説明します。
物件の選定
カウンターだけか、ボックス席もあった方がいいか、スタッフはどのくらい配置したいか、駅からの距離など、事前に設計したコンセプトと照らし合わせながら、飲食店特化型の不動産情報サイトで物件を探します。
コストを下げるためには居抜きを探すのも手です。スナック水中は居抜きで物件を取得しリフォームをしました。
居抜きの場合は、お客さまに満足していただける店内の作りになっているか、接客はしやすいか、メニューの提供はしやすいか、お店の導線は不自然ではないかなど、実際のオペレーションを想像しながら選べるのもメリットです。
過去に働いていた場所や住んでいた場所、よく飲んでいるエリアなど、ある程度土地勘がある場所で検討することをおすすめします。
資金調達
運転費用と初期費用を準備するために、自己資金はいくらか、足りない分はどこから調達するかを検討します。スナックであれば500〜800万円ほどが目安です。
調達方法は、
銀行融資
政策金融公庫融資
知人や親からの借入
クラウドファンディング
などがあります。スナック水中では上記すべての方法で資金調達をしました。
政策金融公庫は利率も低く、創業者が借入しやすいこともあり、初めての開業の際はよく選ばれます。
今後スナック事業を継続していく上で銀行との付き合いは重要になりますので、銀行からの借入も検討することをおすすめします。経営はいつも順調とは限りません。しっかり返済する実績を作っていけると、信頼を積み上げることができます。
銀行や政策金融公庫では融資を希望する方向けの窓口があり、必要書類を教えてもらえます。
借入申込書や創業計画書、収支計画書などを用意する必要がありますが、スナック水中では資料の準備に1ヶ月ほどかかりました。
収支計画書はあくまでも予想で立てるしかないのですが、何を根拠として計算したのか明示できればできるほど信頼度が上がります。スナック水中の場合は、事業継承だったため前オーナーの実績を参考値として算出しました。
必要書類提出後は、約1ヶ月ほどで着金します。(思ったより早かったです)
多数の人から少額で資金を調達するクラウドファンディングについても少し触れます。
誰でも気軽に資金が調達でき、未来のお客さまを獲得できるメリットがあります。
クラファン成功の秘訣は、気持ちのこもった記事の作成や価値あるリターンの準備、さまざまな人への声かけやこまめなSNS投稿など、しっかりと時間をかけて行うことです。
スナック水中のクラファンサイトがまだ残っていますので、下記を参考にしてみてください。
▼これからの街の社交場「スナック 水中」を作りたい!
https://motion-gallery.net/projects/suichu
開業前にかかるお金
どんなスナックを開業したいか、居抜きなのかスケルトンなのかなど、かかる費用については人それぞれですが、ここではできるだけコストをかけない方法をお伝えします。
物件取得費用
家賃の7〜8ヶ月分を準備します。
敷金(0〜2ヶ月分)、礼金(0〜2ヶ月分)、保証金(家賃の3〜12ヶ月分)、仲介手数料(1ヶ月分)。
保証金は貸主が賃料の滞納リスクに備える費用です。遅延なくきちんと返していけば退去時に返還されます。
ただし、保証金の一部が償却されるケースがほとんどです。例えば保証金100万円・償却年5%であれば、毎年5万円が保証金から差し引かれ返却されます。
内装・外装工事費
はじめての開業は、コストを抑えられる居抜きがおすすめです。
居抜きでも多少のリフォームは必要になります。100〜200万円前後はかかるとみておくといいでしょう。
居抜きでも工事を検討した方がいい箇所は下記です。
看板
壁紙張り替え(もしくは塗装)
床の張り替え
厨房の排水トラップ
トイレの取り替え
照明設備の取り替え
スケルトンで内装工事をする場合は、坪単価50〜100万円程度かかりますので、10坪程度で小さな店舗であっても500〜1,000万円ほど見ておく必要があります。
什器費
レジ、ソファ、椅子、グラス、箸、コースターなどを揃えます。
スナック水中の場合では130万円ほどかかりました。
広告宣伝費
スナックの場合は、あまり広告宣伝費を使うことがないかもしれませんが、近隣のポスティングやオープニングパーティ、SNS運用を外注する場合には多少のコストがかかります。
運転資金
運転資金とは、家賃や人件費、光熱費、仕入れ費用、トイレットペーパーのような消耗品費用など、その名の通り事業を運転するための資金です。
カウンター10席とボックス席があるような中規模のスナックであれば、100〜150万円ほどを3ヶ月分用意します。
店舗決定後にすること
コンセプトを決め、資金を準備をしたあとは店舗を決定します。店舗を決定したあとは、届出や工事、準備などやらなければいけないことが山積みですが、オープンまですぐそこです!
届出や許可申請
・飲食店営業許可証
スナックを開業するには、飲食店営業許可証が必要です。開業するお店を管轄する保健所に申請し、検査を受けて合格すれば営業許可証を取得できま
す。
飲食店営業許可証を得るためには、食品衛生責任者の設置が必要です。食品衛生責任者の取得は非常に簡単で、1日の講習を受講すれば取得できます。
・深夜酒類提供飲食店営業開始届
深夜0時〜AM6時にお酒を提供する場合に必要です。最寄りの警察署へ届出をします。0時前にクローズする場合は必要ありません。
・風俗営業許可申請の届出(風営法)
スナックでカウンター越しの接客なら風営法の取得は必要ありませんが、お客さまの横に女の子を座らせる場合は、届出が必要になります。風俗営業許可の申請は警察署の生活安全課で行います。
また、風営法を取得すると店舗を0時までにクローズする必要があります。
・個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)
個人事業主として開業する場合は、開業日から1ヶ月以内に書類を管轄の税務署へ提出します。
税金のメリットがある青色申告で確定申告をしたい場合には、 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)と青色申告承認申請書の提出が条件となります。
青色申告を行う場合は、申告を適用したい年の3月15日までに管轄の税務署に提出する必要があります。
・法人設立届出書など
法人として設立した場合には、登記簿謄本定款の写し、設立時の貸借対照表、株主名簿の写しなどの必要書類を会社設立から2か月以内に管轄の税務署に提出します。
そのほかにも法人設立時には、青色申告の承認申請書、棚卸資産の評価方法の届出書、減価償却資産の償却方法の届出書、有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書などさまざまな書類が必要です。税理士や司法書士に相談しましょう。
・防火対象物の工事等計画の届出
テナントを借り工事を行ってスナックを開業する場合や、修繕やレイアウトの変更を行なった場合などは、工事を始める7日前までに書類と図面を持参し、管轄の消防署へ届出が必要です。
内装工事会社が提出してくれる場合もありますので、確認してみましょう。
・防火対象物使用開始の届出
建物の使用を開始する7日前までに消防署に届出する必要があります。書類と必要な図面を添付して管轄する消防署に届出します。これは改装工事をしない場合でも必要です。
・消防用設備設置の届出
消火器の設置後は「設置届」を4日以内消防署に提出します。届出後、原則として消防署の検査を受ける必要があります。
内装工事
近くの工務店や設計士に工事の相談をします。工事業者が知り合いにいない場合には、インターネットで検索するか商工会議所に紹介してもらうことができます。
内装は大きくわけて大工さんが担う化粧工事の部分と、設備屋さんが担うトイレや空調などの工事があります。安くない出費になりますので、必ず相見積もりを取るようにしましょう。
工事をしている間も家賃が発生しますので、できるだけ素早く工事を進めることがポイントです。
トイレや空調などの設備を変更するくらいであれば1週間ほど、大規模にレイアウト変更をする場合には1ヶ月ほどを見ておきます。
この時期になると、工事をしている間に届出を済ませたり、仕入れ先を決めたりなど、並行してさまざまなことを進めていくスキルが必要になります。
スナック水中の場合は、店舗のコンセプト作りから一緒にジョインしていただいた設計士さんに化粧工事をお願いしました。飲食店は導線も重要ですので、飲食店を専門にしている業者に頼むことをおすすめします。
システム・メニュー検討
スナックは飲み放題にするか、個別単価にするか、そもそものシステムを検討する必要があります。
資金調達の際に銀行に提出した収支計画に沿って、売上目標、客単価、集客人数などを逆算していくとどういうシステムにするかが、おのずと決まってきます。
システムが決まったら、どんなお酒を用意するか検討します。山崎やシャンパンなど少しいいものを用意して単価を上げる方向もありますし、手の届きやすいお酒を提供する路線もあります。
お客さまにどのようなサービスを提供したいのか、コンセプト設計に立ち返りながら選定していきます。とはいえ相場感もありますので、近隣店舗をリサーチすることも重要です。
仕入れ先選定
数社使い分けていくことになると思いますが、広域で品揃えもよく値段も安い規模が大きめの卸さんと、地域密着型の酒屋さん、おしぼり業者さんは押さえておきましょう。仕入れ先についても商工会議所で紹介してもらうことができます。
スナックの場合は、いつものメニューは酒屋さんにお願いして、酒屋さんにはないものを大手の卸さんに頼むパターンが多いように思います。
地域密着型の酒屋さんは当日の発注や変更など、割と柔軟にやっていただけることが多く、スナック運営にとって助かる存在です。
設備や備品の準備
レジ、椅子、グラス、コースター、箸、皿、事務用品などを準備します。
採用
スナックの採用でよく使われるのは、バイトルやタウンワークなどのアルバイト募集プラットフォームです。また知人に声をかけることも有効です。
採用人数については、1日で何人必要なのかを割り出します。スナック水中の場合は、基本は女性2名、男性1名の合計3名で運営しています。時期によって少し変わりますが、大学生と社会人が半々ほどで曜日固定で出勤してもらっています。
カウンターだけしかない店舗の場合は、基本はママだけで忙しい金曜だけは2名体制ということもあると思います。
自分のお店規模や集客数に合わせて人員調整をしましょう。
広告宣伝
スナックの場合は地域密着型なので、まずは商工会議所や地元の組合、近隣店舗などに顔を出して、どんどん繋がりを作っていきます。
スナック水中の場合ももちろん上記のような活動からはじまり、地元メディアに取材をしていただいたり、友人知人を招待したり、クラウドファンディングをしたり、SNS運用をしたりと、全方位型にPR活動をしています。
利益率24%を維持する水中のスナック運営
一般的なスナックの利益率は15〜20%と言われています。
スナックの特徴としては、キャバクラやガールズバーのように大きく売上が伸びることは少ないのですが、安定的に収益が見込めることです。
通常の飲食店ですと利益率が10〜15%ということも多いので、飲食店に比べると利益率が高いのもメリットです。
利益率が高い理由としては、売上のほとんどがドリンクなので原価率を下げられることにあります。人件費もキャバクラやガールズバーのようにかからないため低く抑えることができます。
スナック水中が利益率24%を維持できている秘訣は、集客力の高さにあります。お客さまに価値あるサービスを提供するための工夫とPRを続けている結果かなと思います。
詳細については下記に書いていますので、ぜひ読んでみてください。
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