小林 翔

学部時代は「ポイ捨て」と「電柱と電線」の研究をしてました。今は「喫煙所」と「インフラ」|社会学、都市・インフラ論|明治大学 情コミ 南後ゼミ(-‘22) k.cakeru@gmail.com

小林 翔

学部時代は「ポイ捨て」と「電柱と電線」の研究をしてました。今は「喫煙所」と「インフラ」|社会学、都市・インフラ論|明治大学 情コミ 南後ゼミ(-‘22) k.cakeru@gmail.com

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  • 【卒論記事一覧】電柱と電線について研究して考えたこと。

    卒業論文で「電柱と電線」に社会学的な研究をおこなったので、まとめです。

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【#0_卒論連載】電柱と電線について考えて。

 2021年度の卒業論文として社会学的な「電柱と電線」についての研究を行いました。このnoteはその研究成果をまとめたものです。  文系学部生の卒業論文の多くはゼミや大学の中に留まり、外に発信されることはほとんどありません。なので、こういったカタチで外部配信をしようと思い、投稿を決めました。 このnoteはその【#0】のはじめに的なものにあたります。内容を見たい方は以下マガジンから【#1-7】をご覧ください。 ざっくりこのnoteについてこのnoteは、卒論note連載

    • 【#7_卒論連載】インフラのネットワークへ

      要約 ここまでの節の事例を横断してみて取られる電柱と電線のあり方を整理する。「とりあえずの積み重ね」はここまで見てきたように単なる仮設として積み重ねてきたのではなく、都市の諸要素と関わりを持ちながら必然的に積み重なってきたように感じる。 7-1 余白空間の商品化と電柱と電線の商品化 まずは、電柱広告や共架サービスによる電柱の商品化も整理する。  電柱には電線を支持するという大義があった。上部空間に電線あるという構造上、人からある程度の距離が必要であり、身体のスケールを少

      • 【#番外編_卒論連載】なぜ電柱と電線に萌えてしまうのか

        番外-1 あなたは電柱と電線に萌えますか? 「電柱と電線に萌える」  電柱と電線に普段から注目していない人からすれば、意味不明な言説ですね。  今、手元にTwitterにアクセスできる端末を持っている方がいれば、ぜひ「#いい電線」で検索をしてください。  どんな感想を得たでしょうか。  「いやよく分からん」なのか「なんとなくわかる」なのか「電線に萌えた」なのか、、人それぞれの感想を持ったと思います。  ただ、今まで生活の中で気にすることのなかった、【#4】の近森の

        • 【#6_卒論連載】街を案内し照らす電柱と電線

          要旨「広告」を掲載する場所としての事例。 「街灯」を設置する場所としての事例。 6-1-1 電柱広告  次に電柱広告と電柱のネットワークをまとめる。  まずは、電柱広告の歴史を簡単に攫っておく。日本最初の電力供給事業会社である「東京電燈株式会社(現在の東京電力株式会社)」は1890年、社外から電柱を広告媒体にしたいとの申し出を受け、電柱広告の事業を開始する。明治中期は軽工業の発展や鉄道の発展、新たな商品の発売など消費者の生活が大きく変化していた時期である。電柱の出現と

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        【#0_卒論連載】電柱と電線について考えて。

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        • 【卒論記事一覧】電柱と電線について研究して考えたこと。
          9本

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          【#5_卒論連載】電柱は排泄物の受け皿

          要旨ここでは実際の「電柱と電線」と人間、その他のモノとの関係性を見てきます。 犬や人間が電柱に「トイレ」をする事例。 電柱の麓が「ゴミ置き場」として利用される事例 語句紹介 本文に入る前にこのnoteで出てくる語句について簡単に紹介。詳しく知りたい方は【#4】を。 エージェンシー マテリアリティ 5-1-1 事例紹介5-1-1 トイレ  犬が散歩中に電柱にトイレをすることは、おなじみの光景であろうか。(もちろん犬だけではなく人間も犬の位置に入ることもある。)

          【#5_卒論連載】電柱は排泄物の受け皿

          【#4_卒論連載】新しい物質主義について

          要旨 「とりあえずの積み重ね」としての電柱と電線を分析する理論的な枠組みとして、物的なモノを分析する視座である新しい物質主義の流れを整理する。人間とモノという主客の関係から脱し、複数の一時的関係の中において同一のものであっても複数なカタチで立ち現れることを確認し、それは物的なマテリアリティの視点が重要であることを指摘する。 4-1 新しい物質主義 本節では近年学際的に幅を持ちながら展開している「モノ」への回帰である新しい物質主義について整理し、電柱と電線という「モノ」を考え

          【#4_卒論連載】新しい物質主義について

          【#3_卒論連載】電柱電線論の現在 と 本研究の範囲

          要旨 電柱と電線の社会学的な先行研究として近森(2017)の議論を整理する。さらにテクノスケープの理論を利用し、近森の議論を明瞭にし、かつ電柱と電線の「図」としてのあり方を明らかにする。その上で本論文が近森(2017)の議論の「とりあえずの積み重ね」の期間について詳細に分析していくことを確認する。 3-1 電柱と電線の社会学的な分析  電柱と電線を社会学的な視点から研究した仕事は意外と少ない。それは社会学がモノに着目をしてこなかったこととも関連しているだろう。  しかし、

          【#3_卒論連載】電柱電線論の現在 と 本研究の範囲

          【#2_卒論連載】電柱と電線の基礎知識

          要旨 社会学的な側面の電柱と電線のあり方を考える前に、技術的なモノしての電柱と電線を捉え、次章以降の議論の準備をする。そのため電柱と電線の役割、形状を作り出す技術や法律、歴史を簡単に確認する。そのうえで電柱と電線の普及や乱立の経緯、無電柱化の流れを攫い、電柱と電線独自の「地」と「図」の展開について明らかにする。 2-1 電柱と電線の役割 電柱と電線の主な役割は二つある。  一つ目は「電力を送る」こと。  日本の電力供給施設は大きく「発電部門」「送電部門」「配電部門」に分か

          【#2_卒論連載】電柱と電線の基礎知識

          【#1_卒論連載】インフラとは私たちにとってなんなのか

          要旨 本論文が主題としているのは電柱と電線であるが、それを内包するインフラストラクチャーという概念を整理する。これまでのインフラストラクチャーの議論を引用しながら、都市空間の「図」に対してインフラストラクチャーは「地」として存在していることを確認する。しかし、その「地」と「図」は反転することがあり、インフラ自体が「図」として格差や災害を起こす可能性、情報社会の中では消費されることがあることを明示し、電柱と電線の議論に接続させる。 1-1 インフラとは 電柱と電線の話に入る前

          【#1_卒論連載】インフラとは私たちにとってなんなのか