【Vol.5】こころの余裕
出勤時のルーティンがある。
いつも決まった電車に乗るので車内や道ですれ違う人が顔見知り(?)になったりする。
いつも立ったまま居眠りをしている女子高生。
進学校の制服なので遅くまで勉強しているのかなと気になっている。
わたしは彼女を勝手に「ねむねむちゃん」とあだ名をつけ、親心的にひそかに応援しているのだ。
また、職場の最寄駅から職場に着くまでも決まってすれ違う人がいる。
同じ時間に会うおじさんだ。
腰が曲がっておりかなりの年配ではあるが、仕事に通っているように見受けられる。
数十メートル歩いては電柱にもたれかかって休憩。
少し歩いてはアパートの階段に腰かけて休憩、とおじさんの休憩スポットで
「少し遅れたな」とか「定刻通りだ」とチェックポイント通過タイムがわかるのだ。
住宅街を歩く愉しみもある。
春は沈丁花、いまごろはジャスミンやバラ、秋になるとキンモクセイの香りが、どこからともなく漂ってきては季節を感じさせてくれる。
いまはマスク越しではあるが、おもいっきりクンクン嗅いで季節を身体いっぱいに満たしている。
そして川のチェックも重要なルーティンだ。
大きい鯉が生息しており「主」に出会えたらラッキーデー。
水面に鳥がいたら、これもラッキーデー。
ラッキーアイテム探しにキョロキョロといそがしい。
いまはカモの赤ちゃんが生まれたか気になる季節。
今年はベビーブームなのか例年より多くのファミリーを見かけた。
朝からとろけてしまうカワイさである。
〆は職場の池。
メダカやいろいろな生物の元気な姿を見るのが癒しなのである。
春は特にオタマジャクシの成長が愉しみとなる。
こんな小さなことではあるが、毎朝「なんか幸せだな」って思えるひとときがある。
本当にありがたいことだなと思う。
周りの景色はきっと変わってはいない。わたしが変わったのだ。
・・・若いころは仕事の忙しさに追われ、いつも疲れていて周りを見る余裕なんてなかった。
仕事に慣れたのか、世擦れしたのか、少しだけこころに余裕ができたのだろう。
そのこころの余白に、新しい知識や穏やかな感情、トラブル発生時の冷静さがスルッと入ってくる。
愉しむこと、慈しむこころ、愛でること、辛いこと、悲しいこと、孤独感・・・すべて自分次第。
それで人生がHAPPYにも辛くもなるのだ。