CBDとワンちゃん①
CBDによってECS(エンドカンナビノイドシステム・・・これ毎回でます。)受容体が目覚めた人が『いい物だから家族にも使って貰いたい』と考えるのは自然な事だと思います。それは人だけじゃなく愛犬にも。
ペット用のCBDもあるけど実際どうなのよ!?ってことですね。
日本ではベイプ製品もあり18歳未満の方への販売は自粛している販売店が多いと思います。きちんと知識をもって自分が使いその仕組みや効果、安全性を理解している人は自分のお子様や両親、愛するペットにも試してみたいと考えている方が多いようです。
しかし、現状では情報が少なく、実際どれくらい与えていいのか?どんな作用が期待できるのか?分からない部分も多く使用に踏み切れない方も多いようです。
今回は論文データも交えて実際に使用する際の手順、注意点などをまとめたいと思います。
前半ではワンちゃんのCBDの経口摂取について、後半では経皮についての資料と考察をしていきたいと思います。
まずは一つ目の論文は、コチラ
CBDオイルの犬への投与は比較的安全である。
イヌに対するCBDオイル投与の安全性について検討データ
対象者:24頭の健康なビーグル犬(年齢、9カ月齢、体重、8~15kg)
素材:CBDオイル(フルスペクトラム)
用量:1、2、4、12mg/kg)およびプラセボ
回数/期間:1日1回の経口投与を28日間
評価:血漿中CBD濃度、血液検査、消化管系の有害事象
結果
• 獣医学的検査では臨床的に重要な異常所見は認められず有害事象の重症度は軽度であった。
• プラセボ投与と比較して、12mg/kg/日のCBD投与は、より多くの胃腸有害事象(主に唾液過多) と有意に高い血清ALP活性をもたらした。
• CBDへの全身曝露量は、急性投与(初回投与)と慢性投与(28日間)の両方で用量依存的に増加した。
• 各CBD用量群では、反復投与でCBDの全身曝露量が1.6~3.3倍に増加した。
• 血漿中CBD濃度も用量依存的であり、投与2週間後には定常状態に達した。
考察
• CBDオイルのイヌへの投与は比較的安全であることが示された。
• 12mg/kgで見られた過度の流涎は、高濃度のCBDオイルに対する味覚的反応を反映していた可能性 がある。
• 上記の投与によるCBD濃度の変化は、投与上の指針となると考えられる
上記の実験ではと低用量と高容量で明らかによだれの量が違うようです。ワンちゃんもCBDの苦みや刺激をしっかり感じているようですね。
良薬口に苦しはワンちゃんにとっても同じなのかも。w
さて、次は
イヌの変形性関節症の疼痛緩和に経口経粘膜CBDオイル は有用である。
目的:経口経粘膜CBDオイルのイヌの変形性関節症の疼痛緩和への効果について検証する。
対象者:慢性変形性関節症によって疼痛を示すイヌ21頭(CBD群:9匹、対照群:12匹)
素材:標準治療薬(抗炎症薬、ガバペンチン、アミトリプチリン)+経口経粘膜CBDオイル、または標準治療薬のみ
回数/期間:CBD群では、12時間毎に2mg/kgの経口経粘膜CBDオイルが投与された。投与期間は12週間であった。
評価:イヌ簡易疼痛評価尺度
備考:CBD油の経口経粘膜投与は、口腔パウチに挿入された針のない注射器を用いて所有者により実施された。
結果
• 疼痛重症度、疼痛の行動への影響、QOLスコアはいずれもCBD群で有意な改善を示した。
• 消化管副作用は認められなかった。
• CBD群の2匹(9匹中2匹、22%)では軽微な眼振が観察された。
• CBD群の1匹および対照群の2匹(21匹中3匹、14%)では傾眠および軽度の運動失調が報告された。
• 12週間の評価期間終了時に、CBD群、C群のいずれにおいても、測定した血球数及び血清生化学的検査に関連した変化は認められな かった
考察
•口腔粘膜には血液が豊富に供給されているため、この経路で投与される薬物は全身的な治療濃度に達した可能性はある。
•通常治療に加えてCBDオイルを加えることでイヌの変形性関節症の症状を緩和しうると考える。
CBDの効果に期待している方には、ポジティブな結果を知ることが出来ました。標準治療薬との併用に対する評価という事で、益々の研究が進むことを期待したいですね。
さて次も非常に面白い研究結果ですが、
CBDのイヌへの抗不安効果は認められない
• 目的:CBDのイヌへの抗うつ効果について検討を行う。
• 対象:様々な混合品種の無傷の成犬24匹(雄12匹、雌12匹;1~5歳; 17.7±3.9kg)を無作為に4群に分け、以下の素材を投与した。
• 素材:対照群;CBD1.4mg/kg/day、トラゾドン(抗うつ薬)、トラゾドン+CBD1.4mg/kg/day、もしくはペットフードのみ。
• 回数/期間:7日間継続して行った。
• 評価:花火による騒音へのストレス反応(血中コルチゾール濃度、心拍変動)、イヌの通常の行動観察 • 備考:トラゾドンは20kg未満のイヌには100mg/kg/day、20kg以上のイヌには200mg/kg/dayを投与した。血中コルチゾール濃度と心 拍変動ははストレス反応の生理学的指標
結果
• CBDによるストレス反応低減効果は見られなかった。
• 血中コルチゾール濃度は、トラゾドン(抗うつ薬)で低下を示したが、CBDは コルチゾール濃度の変化を示さなかった。またトラゾドンとCBDの併用は、トラゾドンの効果を減少させた。
考察
• 犬種が異なったことから、反応に対する効果のばらつきが大きかった。
• CBDはトラゾドンの抗不安効果を減弱させることが考えられた。
• 1.4mg/kg/dayのCBD投与は、イヌに対する抗不安効果はないと考える。
人間と犬とでは比べる事は出来ませんが、環境やストレスが原因でうつ病になってしまうワンちゃんもいるのです。
上記の結果は期待とは違うように感じるかもしれませんが、CBDには精神作用は非常に少ないと言われており(精神作用がない等の記述や広告が多いですが、無いわけではないです。)これはCBDを使用するのにあたって大きなメリットと言えます。
愛犬がハイになることを望む飼い主はいないでしょうし、摂取したとたんにそのような大きな変化等があっては安全に使うことが出来ません。
では、効果が期待できないのか、、、と考えるのは早合点です。
【CBDと睡眠】のテーマの際にも書きましたが、ECS(エンドカンナビノイドシステム)ではCB1(脳・神経系)、CB2(免疫系)の受容体、2つの経路がわかっています。
基本的にそのどちらにも作用してポジティブな効果が見込めますが、CBDが効力を発揮する為に2~3週間の継続使用が望ましいのです。その理由はCB2へのアプローチにより免疫力を上げ、抗酸化作用、抗炎症作用によって、体内の炎症を抑えるのに多少の使用期間が必要だからです。
最近ではうつ病はストレス起因の体内炎症が原因という事を言われており、また鬱状態では脳が炎症を起こしていることもわかってきています。
つまり、直接的な抗不安効果を期待するよりも継続的に体内の炎症を抑える事により、精神的に健康になり、睡眠の質もまたよくなり、いわゆる健康で【普通な状態】に戻っていく事が期待できます。
適切な容量とは?
検索していくつかのメーカー、販売店の説明をみると、、、。
とってもわかりにくく、期待される効果や効能もあいまいです。
そして1日の容量1㎏あたり0.25mg ~ 10mgの幅がありました。
これでは実際どう使えばいいか困ってしまいますね。
考え方としては人間と同じで、ECS(エンドカンナビノイドシステム)への作用により、脳神経系CB1,免疫系CB2の恒常性を保つ事によりアプローチする仕組みは変わりません。
使用においての目的が
①健康維持や老化防止の場合
②何かしら疾患や困りごとがあってアプローチしたい場合
でその使用方法は大きく変わってきます。
まず最初に最重要なの事は①、特に②の場合、かかりつけ医に相談の上で使用する事です。その前提を理解した上で、下記を参考にして頂ければと思います。
どちらの場合も同様なのですが最初は低用量から使用することをオススメ致します。人間の場合は最初に体感や感覚を理解するという事を目的としてある程度の高容量を試して貰う事がありますが、
ワンちゃんは喋ってくれませんので、使用した場合の様子をしっかり観察する事が大切です。
最初は1日に1kg/0.5mg(10㎏のワンちゃんなら5mg)
・・・5%のCBDオイルの場合スポイト2滴程度(朝1滴、夜1滴)
数日間、様子を見て体調や気分が優れなそう場合や、下痢をしたりという事が無ければ、
1日に1kg/1mg迄増やしましょう。(10kgのワンちゃんなら10mg)
・・・5%のCBDオイルの場合、スポイト4滴程度(朝2滴、夜2滴)
①の方はこの容量を基準として継続して使用ください。
②の方の場合は、そこから更に数日かけて摂取量を増やしていきます。
対象とした疾患や困りごとに対して作用しているのか?いないのか?
期待した効果を得られているのか?いないのか?
下痢や不調等、副作用が起きていないか?
与えた後に常に観察をしている必要があります。
前述の実験では高容量として1kg/12mg与えたビーグルは獣医学的な検査では異常はなかったが唾液を沢山出したという事でした。他の実験でも高容量というは大体1kg/10mg前後に設定されているようです。
高容量は1日に1kg/10mg程度(10㎏のワンちゃんで100mg)
・・・10%のCBDオイルの場合、スポイト10滴程度(朝5滴、夜5滴)
摂取方法は?
①、②の場合どちらもペットフードに混ぜて使用して頂くのがいいと思います。
②の場合はスポイトによる舌下投与が一番効果が期待できると思いますが、ワンちゃんによっては難しい場合もあるかと思います。
またその場合スポイトを清潔に保つことが非常に重要です。
重要なことは?
ワンちゃんの治療の為に、CBDを利用する場合は必ずかかりつけの獣医師に相談した上で使用をしましょう。
最近ではCBD製品を取り扱うクリニックも増えて来ています。もしかかりつけ医が知らなくても、現状でしっかりと調べていけば情報は沢山あるので調べて貰った上で、意見を貰ってもいいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?前半はワンちゃんとCBDオイルの摂取についてまとめてみました。論文自体がまだまだ少なく研究段階と考えられますが、その有用性と安全性自体は一定の評価を得られているようです。
治療目的でCBDにたどり着く方が多いと思いますが、その効果は万能ではありません。漢方や生薬のように自然由来のサプリメントとして、仕組みを理解した上で、継続的に使用するのが望ましいと思います。
後半のテーマですが、肉球とCBDについて調べるつもりです。肉球と言えば、ワンちゃんだけじゃないですよね(^^♪
という事で、この記事が少しでも参考になった、為になったと思った方、後半も気になる方、活動を応援したい方は是非、良いねとフォローをお願いします。
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