CBDとお肌のご関係②
前回は、現状確認されているカンナビノイドの経皮における総説論文、ニキビに対して有効であるというデータ、合法国ではどのような作用や効果で宣伝されているかというデータをご覧頂きました。
その効果や効能があることはわかっているが、どのように作用しているのかという部分は研究段階であるようです。
今回は、乾癬や表皮水疱症等(※写真閲覧注意です)の症例や頭皮に関するデータをご紹介します。
まだまだ研究段階であることは踏まえた上で、現段階でCBDに期待できる経皮の作用についてまとめていきたいと思います。
①乾癬に対するCBD/CBGオイルの治療効果
目的:乾癬に対するCBDオイルの治療効果を検証する。
対象者:6ヶ月間未治療の乾癬患者2名
素材:CBD/CBGオイル(3%および15%)
回数/期間:1日2回6週間患部に塗布。
塗布部位は右腕の20センチ以上離れた2箇所(3%と15%)
左腕の20センチ以上離れた2箇所(プラセボ)
評価:PASI(Psoriasis Area and Severity Index:乾癬の重症度判定尺度)
結果:3 %オイルでは変化が見られなかったが、15%オイルでは改善効果が示された。
考察: 濃度が高くなるほど効果が高くなるという用量依存的な効果を示すことが考えられた。CBD/CBGの相乗効果によって乾癬で見られる免疫系の機能不全を改善したと考える。
このように低濃度と高濃度で効果が違うというデータが出てきており特に経皮に対しては高容量の方が効果的なのかもしれません。
②乾癬に対するカンナビノイド薬BTX 1308の効果機序について
内容:乾癬に対するカンナビノイド治療薬BTX 1308の効果検証研究の準備報告書(実験計画書)
先行研究からカンナビノイドが乾癬に対して有効な理由として、以下の理由が考えられている。
1)ケラチノサイト過剰増殖を阻害する。
2) 普遍的な抗炎症作用を発揮する。
3)T細胞活性を低下させ、その後のB細胞応答も阻害する。
4)複数のT細胞集団を抑制し、一般的なT細胞活性化を阻害する。
5)炎症誘発性メディエーターの濃度を低下させ、抗炎症性サイトカインの放出も増加させる。 ※サイトカインとはタンパク質の一種、炎症性と抗炎症性があり、バランスを崩す事で免疫疾患となり症状がでる。
6)インターフェロンガンマの作用を阻害する、および/またはインターフェロンガンマの濃度を低下させる。※インターフェロガンマは炎症性サイトカインの一種
7)Th17(ヘルパーT細胞17)、Th1、およびTh2の免疫応答に関与する遊走、増殖、および細胞成熟過程を阻害する。
8) 直接抗酸化作用を有する。
正直、専門用語が多く難しいですが、、、ケラチノサイトというのは角化細胞といって皮膚の一番外側、表面の細胞ですね。これが代謝されると角質となる部分になります。
細菌やウイルスなどから体を守ってくれる免疫は本来、活性化と抑制のバランスを保っています。 乾癬というのは免疫に異常が生じ、活性化し過ぎること(過剰な活性化)により、乾癬の症状を引き起こすと考えられています。
カンナビノイドはこの活性化しすぎた細胞に対して、活性化を抑えて、症状も抑えてくれるというのが簡単な作用だと考えられます。
③カンナビジオールは表皮水疱症の改善に有効
目的:カンナビジオールの表皮水疱症に対する効果を検証する。
備考:表皮水疱症は皮膚と粘膜を冒す先天性疾患で容易に皮膚の損傷を生じるもの。
対象者:表皮水疱症に対して患者家族が自発的に治療を開始した3症例
症例1)6ヶ月男児、
方法:CBDオイルチンキを用いたCBDスプレー)
回数:1日2~3回
期間:6ヶ月間
評価:水疱の数、水疱の治癒速度、モルヒネ使用量
症例2)3歳女児
方法:エミューオイルとCBDオイルのブレンド塗布、症例2)
回数:最低1日2回
期間:8ヶ月以上
評価:水疱の数、歩行時の疼痛、歩行距離、症例
症例3)10歳男児 •
方法:CBDオイルとCBDクリーム塗布
回数と期間は未記載
評価:水疱の数、歩行頻度、抗炎症 剤使用量 •
結果:カンナビジオールの使用により創傷治癒が早く、水疱形成が少なくなり、疼痛が改善した
考察:CBDの表皮水疱症への局所使用は有効である可能性があるが、今後二重盲検による検討が必要である。
免疫疾患ときたらCBD!?
エンドカンナビノイドシステム(以下、ECS)というCBD界隈では呪文みたいに何度も現れる言葉ですがCBDに興味を持たれた方は1度は聞いたことがあると思います。(ありますよね!?)
CBDやカンナビノイドはこのシステムによって効果や薬効をもたらしていることがわかっています。
このシステムを理解するのが結構難しいのですが、できるだけ簡単に言いますと、、、脳神経系(CB1)と免疫系(CB2)を司る受容体があります。
通常は自分の体内より放出されている内因性カンナビノイド(体内マリファナ)が発生しており、その受容体が受け取る事で全身の神経や免疫システムを正常化しバランスを整えている事がわかってきています。
しかし加齢やストレスによって体内で内因性カンナビノイドの放出が減退する事がわかっています。これにより受容体がうまく作用しなくなると神経異常や免疫異常となり、発作や炎症を起こすことで鬱や不眠、頭痛、原因不明の不調をもたらすと言われています。
それがカンナビノイド欠乏症と言われて、現代病と言われる症状や、原因不明の疾患を引き起こしたりします。CBDやカンナビノイド製品はその体内で欠乏したカンナビノイドを補填し、体内の神経、免疫システムを正常化する事が期待できます。(CBD,CBG,CBN等カンナビノイドによって効果や作用の仕方が違うことも興味深いですが別の機会にまた細かく書きたいと思います。)
-カンナビノイド受容体とCBDの皮膚への影響- まとめ
●人の体にはカンナビノイド受容体(CB1,CB2)があり、この受容体は内因性カンナビノイド(体内マリファナ)やフィトンカンナビノイド(CBDやCBG等)と結合して、体の恒常性を調整する働きがある。
●カンナビノイドと受容体の関係は非常に複雑で、状況に応じてカンナビノイド受容体の働きを活性化させたり、あるいは抑制したりする。
●下記、現在の知見をまとめたもの
CB1 脳・神経系
CB2 免疫系
CBD フィトンカンナビノイド
ここまで、2章にわたって、カンナビノイドとお肌の関係を研究データをベースに記述してまいりました。
結論:皮膚に対してCBDやカンナビノイド製品は非常に有効!!!
カンナビノイド製品の作用に関して、エンドカンナビノイドシステムを理解することで、CBDがどのように肌にもいいのかを理解する事ができると思います。
ここまでの症例や論文データを見ていますと、CBDやカンナビノイドの研究結果を見ると様々な状況や症例に期待できると思います。カンナビノイドは人によって反応や効果的な量がバラバラなこともよく特徴としてあげられます。まずは一度、一定量を継続的に使用してみる事をオススメ致します。
CBDは天然由来の自然な優しい成分であり、副作用や精神薬効が無く、アンチドーピングに登録されている成分です。使用上限としては一日1500mgまでは有効性が高まるというデータもあり、致死量や副作用等もなく多く摂っても排出される為、安心して使用できると思います。
この暑い季節の日焼け止めと一緒に塗ったり、帰宅後のケアにCBDを使うのも非常に有効だと思います。
おまけ:CBDシャンプーってどうなの?
シャンプーについてもデータがありましたのでご紹介いたします。
広域スペクトルのカンナビジオールシャンプーは頭皮炎症を改善するか?
目的:広域スペクトルのカンナビジオールシャンプーの頭皮炎症に対する効果を検証する。
対象者:軽度から中等度の頭皮乾癬または脂漏性皮膚炎を有する被験者50例(女性26名、7例が軽度、43例が中等度、22例は頭皮乾癬、28例は 脂漏性皮膚炎 • 素材:.075%の広域スペクトルのカンナビジオールを含むシャンプー
回数/期間:14日間。洗い方や回数は、通常行っている方法と変えないように指示した。
評価:そう痒感および灼熱感の主観的評価、ビデオ画像を用いた客観的な臨床重症度 評価、使用における満足度や認容度のアンケート評価
結果:主観的評価と客観的評価の両方で症状の改善が見られた。
考察:カンナビジオールの抗炎症作用と脂溶性が高さが症状の改善につながった可能性がある。
このようにシャンプーに関しても頭皮に対して有効であるというデータもありました。しかし含有量をしっかり確認してほしいと思います。現在国内で流通しているシャンプー、化粧品ではCBD含有をうたっていながら、含有量を記載していない商品があります。
経皮においてはCBD量が大きく関わっているという結果も出てますのでお気をつけて購入されるようオススメ致します。
環境を整え、若々しい頭皮を取り戻すことで育毛効果も期待できる!?かもしれません。
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